穂乃果「野球で廃校を救うよ!」Part4/4

A-RISE, ラブライブ!, 地の文, 長編

こちらの続きです。(by 管理人

穂乃果「野球で廃校を救うよ!」Part3/4

416: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:39:17.35 ID:WJRCUC4B.net
♯58

 

【六回裏】

絵里「さぁ、この回よ。打順は一番の凛から!二点リードされているのだし、そろそろ点を返していかないとね!」

穂乃果「だよね!ようし、穂乃果も集中していくよ!」

にこ(あ、にこは次か…、打たなきゃ…)

凛(…にこちゃん、暗い顔。どうしちゃったの?いつもみたいに一緒にバカやってくれないと、凛寂しいよ…)

花陽「凛ちゃん…」

凛「…よし、かよちん。アレを使うよ」

花陽「え、まさか凛ちゃん!アレを使っちゃうのぉ!?」

海未「アレ?とは、一体なんなのです?」

凛「うん、凛の必殺技だよ。昨日やっと完成したにゃ」

穂乃果「おお…なんかすごい!」

凛「すごく集中力がいるから、まだ1日1回ぐらいしか使えないんだけど…」

凛(にこちゃん、見ててね。凛の…芸人魂!形態模写…絵里ちゃん!!)

絵里「り、凛…?」

凛「凛?誰かしら、それは。私は生徒会長の絢瀬絵里よ」

絵里「えっ、凛…何を」

凛「学校の許可ぁ?認められないわぁ」

穂乃果「ぅ絵里ちゃんだ!?」
ことり「絵里ちゃん!?」
真姫「エリー!?」

絵里「私そんなイジワルな喋り方したことないわよ!?」

凛「わーるかったわねぇ!似すぎててっ♪」

海未「り、凛…あまりふざけてはいけませんよ?ぷふっ…」

絵里「海未!わ、笑ったわね!?もう!」

凛「悲しい…悔しいっ!エラーチカ!」\チカァ/

希「すごい、絵里ちにしか見えへん…。いや、むしろ絵里ちよりも絵里ちに似てる…」

花陽「はい希ちゃんのお墨付きいただきましたぁ!」パナッ

絵里「似てないってばぁ!」

417: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:40:55.49 ID:WJRCUC4B.net
『一番 ショート 星空さん』

 

真姫「で、花陽。あのモノマネって何の意味があるわけ?」

スチャ ピピピ
花陽「うん。あのモノマネをすることで、凛ちゃんは絵里ちゃんに近い野球力を手に入れてるんだよ」

スチャ ピピピ
花陽「野球力1000…1500…1800…!すごい、2200まで上昇してる!」

凛「ハラショー」

英玲奈(…なんだ?いきなりどうしたんだ、この子は)サイン

ツバサ(また初球パワーカーブ?英玲奈それ好きよね)シュッ

凛(凛は絵里ちゃん凛は絵里ちゃん)カキィン!!

英玲奈「何っ…レフト!!…む、三塁線を切れていくファールか…」

希「あちゃあ!惜しいわー…」

穂乃果「凛ちゃん!タイミング合ってるよ!」

英玲奈(どうなっている?甘い球ではなかった。今の変化球への対応、まるで…)

凛「……ピロシキ」チカァ

英玲奈(……!そういう事か…ツバサ、侮るなよ。感じるぞ、ヴォルガ川の冷流を!)サイン

ツバサ(英玲奈ってたまに生真面目さが変な方向に行ってるのよね)シュッ!

凛(にこちゃん…凛は出塁するよ。そしたら盗塁して、にこちゃんがバントを決めるか、それかタイムリーを打つにゃ!)ブンッ!

キィン!!

凛「にこちゃんと二人で点を取るんだっ!」

バシッ!!

【実況】
『痛烈ーッ!!あー、しかしサード真正面!
一番星空、サードライナーでワンナウトです!』

凛「ああっ…!」

英玲奈(球速に逆らわない流し打ち。本当に絢瀬絵里のような、技巧的なバッティングだった…が、やはり本家には劣る。パワー、打球速度。いくら技術を真似ようとも、二学年の差は大きいさ)

凛「…っ、凛が出なきゃいけなかったのに…」

にこ(…ありがと凛。アンタの気持ち、ちゃんと伝わってるわ。けど…)

418: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:43:08.07 ID:WJRCUC4B.net
『二番 センター 矢澤さん』

 

にこ(私は、ホームランが打ちたい…。こころが望んでるから…?もちろんそうだよ。でも、それだけじゃない)

ズドンッ!!ブンッ!!

ストライク!

にこ(ねえパパ、見てくれてる?アキバドームだよ、一緒に野球を観に来たよね。私はまだ小さかったけど、しっかり覚えてるんだよ?
……応援席にね、みんなのパパも、何人か応援に来てたの。普段はこんな事、絶対に考えないけど…寂しいよ、会いたいよ、パパ…!………人間、土壇場で本音が出るってのは本当なのかもね…)

英玲奈(ストレート)サイン

ツバサ(……)コクリ

にこ(こころ、ホームラン見たいよね。うん、わかるよ。…お姉ちゃんも打ちたいから。パパが見てくれるように…!でも、でも!)

ズドォン!!!134km/h

絵里「見逃し…!」
希「にこっち…!」
真姫「にこちゃん!」

にこ「…タイム、お願いします」

にこ(私に、ホームランは打てない…!!もう、どうしたらいいのかわかんないよ……)

\にっこにっこにー!!!!/

にこ「…え?」

凛「あれっ、今の声は?」
花陽「スタンドの方から…あっ、最前列に!」
穂乃果「わ!最前列にちっちゃいにこちゃんがたくさん!?と大きいにこちゃん!」
真姫「あれは…にこちゃんの家族よ!」

ここあ「お姉ちゃんがんばれー!」
こたろう「がんばれー!」

にこ「ここあ、こたろう…」

こころ「お姉さまー!!」

にこ「こころ…!」

こころ「私の、私のお願いを言います!……お姉さまらしくあってください!!私たちは…お姉さまの、にこにーのことが!大好きですからっ!!」

にこ「私、らしく……」

にこママ「にこー!!」

にこ「…ママ!」

にこママ「笑いなさい!!!」

にこ「!!」

419: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:44:51.41 ID:WJRCUC4B.net
にこ(にこ。パパが付けてくれた最高の名前。いつも笑顔でいられますようにって。

 

そう、私は…にこは…!)

ぱちぃん!!!!

英玲奈(両手で顔を思い切り叩いた!)

スゥゥ…!

にこ「―――にっこにっこにぃぃぃぃぃ!!!!!!」

ツバサ「なっ…」

にこ「……たぁいへん長らくお待たせしたわね綺羅ツバサァ!!
26次元大銀河超宇宙!!
だだっ広い暗黒空間に漂う美しき惑星、地球!!!
その中心!!!
ど真ん中!!!!
センター!!!!!
世界のセンター!!!!!!
スゥゥパァァトゥインクルエゴイスティックヒロイン……
YAZAWA!NICO様の!お出ましよ!!!!!」ドドォン!!!!

凛「にこちゃんがバカに戻ったにゃああああああ!!!」
希「世界のYAZAWAのご登場やぁあああ!!!」
絵里「ハラショー!!さすがにこね!!」
穂乃果「にこちゃあああああんん!!!」
花陽「にこちゃんっ!良かったね…良かったねっ…!」グスッ

ことり「にこちゃん…嬉しそう」
海未「迷いが晴れた目をしています。結局、ご家族の力には敵いませんね」
真姫「……フフッ、いいんじゃない?らしくって」

ツバサ「面白い…で、何を見せてくれるって言うの?」

にこ「粘るわ!!!」ドドン!!

カキッ ファール!
ガギ ファール!
ギィン! ファール!
カンッ ファール!!
……

【実況】
『二番矢澤、ツーナッシングから粘る粘る!
なんと驚異の13球!連続でファールを打ち続けています!!』

423: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:47:46.39 ID:WJRCUC4B.net
にこ「にっこにーにっこにーにっこにっこにー…ブリリアントにこにーキュンキュンにこにースパイシーにこにー…」ブツブツ

 

ツバサ(なによこいつ、超メンドくさいバッターね…)

英玲奈(ツバサのスタミナは折り紙付きだ。だが、流石に13球連続ファールは…精神面で悪影響が出かねない。ここは落とそう、ツバサ)サイン

ツバサ(パームね、了解。今回ばっかりは変化球にも大賛成…よっ!)…スポッ

ツバサ「って、しまっ…!」

にこ(失投!ど真ん中…棒球…っ、ひっぱたくわ!!!)ブンッ!!

カッキィィイン!!!!

ツバサ「あ…!?」

英玲奈「レフト!!」

【実況】
『いい角度で打球が上がった!!!
レフトバック!レフトバック!!入るか!入るか!?

あっ、フェンス直撃!!フェンス最上部に当たった!!打った矢澤、悠々と二塁へ~!!!』

真姫「やった!やったわね!!」
凛「にこちゃんすごいにゃー!!」
花陽「にこちゃぁん!かっこいいよぉ!!」

にこ(今の球、今大会で初めてのツバサさんの失投。パパが打たせてくれた…?なーんて言っても、パパは喜ばないよね?)

にこ「アンタたち!!これがにこの実力よ!!!」

にこママ「せーのっ…」

\にっこにっこにー!!!!/

にこ「にっこにっこにー!!!!」

あんじゅ(……私もカットでの粘りをよくやるからわかる。10球を越えると投手の集中が切れて、はっきりと失投率が上がるわ…。今のはまぐれじゃない。実力で呼び込んだ失投ね)

英玲奈(まあ、入らなかっただけ幸運…そして次は…)

ツバサ「穂乃果さん…!」

425: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:50:15.09 ID:WJRCUC4B.net
『三番 サード 高坂さん』

 

穂乃果(打つよ、ツバサさん)ググ…

ツバサ(すごい集中。勝負だよ、ってね。行くわ…ストレート!!)

ズドン!!!135km/h

ボール!!!

穂乃果「……」

英玲奈(ピクリともせずに見逃し。先の打席でも感じたが…やはり、高坂穂乃果)サイン

ツバサ(ストライクからボールになる…パワーカーブ!)

穂乃果「……!!」…ブンッ!!

キィンッ!!!

ツバサ「…!!」

英玲奈(…三塁線を切れてファール。だが、鋭い打球。高坂穂乃果…既に、ツバサのボールを見切っている…!)

スパン!

ボール!

穂乃果(パーム、見せ球…)

英玲奈(参るな…少しくらい反応してくれてもいいだろう?)

ツバサ(迫ってくる)

パキィンッ!!

ファール!!

英玲奈(アウトロー、最高のストレート。だが…対応されている)

ツバサ(迫ってくる…!私の領域へ、私の高みへ!)

穂乃果(打つ…っ!!) ――ビリッ!

ツバサ(ああ…穂乃果さん、野球って…)

ツバサ「楽しいわね!!!」 ――シュッ!!!

穂乃果「打つよっ!!」ブンッ

ズバンッッ!!!136km/h

427: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:51:34.86 ID:WJRCUC4B.net
【実況】
『ひ、136km/hっ!!!またしても球速、自己最速を更新っ!!!

 

空振り三振ーッ!!!

っと、捕手の??統堂がボールをこぼしている、振り逃げの形ですが、しかし落ち着いて一塁に送球してアウトです!』

英玲奈(数字の上ではたかが1キロの差…だが、明らかに球の質が違う!
ツバサ、お前はまた…一段上へ足を踏み入れたのか…)

ツバサ「まだまだ…追いつかせないわ、穂乃果さん!」

穂乃果「ツバサさん…!~~ッ、みんな…ごめんっ…!」

にこ「穂乃果!下を向かない!まだアンタの打席はあるわ!絵里の応援に集中しなさい!」

穂乃果「にこちゃん…うんっ!!」

凛「さっきまでずっと下向いてた自分の事を棚に上げてるにゃー…へへ、あれでこそにこちゃんだよねっ!」

希「にこっちにナーバスなんて似合わんよね?ふふっ」

海未「くっ…しかしツーアウト…!」

絵里「みんな、慌てないで。私は比較的だけど、綺羅さんの球と相性がいいみたい。期待しててもらっていいわよ?」

穂乃果「ぅ絵里ちゃん!お願いしますっ!」

希「ん、向こうのベンチから監督が出てきたよ?」

新井監督「審判、選手交代。ショートの吉田に代えて村上。ピッチャー綺羅をショートへ。ピッチャーは村上」

428: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:53:48.38 ID:WJRCUC4B.net
【実況】
『おっと、ここでUTX高校は三人目の投手を登板させるようです。ピッチャーは村上。左サイドハンドの投手です』

 

ことり「二度目!UTXの弱点その3!新井監督のワンポイントリリーフ!」

穂乃果「これチャンスだよ!絵里ちゃんならリリーフピッチャーなんて」

にこ「甘いわ!!」

穂乃果「うわっにこちゃん!?ビックリした!!セカンドからわざわざ来たの?」

にこ「向こうの新井監督の継投は確かに弱点…だけど、いくらなんでもバカじゃない。左ピッチャーのツバサに代えて左ピッチャーを出してくるにはそれなりの根拠ってモンがあるのよ!!」

絵里「にこ、あの村上さんという人はどんな投手なの?」

にこ「左のサイドスロー。対左の被打率は.091…超の付く左キラーよ!」

海未「い、一割以下ですか!?」

スチャ ピピピ
花陽「野球力は2110。でも野球力は条件によって変動するものですっ。私の見立てでは…対左時の野球力は10000オーバー!」

真姫「さすがにUTX、選手層には自信アリってワケね…」

にこ「タイプとしては横の変化で揺さぶりを掛けてくる感じ。スライダーとシュートが主な持ち球よ。…絵里、アンタでも正直難敵かもしれない」

凛「そ、そんなぁー」

絵里「あら、そうなのね。…ところで花陽。あの村上さん、対右なら…野球力はどれくらいなのかしら?」

花陽「えっ?右なら…1000あるかないかぐらい、かな?」

絵里「ふふっ、ありがと花陽♪」

『プレイ!』

429: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:58:24.57 ID:WJRCUC4B.net
【実況】
『さあ、リリーフ村上が投球練習を終えて試合が再開!
と、ここで…バッターの絢瀬、なんと右打席に立ちました!出場選手登録では左打者となっているのですが…』

 

絢瀬「さ、いつでもどうぞ?」

村上(は、話が違う…!)

ツバサ(あーあ、新井の顔面にボールを投げつけてやりたいわね)

英玲奈(……やれやれ。スライダーだ。しっかり腕を振って、低めへな)サイン

村上(うああ!なるようになれ!)シュッ!

絵里(アラベスク、アティチュード、ピルエット…バレエの各種基礎、応用。血の滲むような練習、練習、練習…。比べて、逆打席に立つだけの事がどれだけ簡単か。バレリーナの左右バランスの均整を侮ってもらっては困るわ…ねっ!!!)

パキィッ!!

村上「ああっ!?」

ツバサ「ほーら、打たれた」

英玲奈「センター!!、右中間に落とされたか…」

絵里「よしっ…!やったわよ!みんなーっ!」チカァ

花陽「絵里ちゃんやったぁ!!!」
にこ「ナァイス絵里っ!!アンタ最高よ!!」ザッ

セーフ!

【実況】
『三年生絢瀬、タイムリーヒット!!ベンチに向けて片手を掲げ、満面の笑顔でガッツポーズ!
四番の面目躍如といったところでしょうか!!』

あんじゅ「絢瀬絵里っ、またしても…!」ギリッ

あんじゅ「……」

あんじゅ「………音ノ木坂の人たち、楽しそうね…」

430: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:59:41.33 ID:WJRCUC4B.net
~~~~~

 

ツバサ「ベンチがアホだと……野球ができないのよっ!!!」シュッ!!!

ズドォォン!!!137km/h

希「は、速っ…!」

スリーストライクアウト!

スリーアウトチェンジ!

ツバサ「ああームカつく!」

英玲奈(監督への怒りがまたツバサのギアを上げたか…)

希「まずいね…あの球を連発されると、ウチでももう…」

【実況】
『六回の攻防を終えて得点は4-3、UTXの一点リード!
試合は終盤へと移ります!』

432: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:01:49.31 ID:WJRCUC4B.net
♯59

 

【七回表】

(・8・) (ボールからストライクになるカーブ!)シュッ!

田中「波羅蜜多心…!?」

パスン!

ストライク!バッターアウト!

穂乃果「いいよいいよ!ナイスことりちゃん!ツーアウト!」

ことり「うふふ、褒めて褒めて~♪」チュンチュン

にこ「いい感じよことりー!!!ツーアウトー!!!!」

凛「にこちゃんが外野からアホみたいに声出ししてるにゃー」

海未(よし、今のは大きい…。ここに来てカーブの制球が安定してきています。中軸以外には投げられる程度には。
ですが正直、そろそろ疲弊の色が見え始めている…、絵里へのリリーフも考えるべきでしょうか?いや、やはり厳しい…ことりが全力で投げて、ようやく四失点で踏みとどまれているのですから…。
そして、次の打者は…」

\Dancing,dancing! Non-stop my dancing/

『三番 ピッチャー 綺羅さん』

海未(綺羅ツバサ…、ここまでの打席で3安打、1本塁打。俊足を生かしてのバントヒットも決めている。
フルハウス状態の優木あんじゅ > 綺羅ツバサ >? ?統堂英玲奈 > 通常時の優木あんじゅ。打撃に関してはこういった序列の印象ですね)

ツバサ「……」

海未(??打撃条件がはっきりしている優木あんじゅ、整然とした理論打撃の??統堂英玲奈。この二人に比べ、やはり最も与しにくいのは綺羅ツバサ)

(・8・) (何してくるか全然わかんないもんね、このデコチビ)

海未(やはり不気味な方です。そうですね…ぶつけますか?)

(・8・) (うふふ…やっぱり海未ちゃんもまだ、穂乃果ちゃんへのキスを怒ってるんだ?)

海未(当たり前です!あのような行為、世が世なら切り捨て御免。いえ、現代も月夜ばかりではないという事を思い知らせてやらねば…)

(・8・) (それじゃあ、まずはインハイにボールのストレート?)

海未(ええ、思い切り仰け反らせてやりましょう)サイン

(・8・) (海未ちゃんその球好きだよねっ)シュッ!!

434: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:04:08.71 ID:WJRCUC4B.net
ツバサ「……」

 

スパーン!!

ストライク!!

ツバサ「……」

海未(おっ、ストライクですか。まあ、僥倖ですが…今のはボールでしょう?どう考えても。はぁ…つくづくアテにできない審判ですね)

海未(それにしても…)

海未「綺羅ツバサ…黙り込んで、一体どうしたのです?まさかここに来て、お腹でも壊してしまいましたか?」サイン

(・8・) (アウトローにことりボール。ことりが一番得意な球だね、わかったよ)

ツバサ「……飽きたな、って」

海未「え?」

ツバサ「穂乃果さん以外に構うのに…飽きたと言っているの…!」

カッキィィィン!!!

海未「あっ!れ、レフト!!」

真姫「ヴェエ!?こ、これ!スタンドに……っ、良かった…ファールね…」

(・8・) (そ、そんな!今のはことりの最高のボール…それを流し打ちで、あんな位置まで!?)

ツバサ「つまらないボールね。ええと、ピッチャーの…ピッチャーの…?ま、いいか…」

海未「き、綺羅ツバサ……貴女、名前を忘れて…?」

ツバサ「キャッチャーの人、サインを出すなら早くしなさい。……茶番はおしまい。あとは私が穂乃果さんを貰い受ける。それだけよ」

海未(私の名前も…っ、この冷たい威圧…今までとは違う…!仕方ありません、ランナーが不在なので審判に反則を指摘される可能性はありますが、ここは『ぷわぷわーお』で…)

ツバサ「さっきの消える球、あれも無駄だから」

海未「なっ…」

ツバサ「耳栓。英玲奈の指示でチーム全員分が用意されたわ。
細かい理屈はわからないけど、視覚と聴覚から一気に大量の情報を流し込んで、脳だか眼だかをバグらせる球ってとこでしょ?
なら耳栓をして、あの歌を聴かなければいいだけ。英玲奈の受け売りだけどね」

海未(くっ、??予想はしていましたが、やはり統堂英玲奈…即座に看破してきましたか。
確かに、耳栓をされては『ぷわぷわーお』は消えず、単なる棒球に。究極の初見殺しですが、見破られればもう使えない球なのです…)

(・8・) (どうしよう、この雰囲気は…)
海未(捕手としての勘でわかります…)

ことり・海未(打たれる…!)

435: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:05:44.78 ID:WJRCUC4B.net
穂乃果「海未ちゃん!ことりちゃん!頑張れ!穂乃果が付いてるよっ!!」

 

ことり「…そうだよね、頑張らなきゃ」

海未「負けられない…決して負けられません」

ことり(海未ちゃん、“アレ”を使うよ)

海未(私は……止めません。私とことりの立場が逆でも、それを選びますから)

ツバサ「さあ来なさい、ねじ伏せる…それだけだから!」

ことり(……握りはスライダー、本で見たより少し深く、少しだけオリジナルで。

身を屈める、地面が近くなる。みんなの顔が見えなくなる孤独な一瞬、全身の神経を痛いぐらいに尖らせるの。

腕を引く…海未ちゃんの弓みたいに。肩が軋むのも腕が疼くのも気にしない…!

足を踏みしめ腰を捻り、身体中の力のうねりを指先へ、指先へ!

ことりの腕は翼!大きく強く!風を切って空気を裂いて、羽ばたけ!上へ!空へ!!)

ことり(翔ぶ!!!)ビュッッ!!!!

スパァンッ!!!!

ツバサ「―――当たら、ないッ…!」ヨロ…

ことり(……よし…ッ!)ビキッ…

ストライクアウト!!

海未(誰よりも優しく、誰よりも争いを好まないことりが…大切なものを守り戦うために編み出した、一編の悲痛な詩…敢えて、こう呼びましょう)

ことり 『小夜啼鳥葬送詩(ナイチンゲールレクイエム)』

436: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:07:43.01 ID:WJRCUC4B.net
【七回裏】

 

花陽『あと一点、あとたったの一点なのに、ここに来て試合が膠着してしまいます。
七回裏、私たちの攻撃。先頭の海未ちゃんの打球がイレギュラーして出塁するも、私は進塁打のセカンドゴロを打つのがやっと。
ことりちゃんは三振、立ちはだかるツバサさんの壁…。

そして真姫ちゃんも…。』

スパァン!!

ストライクアウト!!

真姫「~っ!!ああっもう!」

英玲奈(西木野真姫、先の打席で多少なり感覚を掴んだように見えたが…相手が悪い。
天才相手、そうそう楽に打てるのならば苦労はない)

英玲奈「奇跡は容易く起こらない」

437: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:08:50.46 ID:WJRCUC4B.net
希(っ、甘くない…綺羅ツバサは)

 

真姫「みんな…ごめ…ヴェッ!?」ベシッ

にこ「なぁ~に謝ろうとしてんのよ。九番レフトの一年坊が一丁前に責任感じてんじゃないっての」

真姫「こ、この真姫ちゃんに、デコピン~!?ちょっと!にこちゃんの馬鹿が感染ったらどうしてくれるのよ!」

にこ「んなっ!?言うに事欠いてこの…!」

穂乃果「って二人とも!にこまきやってる場合じゃないよ!ことりちゃん、肘は大丈夫なの…?」

にこ「はっ!そうよことり!あのスライダーは腕の負担が凄いから絶対に使うなってあれだけ…!」

ことり「二人とも心配しないで?案外なんともないよ♪」

穂乃果「そ、そうなの…?」

ことり「うん♪見ててね…」ソロッ…

ワシィッ!!

希「いぎゃあああ!?」

(・8・) 「ほらほら♪希ちゃんにワシワシMAXできるぐらいまだまだ元気!」グワシィ!グワシィ!

希「す、数ヶ月かけて鍛え上げた投手特有の握力がウチの豊満な膨らみを圧搾して内出血しそうなレベルで絶好調やん百合はアカーン!!!」

穂乃果「ことりちゃんの顔がことり神モードに!!」
にこ「え、エグい…!」
絵里「の、希ぃぃぃぃ!?」
凛「うっわ、ことりちゃん強キャラにゃー」
花陽(性癖歪んでる変態さんだもんね…大丈夫、花陽は気にしないよ…)

真姫「……海未。わかってるわよね?あの球、『小夜啼鳥葬送詩』の負担は握力とは関係ない。肩、そして肘」

海未「わかっています。ですが、私は止めません。誰よりもことりの気持ちは理解しているつもりですから」

真姫「……そう」

ことり(…っ)ズキ…

438: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:10:29.22 ID:WJRCUC4B.net
60 八回表

 

【八回表】

(・8・) 『小夜啼鳥葬送詩』シュッ!!

スパァン!!!

あんじゅ「なによ、この球…はぁ!!?」ヨロ…

【実況】
『四番優木、南のスライダーを前に空振り三振ーっ!!
ああっと、スイングの勢いあまって足元がよろけたか!バットを杖のように地面に突いてもたれかかります!!』

海未(小夜啼鳥葬送詩…あまりに鋭い変化に対応しようとスイングした打者は必ず体勢を崩し、バットに凭れる形となります。
さながら、枝に突き立てられた百舌の早贄のようだとは思いませんか?)

あんじゅ「こんな、情けない姿…っ…!」

(・8・) (あんじゅさんをことりのおやつ…いや、ことりのいけにえにしちゃいました♪)チュンチュン

『五番 キャッチャー ??統堂英玲奈』

(・8・) 『小夜啼鳥葬送詩』シュッ!!

スパァン!!!

英玲奈「なるほど…これは、無理だ…」ヨロっ…ドサ

(・8・) (はいチュンチュン。ことりのいけにえ第三号♪…ッ痛…!)ビキビキッ…!

海未(ことり!…っ、いえ、駆け寄ってはならない、気取られてはいけません…!連投できる球ではないという事を)

英玲奈(南さんの表情、ポーカーフェイスを保っているが…額に滲む脂汗までは隠せていないよ。
ああ、そうだろうさ。そこまでの変化球…鋭利な、まるで、闇より出でる死神の鎌のような…そんな代物を、高校生の…少女の身体で負担もなく投げられるはずもないんだ)

(・8・) (痛い…腕が痛いよ、っ…!にこちゃんと真姫ちゃんの言う通り、これはきっと投げちゃいけない球…でも、っ)

~~~~~

439: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:11:43.55 ID:WJRCUC4B.net
【実況】
『『魔術師』綺羅、『怪童』優木、『精密機械』??統堂。全国の強豪たちを相次ぎ沈めてきた最強のクリーンナップ…

 

その三人を続けて三振に切って取ったピッチャー南!素晴らしい!本当に素晴らしいピッチング!

しかしイニングは八回ツーアウト、流石に疲れが出始めたか。
六番の三好、七番瀬戸に連続フォアボール、そして八番の長谷にデッドボールを当ててしまい満塁!

ここでUTX新井監督、リリーフから九番ショートに入っていた村上に代え、勝負強さに定評のある恩田を打席へと送ります。

さあ南はここが勝負どころ。いつものポーカーフェイスを保ったまま、肩で一息。手首に巻いたリストバンドで汗を一拭いしています』

ことり(えへへ、赤白のリストバンド…穂乃果ちゃん、海未ちゃんとお揃いの。頑張ろうねって、一緒に買ったんだよね。

……大丈夫だよ、ことり。深呼吸をするの。気付かせないで、誰にも、誰にも。

深く…)スゥ…

(・8・)

穂乃果(ことりちゃん…頑張れ、頑張れ!
ことりちゃんの強さは穂乃果たちが一番よく知ってる!)

海未(このイニング、もう小夜啼鳥葬送詩は投げさせたくない…。ことり…あと少し、あと少しです…!貴女ならやれる!)

(・8・) (お願い…!ことりボール!!)ズキン!!

海未(あっ、まずい!!)

恩田「高め!甘い!!」

カキィィン!!!!

海未「ライトっ!!絵里!!」

【実況】
『鋭い打球がライトへー!!
ライト絢瀬バック!ライト絢瀬バック!!フェンス際!速度を緩めない!!』

亜里沙「お姉ちゃんっ!!!」

絵里「絶対に…捕るわっ!!」

ドンッ!!!

440: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:13:02.44 ID:WJRCUC4B.net
【実況】
『ああっ!フェンス激突ー!!!
ライト絢瀬、倒れ込んだまま起き上がれない!UTX、続々とランナーがホームへ!

 

審判が駆け寄りボールを確認…落としていれば試合を決定付ける三点…判定は…』

アウト!!!

凛「と、捕ってたの!!?やったにゃあああ!!!」
花陽「す、すごいよ絵里ちゃんっ!!!」

希「絵里ち!!」タタッ
にこ「絵里っ!!」タタッ

絵里「希、にこ…ふふ、ファインプレーだったでしょう?守備位置がズレてたから捕れた…花陽のおかげね…」

希「それより怪我は…!」

絵里「大丈夫…頭は打っていないわ。おばあさまが守ってくれたのかも…」

にこ「でも、肩…っ!とりあえずベンチに戻るわよ!希!」

希「うんっ、肩貸すよ…絵里ち…」

【実況】
『大ファインプレーを見せたライト絢瀬、どうやら大丈夫なようです!
同じ三年生の矢澤と東條の二人に支えられるようにしてベンチへと帰っていきます!
ガッツあるプレーにスタンドからは万雷の拍手が送られます!!』

真姫「エリー!!」

絵里「私はいい!私よりもことりを!」

ことり「うっ…ぐう…っ」

穂乃果「ことりちゃん!ことりちゃん大丈夫!?」

真姫「ことり、肘を少し捻るわよ…?」…ググ

ことり「っあ…!痛いっ…」

花陽「こ、ことりちゃん…!」

真姫「花陽、救急箱の中に鎮痛剤があるわ。探してくれる?」

花陽「わかった!」

フミコ「あの、真姫ちゃん…絵里ちゃんの肩、赤く腫れて…」

真姫「…っ!見せて!」

絵里「……」

真姫(打撲…?一応は動かせるみたいだけど、骨にヒビが入ってるかもしれない。いや、それよりも腱が損傷してる可能性だって…)

441: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:15:44.82 ID:WJRCUC4B.net
絵里「真姫、交代はしないわ。とりあえず冷やせば出続けられるわよね?」

 

真姫「~~~、冷やしなさい!徹底的に冷やしなさい!フミコ、ガンッガンに冷やしてあげて!感覚が鈍るまで!」

フミコ「わ、わかったよ!」

海未「私のせいです…ことりボールではなく他の球を選択していれば、二人とも…」

にこ「海未、そんなの誰にもわからない事よ。アンタの仕事は悔やむ事じゃない。UTXの攻撃はあと一回ある。…抑える算段を立てておくわよ」

海未「にこ……っ、はい!!」

真姫(絵里…試合には出続けるとしても、投手は絶対に無理。だけど、ことりの腕はもう…)

真姫「ことり聞いて。小夜啼鳥葬送詩はこれ以上投げちゃいけない。
アレはことりの人並みはずれた身体の柔らかさ、関節の可動域の広さが相まって生まれた必殺の変化球。
だけど、それを投げる負担は人間の身体の構造…その限界を大きく超えているの。投げ続ければ間違いなく肘が壊れるわ。それも、すぐに」

ことり「真姫ちゃん…私はあと何球、小夜啼鳥葬送曲を投げられるかな?」

真姫「アナタ、まだ投げる気で!!っ…10球。いえ、それすら保証できないわ。次の1球で壊れるかもしれない」

ことり「うん、10球だね。あとアウト3つ。…十分だよ」

真姫「…………わかった。もう止めないわ。肘、ぶっ壊してきなさい。
……私のスポーツドクターとしての最初の患者はアナタになりそうね」

穂乃果「ごめんね…ごめんね…!穂乃果のせいで!」ポロポロ

ことり「穂乃果ちゃん、泣かないで?」

穂乃果「ことりちゃん…っ」

ことり「最初はね、廃校を止めてお母さんを助けるのが目的だった。
次は穂乃果ちゃんを助ける、穂乃果ちゃんを奪われないのが目的になった。
でも今はね…純粋に、負けたくないの。女の子の意地、かな」

海未「……ことり、穂乃果。勝ちましょう、絶対に。絶対に」

穂乃果「うん…うんっ!!」グスッ

443: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:17:11.14 ID:WJRCUC4B.net
♯61

 

【八回裏】

ズドンッ!!!

ストライクアウト!!

ツバサ「バイバイ、名もなき一年生さん?」

【実況】
『この回先頭の一番星空、カウント1-2から食らいつき三球粘りましたが…
あえなく三振っ!!これで15個目の奪三振~っ!!』

ガン!!

凛「ぐすっ…悔しいっ…!悔しいよぉ…!」

ポンッ

凛「…にこ、ちゃん…?」

にこ「…凛、もう一回お礼言っとくわ。今日一日、ずっとにこの事を気遣っててくれてありがとね」

凛「……にこちゃん」

にこ「それと、もう一つお礼。野球部を結成してからずっとアンタと組んできた一二番コンビ…最っ高に楽しかったわ」

凛「うっ…うう…っ!」ポロポロ

にこ「だから泣かないで。花陽と真姫、二人と一緒に見てなさい?
究極かつ至高の生命体こと、にこにーにこちゃんの!……最高の出塁をっ!!」

445: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:21:54.15 ID:WJRCUC4B.net
『二番 センター 矢澤さん』

 

ツバサ「有象無象がまた湧いた…今度は私と同じぐらいのおチビさんね」

にこ「にこはあなたのファンだから…全力でもう一度、その脳に名前を刻み込んでみせるわ。綺羅ツバサ」

スパァン!!

ストライク!

にこ「……いつも一人で、ずっと寂しかった」

ズドン!!

ボール!

にこ「そんなにこを、みんなが連れ出してくれた」

ズドォン!!!

ストライク!!

にこ「絵里、希…」

ガギィン!

ファール!!

にこ「穂乃果、海未、ことり…」

ズドン!!!

ボールツー!

にこ「真姫、花陽、凛…」

ギィン!!

ファール!!

にこ「にこに最高の時間をくれたあいつらの!!未来を奪わせたりなんて絶対にしない!!」

ズドンッッ!!!!136km/h

ボールスリー!!!

447: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:23:42.25 ID:WJRCUC4B.net
ツバサ「……小さく構えちゃって。徹底的に四球狙い。そんな華のない野球、何が楽しいの?」

 

にこ「華がない?はんっ!浅いわね綺羅ツバサ!」

【音ノ木坂応援団】
\ニッコニー!!!!!/

にこ「聞きなさい!!こんなにもたくさんの人がにこの出塁に期待してくれてる!!華がないだなんて言わせないわ!!!」

ツバサ「それじゃあ試してあげるわ!どこまでそのケチなカットを続けられるかを!!!」シュッ!!

\ピョンピョコピョンピョン カーワイー!!!/

―――コツン…

ツバサ「…は?」

英玲奈「ツバサ!セーフティバントだ!捕れ!ファーストへ送球ッ!!」

ツバサ「フルカウントから私の球をセーフティ…?スリーバントの危険があるのに…バカじゃないの?」

コロコロ…ピタッ

【実況】
『ピッチャー綺羅!意表を突かれ反応できず!そしてボールは三塁線でピタリと静止ー!!
二番矢澤、見事にセーフティバント成功っ!!!』

凛「にゃああああああ!!!」
絵里「さすがにこね!!ほんとにね!!」
海未「え、絵里!?まあとにかく凄いですっ!にこ!」
穂乃果「にこちゃーん!!かぁっこうぃいいいい!!!」

にこ「やーってやったわ!!!アンタたちぃ~!褒め讃えなさい!我が名を!!」

【音ノ木坂ベンチ】
『にっこにっこにぃぃぃぃ!!!!!!!!」

にこ「くぅぅぅうっ……!にこにー英雄譚の第1章が今ここに完成を見たわ!!!」

英玲奈「ツバサ…相手を舐めすぎだ!投球が雑になっている!」

ツバサ「関係ない…関係ないの、その他大勢は。……あなたは…あなたは?」

英玲奈「あ…ぁ、ツ、バサ…!」

ツバサ「……そう、英玲奈…英玲奈よね。英玲奈とあんじゅ…フフ…フフフ…大丈夫。だって次は…!!」

448: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:26:12.25 ID:WJRCUC4B.net
『三番 サード 高坂さん』

 

―――ズバンッッ!!!!137km/h

ストライク!

穂乃果「…最速!」

英玲奈「…!」

英玲奈(怖い…私はどうすればいいんだ…
ツバサの球威がまた増している…だが、進化の速度にアイツの脳が追いついていない…!
ツバサの才能の焔が、ついに自分の身を灼き焦がし始めている…!
頼む…頼むよ、ツバサ…お前に忘れられるなんて、辛すぎるんだ…)

ツバサ(穂乃果さん…私今ね、頭が最高に冴えてるの…なんだろう、どうしたのかな?
色々な事が思い出せなくなっていってる。けど、それでいいの…フフ。
どうすれば、どうすればもっと凄い球を投げられるのか、今なら簡単にわかるから。

息をするよりも!!

心臓を動かすよりも!!!

ずっとずっと簡単に!!!!)

穂乃果(ああ…お腹が空いたな~…

なぁんて、穂乃果は切羽詰まった時には今日の晩ごはんの事を考えようって決めてるんだ。

なんでかって?未来の事だから。

どんなに辛かったり、きつかったり、苦しかったりする時でも、ちょっと未来の楽しい時間の事を考えたら…自然と笑顔が湧いてくるんだよ。
ま、穂乃果みたいにご飯食べるのが大好きじゃないとこの方法は使えないんだけどねっ!

ちなみに今日の晩ごはんは決めてるんだ。試合に勝って、みんなで焼肉パーティー!!

凛ちゃんとにこちゃんがギャーギャー騒いで…
花陽ちゃんがご飯ばっかり食べてて…
海未ちゃんが鬼の焼き奉行で…
希ちゃんが幸せそうにお肉を頬張ってて…
ことりちゃんがデザートばっかり食べてて…
絵里ちゃんが謎のロシアうんちくを言って…
真姫ちゃんがお肉の質にブツブツ文句を言ってて…

穂乃果はそんなみんなの笑顔を見ながら…しゃとーぶりあん?を食べるんだ!真姫ちゃんの財布で!

だから…打つよ。ツバサさん)

449: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:27:32.71 ID:WJRCUC4B.net
ツバサ「ああっ…すごい!!あはははは!!!頭が割れそうッッッ!!!呼吸が辛いの胸が苦しいの!!!

 

あああ!!!

あなたが!!貴女が私をおかしくしたの!?高坂穂乃果!!!

最ッッ高!!!!

いいわ…!決着を付けよう…私とアナタの全てに!!!!」

シュッ!!!!

穂乃果(――――見える)

138km/h

ッッキィィィィン!!!!

【実況】
『火の出るような当たりーッッ!!!
サードの横を破ったァ!!フェア!フェアです!!打球はそのまま勢いよくレフトフェンスへ!!!

一塁ランナー矢澤は二塁を蹴って…三塁を!!

いや止めた!ランナー止まりました!そしてレフトから好返球!
ああこれはベースコーチの好判断!突っ込んでいればアウトかという送球でした!

そして打った高坂は二塁へ到達ー!!!
綺羅ツバサの自己最速138キロを見事に弾き返しての素晴らしいツーベース!!!』

451: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:31:53.27 ID:WJRCUC4B.net
ピピピ
花陽「穂乃果ちゃんの野球力…ご、55000…っ!!」

 

穂乃果「やっと…やっと!追いついたよ!!ツバサさん!!!」

ツバサ「………打たれ、た…?私の、今の球が?」

英玲奈(高坂穂乃果、なんて奴だ…。
138km/h、数字だけじゃない。間違いなくツバサのベストピッチ…それを真っ向から…あまつさえ、引っ張ってみせただと…!

…だが、当たりが良すぎた。ランナーは本塁へは辿り着けず。

残念だ。本当に、残念だが…)

ズドン!!!136km/h

スリーストライクアウト!!!

絵里(肩がっ…スイングが鈍って…!)

ズドォン!!!138km/h

スリーストライク…アウトッ!!!

希「っ!!なんで…なんで打てないんやっ!!!」

英玲奈(ここで、行き止まりだよ…音ノ木坂学院)

スリーアウト…チェンジ!!!

~八回裏終了~

UTX高校 4-3 音ノ木坂学院

454: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:36:21.82 ID:WJRCUC4B.net
♯62

 

【九回表】

ことり(穂乃果ちゃんは見せてくれました。…限界を越えた力を)

(・8・)『小夜啼鳥葬送詩』シュッ

佐藤「うわぁっ!?」ブン!

ワンナウト

ことり(じゃあ、ことりも応えないとね)

(・8・)『小夜啼鳥葬送詩』シュッ

田中「心経っ!??」ブン!

ツーアウト

海未(二者連続、三球三振…!バントさえ許さない究極の球…!ですが、ですがことり…!ボールに血が滲んで…!)

ことり(血は指の皮が擦れただけだよ、心配しないで?
(小夜啼鳥葬送詩)ナイチンゲールレクイエム…海未ちゃんが付けてくれた名前、とっても気に入ってるんだよ。でも…ちょっと皮肉な名前になっちゃったのかも…。

多分だけど、わかるの。この試合でことりの投手としての命はおしまい。

ピッチャー南ことりに捧ぐ葬送詩…になっちゃうのかな。
ふふ、ちょっとかっこつけすぎ?海未ちゃんのが感染しちゃったのかも)

海未(ことり…ことり…!)

ことり(そんな顔しないで、海未ちゃん…。
キャッチャーって女房役って言うんだよね?だからぁ…海未ちゃんは今!ことりの奥さんなのです!黙ってことりについてこい~!なぁんて?
ちなみに穂乃果ちゃんはことりの旦那様♪
実は、子供の頃に二人にサインさせた結婚証明書がことりの机の奥に眠っているのです。切り札は隠しておくもの…ふふふ…。
だから、二人のためなら。ことりはいくらでも頑張れちゃうんだよ?)

ツバサ「打たれた…打たれた…?」

(・8・) 「試合に集中してないなら…あなたも速攻でことりのいけにえにしてあげる」

(・8・) 『小夜啼鳥葬送詩』シュッ

ツバサ「……シナプスを駆け巡る。『どうすれば打てるのか』
バッターボックスの一番前、踏み込んで、…曲がり始めた直後、角度を合わせて上から掬う…」

キィン!

ことり「…えっ」

海未「あ…」

457: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:38:22.11 ID:WJRCUC4B.net
【実況】
『無情…っ!噫無情…!
力投の南、投じた122球目は…!『魔術師』…いや、天才…!天才綺羅ツバサのスイングで舞い上がり、そのままライトスタンドへ…!!

 

ホームラーン!!

綺羅ツバサゆっくりとホームイン!!UTX高校1点追加!!土壇場九回表…得点は5-3~!!』

ツバサ「……なにをみんな、そんなに騒いでいるの?」

あんじゅ「つ、ツバサ…!すごいわ…!」

ツバサ「……あんじゅ…?…どいて、頭が痛いの」ドン

あんじゅ「ツバサ…」

英玲奈「……」

(・8・) 「まだ、まだ諦めない…!穂乃果ちゃんは諦めてないから…!10球目…これが最後の!」

(・8・)『小夜啼鳥葬送詩!!!』シュッ!!!

(ブチィッ!!!)

ことり「……ッ!!」

スパァンンッ!!!

あんじゅ「……っ」ヨロ…ドサ…

スリーアウト!チェンジ!!

ことり(ごめんね、ごめんね…。ありがとう…ことりの右腕さん…)

466: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:47:40.76 ID:WJRCUC4B.net
【九回裏】

 

\ソーシーテー ワーターシーターチーハー メグリアウー……/

海未「……参ります!」

カキィィン!!!パシィッ!!!

にこ「打ったっ!?」

希「いや…」

海未「ピッチャー…ライナー…っ」ガクッ…

ツバサ「グラブ越しでも手が痛む。熱い思い、火の出るようなライナーだったわ、六番さん。……何の意味もなかったけれど!!」

海未「今ほど…今ほどっ…!自分をふがいなく思った事はありませんッ!!!」ガンッ!!!

絵里「海未が倒れて…ワンナウト」

にこ「っ…!一番期待の持てる海未が…!」

希「バッティングは悪くなかったんよ…。綺羅ツバサの、天運…」

穂乃果(大丈夫。みんななら絶対に)

花陽「あ…私の番…」

スチャ ピピピ
花陽「……」

花陽(綺羅ツバサの野球力はおよそ54800。そして私の野球力は1000ちょっと。50倍以上?勝ち目なんて…ない)

花陽(私の守備…あれだって、どのチームにでも使えるわけじゃないんだ。
UTXの試合が大好きで、何度も何度も何度も見てたから…UTXのバッターの癖を覚えてたの。
だから、私が英玲奈さんの真似みたいな事をできるのはこの試合だけ。

本当に、本当に、大したことない選手…。ツバサさんなんかとは比べちゃいけないくらいに…)

希(次は花陽ちゃん…なにか、なにか声を掛けてあげんと…!)

凛「か、かよちん…!」

花陽(だけど…)スッ

希(花陽ちゃん…?眼鏡を取って…)

469: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:51:27.33 ID:WJRCUC4B.net
希「…握りつぶした!?」

 

花陽「……っ!数字なんて関係あるもんか…!野球なんて所詮は確率と運のスポーツ!ツバサさんが天才だって同じ高校生!金属バットなんだから当たれば飛びます!!絶対なんて!!絶対に存在しません!!!」

凛「かよちん…!そうだよ!その意気にゃっ!!」

海未「花陽…!」

にこ「花陽!自信持っていくのよ……アンタは今日、一度も三振してないんだから!」

絵里「打てるわ。花陽なら絶対に。私とした練習を信じて?」

花陽「打ってきますっっ!!」

『七番 セカンド 小泉さん』

【実況】
『打席に入るのは七番の一年生、小泉。
今日は試合の序盤から、幾度も幾度もUTX打線の猛攻を食い止めるファインプレーを見せてくれました!
さあピッチャー綺羅、モーションに入る。
小泉を見据え…投げた!!』

花陽(軌道、見える…少しだけど…っ

慌てないで、絵里ちゃんに教わった通り…重心を残して、前に突っ込まずに…!

芯に当てる!!!)

キィンッ!!

【実況】
『当てたっ!一、二塁間のゴロ…!
破った!破った!!ライト前へと転がっていく、守備の名手小泉!意地のライト前ヒットー!!』

凛「かよちんが打った!!かよちん!!!かよちーん!!!」

絵里「ハラショー…っ、本当にハラショー…!教えた通り、完璧な動き…花陽っ…!」グスッ

真姫(花陽は七番…ことりが八番…今はワンナウト…その次は…)

472: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:54:33.09 ID:WJRCUC4B.net
ことり「花陽ちゃん、出たんだ…!じゃあ次はことりの番だね…っ」

 

海未「ことり…!あなたが打席に立つのはもう無理です!」

ヒデコ「ことりちゃん、私が代打に出るよ!それなりにだけど…準備もしてきたから…」

フミコ(一塁コーチ)(ヒデコ…一塁のそばから見ててでも緊張してるのがわかるよ。そうだよね、私たちじゃ多分…無理)

ミカ(三塁コーチ)(準備はしたわ、けど…私たちじゃ経験が足りないよ…)

ことり「ふふ…ありがとう、ヒデコちゃん」スッ

ヒデコ「ことりちゃん…」

ことり「でも、ダメなの。絵里ちゃんが肩を痛めてるのはもうバレてる。ここで私が降板すれば…追い付けても先がない」

希「ことりちゃん…でも、ことりちゃんの肘、もう投げる事は…」

ことり「それでも…それでも、私がいなくなって綺羅ツバサを楽にしてやるつもりはない…そしてアウトをくれてやるつもりもないから…!」

絵里「けど、ことり!」

理事長「……みんな、ことりを行かせてあげて?これは私の監督としての、一つだけの采配」

海未「理事長…」

ことり「お母さん、ありがとう…行ってくるね?」

理事長(本当は…あの腕、もうとっくに親としては見ていられない範囲…
だけど、だけど…子供の頃からずっと、どこか自信を持てずにいたことりが、あんなに強い目で羽ばたいてる…
それなら、行かせてあげるのが親としての務めよね…)

ツバサ「手負いのエース、最後の力を振り絞ってバッターボックスへ。泣かせるわね」

スパンッ…!

ストライクアウト!!

ツバサ「けど、無駄だったわね?」

ことり「パーム…ボールっ…」ガクッ…

【実況】
『南、ストレートに食らいついて9球粘るも三振~!
最後は変化球の前にバットが空を切ってしまいました…!ツーアウトっ!!』

475: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:56:17.37 ID:WJRCUC4B.net
ことり「みんな…ごめん…ごめんね…」ポロポロ

 

凛「泣かないで…ことりちゃん」

絵里「くっ、ツーアウト!」

海未「バッターは…」

希「真姫ちゃん…!」

真姫「私の…番」

真姫(私が、私が打たなきゃ試合が終わっちゃう…穂乃果がいなくなって、この9人でいられる時間が終わっちゃう…!

打たなきゃ…打たなきゃ打たなきゃ打たなきゃ…!

………ダメ

…ダメよ、私なんかには無理…!

綺羅ツバサのボール…私、一度もバットに当てられてない…なにが天才よ!なにが…

手が…手が震えてバットが…持てない!怖い…!)

477: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 01:58:07.98 ID:WJRCUC4B.net
花陽「真姫ちゃんっ!」
凛「まーきちゃん!」

 

真姫「……!凛…、花陽?あなた、一塁ランナーじゃ…?」

凛「うあーやっぱり!真姫ちゃんガチガチだにゃー!」
花陽「私がね、タイムを掛けてもらったの。真姫ちゃんとお話したくって。えへへっ」

真姫「……」

凛「怖いよね。凛にもわかるよ。自分のせいで全部終わっちゃうんじゃないかって、何度も何度も夢で見ちゃった。…でも、真姫ちゃんだけのせいじゃないよ。今日、凛も全然打ててない。もしダメでもアウトの数は一緒だよ」

真姫「…そうね、一緒に責任負ってね?」

花陽「真姫ちゃん」ナデナデ

真姫「う゛ぇえ…!何するのよいきなり」

花陽「打てなくたっていいんだよ……たかが野球、殺されるわけじゃないんだから」

真姫「ちょっと…野球狂いのあなたがそれ言っちゃうの?……でも、ダメ…もし打てなかったら穂乃果が、と思うと」

花陽「もし連れて行かれちゃったら、みんなで毎日会いに行こうよ!」
凛「バット握ってUTXにカチコミ掛けて奪還してもいいにゃ!」

花陽・凛「「だから」」

花陽と凛のあたたかい手が、そっと私の背中を優しく押してくれた。

花陽・凛「「がんばれっ!」」

……うん、ありがとう。震え、止まったよ。

ベンチの段差に片足を掛けて、ベテラン監督みたいに鋭い目のにこちゃん。一瞬、視線が交錯する。にこちゃんは「真姫ちゃん!」と一声、満面の笑顔でにこにーポーズをとって見せてきた。

……ほんと、馬鹿なんだから。

キャッチフレーズ。自分のテンションを上げられる魔法の言葉。にこちゃんが昨日言っていた言葉が脳裏によぎる。試してみる?

『勝利は金で買えるのよ!』…いや、これはないない。

「……まっきまっきまー」

手の形を作って、呟いてみる。もちろん、誰にも聞こえないように小声で。

……何してるんだろ、私。

そんな自嘲で、強張ってた頬の筋肉が自然と弛む。…やっぱりにこちゃんってすごいのかも。

絵里、希、海未、ことり、穂乃果。
みんな力強く優しい瞳で私を見てくれている。誰一人、勝負を諦めてないのね。

真姫「見てなさいよ。打ってくるから」

481: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 02:04:31.98 ID:WJRCUC4B.net
『九番 レフト 西木野さん』

 

ツバサ(苦しい…苦しいよ、あんじゅ…英玲奈…穂乃果さん…)
ツバサ「ねじ伏せて…全部終わりよ、九番の名無しさん」

英玲奈(ツバサ…狂気と正気の狭間で苦しんでいる…ツバサ…!)

真姫(綺羅ツバサ、今は何を考えてるのかしら。
……そう、焦っちゃダメ…。さっきの打席、私の打撃理論は完成を見た…!
考えるのよマッキー、クールで冷静沈着、かつクレバーに。
まずは深呼吸。大量の酸素を取り込むことで、優秀極まりない私の脳細胞を活性化させるの。

スゥゥゥ…ハァァァ…、、

オッケー、まず…認めるのはシャクだけど、こいつは私を舐めてる。
真姫ちゃんパパが見つけた弱点その2!手抜き癖!ってね。…ま、本当は絵里が聞いたんだけど。

とにかくそれなら、私の苦手なコースとかじゃなく、自分の得意なコースで決めようとしてくるはず。つまりボールが一番伸びる、真ん中高め…!)

ツバサ(全球ストレート…最高の球で三振させて…終わらせる!!)シュッ!!!

真姫(ボールが見えなくたっていい、掴んだタイミング…!私の完璧な頭脳で割り出したコース!!脳内で構築したマッキー式完全打撃理論に従って体を動かすのよ!

私は天才、西木野真姫なんだから!)ブンッッ!!!

カッ…キィィーーーン!!!!

【実況】
『打ったァーーー!!!!

白球高々と舞い上がる!!!

ライト後方を襲う!!

ライト優木下がる!下がる…!』

英玲奈(完璧なフォーム…理想的なスイング!西木野真姫、君の大きな臀部は紛れもない強打者の資質。あの日、勝負を仕掛けられた瞬間から、私はいつか君に打たれ、敗北する事がわかっていたのかもしれない……)

英玲奈「―――だが、その敗北は今日ではない!

この打球は一伸びが足りない!あんじゅ!フェンス際のライトフライだ!!!」

【実況】
『ライト優木…フェンス際で…こちらを向いた!

伸びない…!』

486: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 02:08:14.92 ID:WJRCUC4B.net
希「ダメや…もう伸びん…!」

 

絵里「嘘っ…!」

にこ「真姫ちゃん…!」

穂乃果(まだだよ!まだ…諦めないっ!)

あんじゅ「惜しかったわね、西木野さん…。フェンス際でフルハウスよ」

ツバサ「この回、一本だけ奇跡のヒットが出たけれど…奇跡って物はね、二度は起こらないから奇跡と呼ぶの。これで万事、ゲームセットよ」

真姫「まだよ!!」

真姫(今よパパ!)指パチン!

【アキバドーム空調室】

真姫パパ「今だ、空調をMAXにしたまえ」

ドーム空調係「まきちゃん」オシテポチリー

【空調】
\ゴオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!/

あんじゅ「あら…あらあら…えっ!?」

【実況】
『あっ!落ちかけていた打球が浮き上がって!?不可解なもう一伸びっ!?

は、入った!…?

はっ、は、入りましたぁっ!?!!

伏兵、と呼んで差し支えないでしょう、九番西木野!あの綺羅ツバサから!
土壇場九回!
ライトスタンドへ!!
なんとも不思議な!!!
起死回生!奇跡の!奇跡の!!同点ホームラーン!!!』

真姫(そうだ…私のキャッチフレーズ。決めたわよ、にこちゃん)

真姫「ねえ、知ってたかしら?一億もあればね…」

真姫『奇跡は金で買えるのよ』

 
622: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 23:52:45.30 ID:WJRCUC4B.net
穂乃果「やったやったやった!!!!すっごいよ真姫ちゃあああん!!!!」

 

にこ「やってくれたわね真姫ちゃんんんん!!!!でも今の打球って…」

花陽(ドームランはまずいよ真姫ちゃん!!!でも最高!最高だよぉぉ!!!)

凛「ちょっと(空調が)さむくないかにゃー?」

英玲奈「…参ったな。データにないぞ、こんなのは。ツバサ、気を取り直して…」

ツバサ「………」フラ…ッ

英玲奈「ツバサ…?」

ツバサ「……」ドサッ

英玲奈「ツバサッッ!!!」
あんじゅ「ツバサぁっ!!!」

ツバサ(存在を認めてこなかった『その他大勢』。その一人のホームラン…敗北を喫する事を、私の脳は理解せず…認めてくれなかった。

オーバーヒート。焼けそうに痛む頭、白く明滅する視界。駆け寄ってくる二人、キャッチャーの子と…外野の子。

「ツバサ!」「ツバサぁ!」

一生懸命に呼び掛けてくる。誰だっけ…とても、大切な人たちだった…そんな気がするのだけど。

呼吸の仕方がわからない。心臓ってどうやって動かしていたんだっけ?

結局私って、何がしたかったんだっけ…?

ああ、思い出した…子供の頃の…

623: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 23:55:09.88 ID:WJRCUC4B.net
【実況】
『場内、未だ興奮冷めやらず!ツーアウトから飛び出した九番西木野の同点ホームラン!
直後、ピッチャーの綺羅がマウンド上に倒れこんで場内が騒然となりました。心配されましたが、しかし立ち上がり続投。どうやら足を滑らせただけとの情報が…~~』

 

凛(凛でも全然わかるぐらいのボール球ばっかりだ…)

スパン

ボール!

フォアボール!

英玲奈(ツバサ…お前は…)

―――私はどうしてこうなっちゃったんだろう。

綺羅ツバサ、東京某所のサラリーマンの家庭に生まれる。
商社勤めの父親と、そこそこ良い大学を出たらしい母親。それなりに裕福な家庭の一人っ子。
あ、寺生まれはもちろん嘘ね。

私の両親は虚栄心の強い人たちだった。立派な家、良い車、高そうな時計、ステータス、ステータス、ステータス。

それは娘の私に対しても同じ。飾れ飾れ、ステータスを身に付けろ。

習い事で埋め尽くされたスケジュール。ピアノ、水泳、書道、英会話、学習塾、etc.
習い事が終われば次の習い事の準備、予習と復習、学校の宿題だってある。
例えばスイミングスクールで仲良くなれそうな子がいたって一緒に遊ぶ暇がなければ、会ったら会話を交わす顔見知り以上の関係にはなりようがない。

私が住んでいたのは庭付き一軒家、結構良い感じの二階建て。その二階の子供部屋。
ピアノの教本や英単語帳、大量の宿題で埋め尽くされた勉強机のそばの窓からは、近所の公園が見渡せた。
いつもいつも、同い年くらいの子供たちが楽しそうに遊びまわってた。

鬼ごっこ、かくれんぼ、大なわとび、グリコじゃんけん。私はどれもやった事がない。だけどやり方は知ってるの。ずっと窓から見てたから。

そんな私が小学校高学年になった頃、英会話教室の帰り道。偶然足元に野球ボールが転がってきた。

私はそれを投げ返して…始めて野球に触れた。

626: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 23:59:04.30 ID:WJRCUC4B.net
地元の少年少女野球クラブ…って言っても、リタイアしたお年寄りが暇な子供を集めて野球を教えてるぐらいの、公園のフェンスに囲まれてやってるようなお遊びレベルの、あったかい集まり。

 

そんなチームのおじいちゃん監督が、私の投げ方をびっくりしちゃうぐらい褒めてくれた。そして、私の両親に野球をやらせるべきだと話をしてくれた。
あのおじいちゃん監督、結構好きだったな。名前は…忘れちゃった。ごめんなさい。

最初は難色を示していた両親も、説得に折れて私が野球を始める事を許してくれた。もちろん、習い事は減らさずに。
父も母も、私を『自慢の娘』にしたくてたまらなかったんでしょうね。

ああ、両親の事が嫌いかって聞かれると、そういうわけじゃないわ。やりすぎな節があっただけで、愛情がなかったわけじゃない。だからって好きかと聞かれると…困っちゃうけれど。

『二番 センター 矢澤さん』

にこ(俊足の凛にストレートの四球…。綺羅ツバサ…なんだか、朦朧としてる?)

―――私はメキメキと頭角を現していった。

何ヶ月も経たないうちに、クラブの中で一番上手い子供になった。
クラブにようやく馴染んで、友達ができそうだと思った頃、両親はその見栄を満たす方法を私の野球の中に見い出したみたい。

クラブを辞めさせられ、リトルリーグの強豪チームへ。

気分一新、そこで友達を作ろう…なんて考えたけど、バカだった。
年下の、しかも女の子。それが上級生顔負けのボールを投げてあっと言う間にエースに。みんなが面白く思うはずがない。
子供の頃から本格的に野球をやってる子って、負けん気の強い子が多いしね?

627: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:00:07.40 ID:j8TMasQu.net
チームの監督は徹底した勝利至上主義だった。
意図的に偏った起用で子供たちの対抗心を煽り、チーム内の切磋琢磨と上達を促す方針。……たかが子供の野球なのにね。

 

とにかく強いけど、とても仲の悪いチームだった。だから、私は野球の技術を磨く事に没頭した。

上手くなるにつれ、監督、両親、周りの大人たちが嬉しそうに言葉を掛けてきた。

勝て、勝て、勝て。

野球の才能がある。お前は天才だ。『その他大勢』の選手とは違う。

負けるな、お前の野球には価値がある。お前のピッチングには価値がある。

私の価値は野球にある。野球が上手な事が綺羅ツバサのアイデンティティ。

じゃあ今、『その他大勢』の選手に負けた私の価値は…?

…スパン

ボール!フォアボール!!

【実況】
『連続フォアボール~!!!
ピッチャー綺羅、やはり様子がおかしいか!気落ちは隠せず!制球が定まりませーん!!!』

にこ(114km/h…ボールにまるで体重が乗ってない…)

628: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:02:18.28 ID:j8TMasQu.net
―――UTXに入ってからも、私の環境は大きく変化しなかった。四軍制の厳しい競争社会。

 

…いや、少しは違ったのかな。うちの監督…名前はええと…そう、新井。
あいつの事は嫌いだけど、四軍まで全員の顔と名前、誕生日をちゃんと覚えてるらしいし、慕ってるチームメイトも多いから、きっと悪い奴ではないんだと思う。

そして…

理屈屋な英玲奈と、腹黒あんじゅ。

私の何を気にいったのか、二人揃ってやたらと絡んできてくれた。
悪い気分はしなかったし、名前を覚えられるぐらいに野球も上手かったから、ずっと一緒につるんできた。

……初めての友達、と呼んでいいのかな。本当はわからないんだ、友達を作った事がなかったから。

でも…うん、今わかった。私は二人の事が大好き。

大好きだよ、英玲奈、あんじゅ。

でも、二人に素直にそう伝えるには、二人の優しさに応えるには、私の心からは何か大切なものが欠落していて。

『野球が上手い』というアイデンティティを失った私は、あまりにも無価値で。

結局、私は何がしたかったのか。

今、思い出したの。

子供の頃、私がずっと窓越しに眺めていた…公園で遊ぶ三人組の女の子たち…

その中で一番元気で、キラキラしてて、誰にでも「遊ぼうよ」と手を差し伸べてる、太陽みたいな女の子…

10年…もっとかな?…それぐらい昔の記憶、もう決して手に入らない煌めき。

あの日、忘れていったゴムボール。今でもずっと持ってるんだ。

ああ…ずっと、ずっと夢だった…私もあそこに飛び出していって…

穂乃果「ツバサちゃんっ!」

ツバサ「……穂乃果、ちゃん…?」

すぅぅっ…

穂乃果「遊ぼうよっ!!!」

ツバサ「……!うんっ……!!!」

『三番 サード 高坂さん』

631: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:04:38.85 ID:j8TMasQu.net
わかったよ…わかったんだ、ツバサちゃん。

 

私たちが遊んでいた公園のすぐそば、おしゃれな屋根のおっきなおうち。その窓からこっちを見てる、お人形さんみたいに可愛い女の子。

あれが、ツバサちゃんだったんだね!

ずっとずっと、言いたかった。一緒に遊ぼうって。

言えなかった…聞こえないだろうと思って。断られるのが怖くって。

ごめんねツバサちゃん…10年以上かかっちゃったけど…。

今、来たよ!

真姫「肘の壊れたことりはもう投げられない。肩を痛めた絵里も同じ!」

にこ「二人だけじゃない。少ない人数で戦ってきたにこたちは、もう全員が体力の限界…!」

花陽「このまま同点でこの回が終われば、次のピッチャーがビッグイニングを作られて勝負が決まっちゃう…!」

希「アルカナの暗示は『世界』(The World)!意味は成就、完成、完全!」

絵里「だからこの打席が、正真正銘この試合の行き止まり!」

凛「やれるよ!絶対に!絶対に!!」

海未「穂乃果なら!」
ことり「穂乃果ちゃんなら!」

穂乃果「ツバサちゃん!!!」

ツバサ「穂乃果ちゃん!!!」

「勝負よ!!!」「勝負だよっ!!!」

―――そして、最後の一球は……

632: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:08:21.87 ID:j8TMasQu.net
♯エピローグ

 

凛「それではそれではぁ~?」
花陽「音ノ木坂学院の優勝を祝してぇ~!?」

にこ「決勝戦でマルチヒット&1四球をマークしたウルティメイトにこにー様の武勇伝講演会を開始したいと

全員『かんぱーい!!!!!!!!』

にこ「かんぱぁぁぁい!!!!」

TV
\~~で行われた決勝戦は最終回、二年生キャプテン高坂のサヨナラスリーランで…~~/

希「焼肉やん!!焼肉やぁぁん!!」

にこ「しかも食べ放題っ!!食べ放題!!いい響きよねぇ~…庶民の味方!!」

ことり「デザートもいっぱいあるねぇ~♪」

花陽「ごはんも食べ放題!取りに行こっ?ことりちゃんのお皿は私が持ってあげるね♪」

にこ「…で、ことりは病院に行かなくていいわけ?」

真姫「本人が鎮痛剤を使ってでも祝勝会に参加したいって言うんだから仕方ないでしょ。ま、明日すぐにうちの病院で見るし、もし何かあっても保護者席に私のパパもいるし大丈夫よ」

ことり「うふふ?、スジっぽいお肉を食べたら靭帯が復活したりしないかな?」

にこ「じ、靭帯ジョークやめなさいよ…エグいから…」

希「ヒデコちゃんたちがいないけど、どうしたん?」

穂乃果「んー何度も連絡してるんだけど…なんか広報?とか色々やってくれてるみたいで。忙しいから9人で楽しんでねーって」

にこ「裏方根性が染み付いてんのねー!そんなんじゃダメよ!これからはあの三人もガンガン試合に出てもらう事になるんだから!」

希「次は無理矢理にでも連れてかんとやね。ふふっ、ワシワシしちゃおうっと」

633: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:09:41.81 ID:j8TMasQu.net
絵里「それにしても、スタミナ野郎…ハラショーな店名ね」

 

凛「ゼリー焼っくにゃー!!」

絵里「ぜ、ゼリー?」

海未「剥き出しで置いてある取り放題の生肉…衛生面は大丈夫なのでしょうか…」

穂乃果「海未ちゃんってば心配性だなぁ、平気平気ぃ~!」

ペラッ
希「タロットは『死神』…女子高校野球優勝校、祝勝の夜に食中毒で全滅っ…!全滅っ…!」

ガタッ!!
海未「出ましょう!!店を出るのです!!今すぐにッッ!!」

希「ちょ!冗談っ!冗談やってぇ!!?」

凛「穂乃果ちゃん穂乃果ちゃん、卵あったからこっちの甘ダレと生肉で混ぜてユッケにして食べるにゃ~」

穂乃果「おお、組み合わせマジック!凛ちゃんってばアイデアウーマン!!」

海未「いけません!!やめなさい!!やめてくださいっっ!!」

真姫「……品のない店ね。ねぇ、パパがもっと高い店に連れてってくれるって行ってるけど?」クルクル

穂乃果「じゃあ明日はそれに行こう!!」

ことり「お母さんもごちそうしてくれるって言ってるよ」

穂乃果「明後日はそれだね!!!」

理事長「みんな、楽しんでるかしら?」

ことり「あっお母さん!」

穂乃果「理事長カントクぅ!ねえねえ、こっちで一緒に食べようよー!」

にこ「ウェルダン?ミディアム?それともレアで?肉を完全!完璧な焼き具合で提供させていただきますぅ!この矢澤が!矢澤にこが!だから内申点を!」

希「あ、ここ席空けますよ~?」

理事長「うふふ、私はあっちで保護者の皆さんと楽しんでるから気にしないで♪」

ことり「あ、お母さんってばお酒のビンなんて持ってる」

理事長「今日くらいは、ね♪」

絵里「ふふ、ご機嫌ですね」

理事長「ご機嫌よ♪それでね、みんなに伝えておかなければいけないことがあるの…」

穂乃果「えっ…」
絵里「な、なんですか…?」

634: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:10:43.23 ID:j8TMasQu.net
理事長「廃校は…」

 

穂乃果・絵里「「廃校は…!?」」

理事長「………なくなりましたぁ~♪」

穂乃果「えっ、ええっ…?」

絵里「ましたぁ~って…」

希「ノリ軽っ!?」

理事長「ふふ…やっぱりね、野球の注目度は凄かったの。来年度の入学に関する問い合わせが殺到。OBからの寄付金も多数。
モチベーションが下がるかもと、伝えていなかったのだけど…本当は決勝よりも前に、廃校の撤回は決まっていたのよ」

絵里「そうだったんですね…良かった…」

理事長「本当に、ありがとうね。あなたたちは音ノ木坂学院の…そして、私たち親の誇りです。
それじゃあ、胃もたれしない程度に楽しんでね。明日か明後日か、私のお金でもっといいお店にも連れて行きますからね。ふふっ」トン

穂乃果「ご機嫌だったねぇ…」

にこ「千鳥足ね」

海未「酒瓶も置き忘れて行きましたね…」

絵里「……さて、今日で私たち三年の野球はおしまい。この9人でこうやってゆっくり集まれる事も少なくなっちゃうのかな…」

海未「絵里…」

凛「絵里ちゃん何言ってるの!スポーツなんていくらでもあるんだよ!」

穂乃果「昨日テレビで見たんだけどね!競歩って奥が深いみたいだよ!」

真姫「なんでよりによって競歩よ…」

海未「穂乃果!凛!三年は受験勉強をしなくてはいけないのですよ!」

にこ「それに、アンタたちは野球まだまだ続けてくんでしょ?練習しなきゃダメよ。追われる立場になるんだから」

穂乃果「うー…」
凛「でも…」

640: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:15:12.12 ID:j8TMasQu.net
海未「……ですから、受験の合間の息抜きになるよう、野球部と兼ねて!登山部を立ち上げましょう!登山ならば我々の体力底上げにも極めて有効!」

 

希「ひえっ…」
凛「目がマジにゃ…」

花陽「いえ!料理研究部で白米を極めましょう!野球にも勉強にも良質な食事は大切…まずは究極の土鍋炊きからっ!」

にこ「あ、タッパー持参してよければ料理研究部に一票よ」

希「ウチはオカルト研究部がいいなぁ。絵里ちを先頭にして心霊スポット巡りへGO!」

絵里「そっ、それだけは嫌よぉ!?」

花陽「ご飯おかわりに行ってきまぁす!」モグモグ

凛「はいにこちゃん、葉っぱでお肉包んであげたよ」

にこ「なによ、凛のくせに気が利くじゃない。やっとアンタにも先輩を敬う心ってやつが出てきたのねぇ~!あと葉っぱじゃなくてサンチュっていうのよ。いただきます、はむっ。…って!辛っ!辛ァッ!」

凛「引っかかった引っかかった!この店秘伝の激辛味噌をたっぷり挟んであげておいたにゃー!」

花陽「ご飯おかわりしてくるねっ!」モグモグ

にこ「ギャアア!?口が燃える!熱い!あ、でもコレすごい美味しいかも…やっぱ辛いっ!でもウマイ…ああ辛いぃぃ!」

絵里「最低で最高の辛味噌…」

真姫「…エリー、何言ってるの?」

花陽「ご飯おかわり欲しい人いる?ついでについでこよっか!」モグモグ

希「は、花陽ちゃん…それ何杯目のおかわり?」

花陽「えっと…14?」モグモグ

希「……ま、気にせんとこ。お肉おいし~♪」モグモグ

海未「希!焼きが足りませんよ!食中毒になっては大変です!!赤さがなくなるまでやくのです!!むしろ黒くなるまでっ!!!」

真姫「……こんなものが本当に肉なの?ゴムみたいだし臭みもあるし…」モグ…

穂乃果(えへへ…みんなみんな、穂乃果がイメージしてた通りの事してる。楽しいな、楽しいなっ♪)

648: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:17:59.61 ID:j8TMasQu.net
穂乃果「……って!ぅ絵里ちゃん!!!」

 

絵里「なっ、何?穂乃果」

穂乃果「ロシアうんちく言ってよロシアうんちく?!絵里ちゃんだけノルマ未達成なんだよ?!」

絵里「何の話!?え、ええと…マトリョーシカの起源は日本かもしれない、って説があるの。と言うのもね?」

穂乃果「あ、もういいよ!ノルマ達成ありがとうっ!」

絵里「ええっ!?さ、最後まで語らせてよぉ!」

穂乃果「さあ、これで心置きなく…ねえ真姫ちゃん!穂乃果はしゃとーぶりあんが食べたいよ!」

真姫「シャトーブリアン?こんな店には置いてないでしょ」

穂乃果「ええっ!?私の完璧なディナー計画がぁっ!!しゃとーぶりあん!しゃとーぶりあんお願い!!しゃとーぶりあんー!!」

真姫「ヴぇえ!?フザケナイデ!そもそも、なんで私が!」

穂乃果「穂乃果サヨナラホームラン打ったじゃん!ご祝儀だと思って!」

真姫「私だって同点ホームラン打ったわよ!学年で言えば穂乃果が私におごるべき!」

花陽「ご飯おかわり行くねぇ?!」

穂乃果「わかったわかった、後でガムおごるからさぁ?」

真姫「いらない!っていうかそれお会計でもらえるガムをくれるだけのつもりでしょ!?」

ことり「……」

660: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:22:26.43 ID:j8TMasQu.net
花陽「ことりちゃん、さっきから静かだけど…」モグモグ

 

凛「大丈夫にゃ?」

真姫「ことり?もしかして腕が痛むの?やっぱりすぐに病院へ行った方が」

(・8・) 「ワタシはことり神」
(・8・) 「一年生の皆さん。そこに並んでください」

花陽・凛・真姫『え?』

(・8・) 「あなたたちは可愛すぎます。重罪です」

(・8・) 「あなたたちをことりのフルコースにします。凛ちゃんは前菜。花陽ちゃんはサラダ。真姫ちゃんはスープです」

花陽・凛・真姫(ガクガクブルブル)

チュンチュンチュンチュンチュンチュン!

ピャアアアア!!!
にゃああああ!!!
ヴェエエエエ!!!

にこ(ちょっ、ことりが悪質なキス魔に…!どうなって…)

絵里(あら?この瓶は何かしら)

にこ(理事長が置いていったやつでしょ?)

絵里(…ええと、紹興酒…)

にこ(……さっきことり、このジュースなんだろ?おいし~♪とか言って…)

絵里(でもこれ、空っぽ…)

希(アカン)

(・8・) 「三年の皆さん」
(・8・) 「可愛すぎます」

ハラァアアア!!!
やぁあああん!!!
にこぉおおお!!!

(・8・) ギロッ

海未「ひっ…こ、ことりがこっちを向いて…!」

穂乃果「さらば海未ちゃん!三十六計逃げるになんとか!!」ダダッ!!

海未「あっ卑怯ですよ穂乃果!あとそこまで覚えてるならちゃんと最後まで言いなさ(・8・) 「海未ちゃん」

う゛ぁああああ!!!

665: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:25:48.71 ID:j8TMasQu.net
~店外~

 

穂乃果「おー怖っ。海未ちゃん囮作戦大成功だよっ」

穂乃果「ふぅ、夜風が気持ちいい…」

ツバサ「―――キャッチボールをしたあの夜みたいね…穂乃果さん」

穂乃果「あっ…!ツバサさ…!……じゃなかった、よね」

ツバサ「…そうね、ふふ。間違っちゃった」

穂乃果「ツバサちゃん」
ツバサ「穂乃果ちゃん」

穂乃果「えへへっ」
ツバサ「ふふっ…」

英玲奈「こんばんは、高坂さん」

あんじゅ「こんばんはぁ」

穂乃果「あ、英玲奈さん!あんじゅさん!こんばんは!えっと…今日の試合は」

英玲奈「ああ、本当に…いい試合だった」

あんじゅ「優勝、おめでとう」

穂乃果「えへへ…ありがとう」

ツバサ「……」

ツバサ「あの、ね…?
……穂乃果ちゃん、私とあなたって…」
穂乃果「友達だよ」

ツバサ「……!」

穂乃果「友達だよ、ツバサちゃん!」

ツバサ「うん……うん…っ!
……あの…英玲奈、あんじゅ…二人も、私の…」

英玲奈「当たり前だろう」
あんじゅ「ふふ…今更?」

穂乃果「それにツバサちゃん!穂乃果との約束…まさか忘れてないよね~?」

ツバサ「約束…」

穂乃果「私や英玲奈さんあんじゅさんだけじゃないよ!音ノ木坂のみんなとも友達になろう!そしてまたみんなで!野球をしようよ!」

ツバサ「うん…うんっ…!」

669: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:29:31.12 ID:j8TMasQu.net
ガシィッ

 

穂乃果「んん…?もう!爽やかな話をしてるのに背後から肩を掴んで邪魔するのは誰かなぁ!」

(・8・)「唇を捧げよ」

穂乃果「こ……ことり神様!」

海未「……逃げましたね?穂乃果」

穂乃果「なんかキスマークまみれになってて破廉恥な海未ちゃん!」

海未「……希からの言伝です。『高坂脱走兵、貴様に焼肉大食いデスマッチを申し込む!逃げたら…三年生一同、ジェットストリーム生ワシワシ行くよぉ~?』だ、そうです」

(・8・) 「おら、戻るぞハノケ!」ガシィ

穂乃果「ちょ、キャラ!キャラ崩壊やばいよことりちゃん!?海未ちゃんも目が据わってるし!!
ああああああ!!!ツバサちゃーん!今度ご飯行こうねー!英玲奈さんもあんじゅさんもぉぉぉぉ…」ズルズルズル…

ツバサ「……ふふ、嵐みたいに行っちゃった」

あんじゅ「ほんと、楽しそう。いいチームね、音ノ木坂って」

英玲奈「ああ、本当にな…」

英玲奈「そういえばあんじゅ、絢瀬絵里が東條希に付き添われて謝りに来たあの後…二人で話をしていたが、結局どうなったんだ」

あんじゅ「……ジュースをね、奢ってもらったわ」

英玲奈「フフ…そうか、良かったじゃないか。学生らしくて」

ツバサ「……ぅ…っ……」

英玲奈「おい、ツバサ…」

あんじゅ「大丈夫…?また、どこか痛むの?」

ツバサ「…うう…っ…ぐす…ひっく…」ポタ…ポタ

英玲奈「泣いてる…のか…?」

ツバサ「…悔しいよぉ…勝ちたかったよぉ…!」ポロポロ

あんじゅ「ツバサ…っ、そうね…そうだね…っ…」ポロポロ

英玲奈「私も…勝ちたかった…お前たちと一緒に…っ!」ポロポロ

ツバサ「ひっく…ひっく…っ……、ヤケ食いよ…!英玲奈!あんじゅ!それに……佐藤さんや、野球部のみんなと!一緒にヤケ食いに行こうっ!!」

英玲奈「……ツバサ!!名前…っ、ああっ…そうしよう…!そうしよう!」

あんじゅ「ツバサ…!ツバサぁっ…!!よかった…よかったぁ…!本当に…!」

677: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:32:36.04 ID:j8TMasQu.net
穂乃果「ツバサちゃああああんんんん!!!!!」

 

ツバサ「え、戻ってきた…?」

英玲奈「口に焼肉がねじ込まれたまま喋ってるな」

ツバサ「ええ…頭にゼリーが乗ってる…」

あんじゅ「器用な子…」

穂乃果「ツバサちゃんっ!」ゴソゴソ

ツバサ「なに?穂乃果ちゃん」

穂乃果「これ!」

ツバサ「あ、ゴムボール!」

穂乃果「キャッチボール!もう一球、行くよっ!!!」

ツバサ「……うんっ!穂乃果ちゃんっ!!!」

fin?

691: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:40:41.60 ID:j8TMasQu.net
♯おまけ

 

花陽「た、大変ですっ!!!!」

穂乃果「私たちが…」

全員『アメリカで試合~!!!???』

にこ「し、しかも!μ’sと新井ズの合同チームゥウウ!!!?」

ツバサ「待たせたわね…!不世出の天才スーパースターこと…綺羅ツバサちゃんwith他二名のお出ましよッ!!」

英玲奈「おいこら」
あんじゅ「抓るわよ?」

にこ「若干キャラ被りッッ!!??」

花陽「四六時中パンパンパン!グルテンの塊ばかりを食べ続ける愚鈍な毛唐どもにジャパニーズライスパゥアを思い知らせてやるの!!」

凛「凛はボディビルダーになったかよちんも好きにゃ~」

英玲奈『メインシステム 戦闘モード起動』

海未「英玲奈!貴女まさか!?」

穂乃果「ことりちゃんがロボトミー手術!?」

真姫「トミージョンだって言ってるでしょ!!」

希「せっかくだから色々楽しみなさい、だって」

絵里「だって♪」

あんじゅ「ねえ絵里…あなた今、わかってなかったでしょう?」

絵里「!?」

ことり「もう一度…もう一度…!」

『μ’s!!!!!!!!!』

『アンド~?』

『新井ズ!!!』

全員『ベースボール!!!スタート!!!』

穂乃果「野球で廃校を救うよ!」~ワールドシリーズ~    coming soon…\デデェン/

704: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/10(月) 00:45:17.60 ID:j8TMasQu.net
終わり!

 

みんな読んでくれてホントありがとね

843: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 15:03:14.77 ID:d0x0Mdg8.net
♯おまけ2

 

【星空凛】

.310 0本 1打点 6盗塁

【詳細】
打席 30
打数 29
安打 6
二塁打 2
三塁打 1
打点 1
三振 11
四死球 1
盗塁 6
打率 .310
出塁率 .333
長打率 .367
OPS .700

【矢澤にこ】

.263 0本 1打点

【詳細】
打席 29
打数 19
安打 4
二塁打 1
打点 1
三振 4
四死球 7
犠打 3
打率 .263
出塁率 .462
長打率 .316
OPS .778

844: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 15:03:47.49 ID:d0x0Mdg8.net
【高坂穂乃果】

 

.346 3本 11打点

【詳細】
打席 29
打数 26
安打 3
二塁打 3
本塁打 3
打点 11
三振 8
四死球 3
併殺打 3
打率 346
出塁率 .413
長打率 .808
OPS 1.221

【絢瀬絵里】

.478 1本 5打点 2盗塁

【詳細】
打席 27
打数 23
安打 6
二塁打 3
三塁打 1
本塁打 1
打点 5
三振 3
四死球 4
盗塁 2
打率 .478
出塁率 .556
長打率 .869
OPS 1.425

845: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 15:04:48.52 ID:d0x0Mdg8.net
【東條希】

 

.423 5本 9打点 1盗塁

【詳細】
打席 28
打数 26
安打 3
二塁打 3
本塁打 5
打点 9
三振 6
四死球 2
盗塁 1
併殺打 1
打率 .423
出塁率 .464
長打率 1.036
OPS 1.5

【園田海未】

.400 1本 6打点 1盗塁

【詳細】
打席 26
打数 20
安打 5
二塁打 1
三塁打 1
本塁打 1
打点 6
三振 4
四死球 3
犠打 2
犠飛 1
盗塁 1
打率 .400
出塁率 .458
長打率 .700
OPS .1.158

846: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 15:05:39.12 ID:d0x0Mdg8.net
【小泉花陽】

 

.238 0本 2打点

【詳細】
打席 25
打数 21
安打 5
打点 2
三振 2
四死球 2
犠打 1
犠飛 1
併殺打 1
打率 .238
出塁率 .292
長打率 .238
OPS .530

【南ことり】

.250 0本 0打点

【詳細】
打席 25
打数 24
安打 6
三振 6
四死球 1
打率 .250
出塁率 .280
長打率 .250
OPS .530

【西木野真姫】

.091 1本 2打点

【詳細】
打席 25
打数 22
安打 1
本塁打 1
打点 2
三振 15
四死球 2
犠打 1
併殺打 1
打率 .091
出塁率 .167
長打率 .227
OPS .394

848: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/11(火) 15:08:21.56 ID:d0x0Mdg8.net
投手成績は面倒だから絵里ちゃんが合計7イニング投げて自責点1、他は全部ことりちゃんとだけ

 

おしまい

引用元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1438771650/

まとめるにあたって改めて読み返したのですが、やはり名作。
熱さのなかに笑いもあるのが本当に良い。
もう4年も前なんですね……。
管理人はどのかよちんも好きです。