穂乃果「野球で廃校を救うよ!」Part3/4

A-RISE, ラブライブ!, 長編

こちらの続きです。(by 管理人

穂乃果「野球で廃校を救うよ!」part2/4

 

2: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 19:49:19.05 ID:ibz2vKg5.net
♯42

 

雪穂「お姉ちゃんお姉ちゃん!」

穂乃果「んー?どしたの雪穂」

雪穂「あ、あのね…玄関の横に、不審者がいる…!」

穂乃果「ぅええ!?ふ、不審者?お、お父さんに…」

雪穂「お父さんは仕入先の人の法事!お母さんは地域の会合!今って家に私とお姉ちゃんとお婆ちゃんしかいないんだよー!」

穂乃果「げげ、それはまずい…まさかお婆ちゃんに頼むわけにもいかないし…」

雪穂「どうしよ…警察?警察?」

穂乃果「わー待った待った!まず本当に不審者なのか確かめないと警察はダメだと思う!」

雪穂「そ、そっか!お姉ちゃん冷静!」

穂乃果「これぞ年の功、フフフ。よ、ようし…私が見てくるよ」

雪穂「えっ、危ないよお姉ちゃん…」

穂乃果「これでも野球始めてからはかなり鍛えてるから大丈夫!…だと、いいなー」

雪穂「す、すぐ後ろで見てるから!何かあったらすぐ警察に連絡できるようにするね!」

穂乃果「まずは窓から見てみよう…あ、いるねいるね…変な人がうずくまってる」

雪穂「でしょ!?なんか様子が変だよね!」

穂乃果「うん、なんか呻いてるっぽい。…でも、結構小柄に見えるね」

雪穂「あ、確かに…女の人?」

穂乃果「っぽく見えるけど…あっ顔上げた。って……ツバサさん!?」

~~~~~

雪穂「お茶、置いておきますね。それじゃごゆっくり~…」(ゆ、有名人だ~!)

ツバサ「いや、助かったわ…。穂乃果さんに会いに来たんだけどね、いざ穂むらの前まで来たところで、迷惑なんじゃないかとか、色々考えちゃって。そしたらお腹痛くなってきちゃって…」

穂乃果「あの、もうお腹は大丈夫ですか?」

ツバサ「ええ、もらった整腸剤がバッチリ効いたわ♪それにしても、妹さんにまで迷惑かけちゃったわね…」

穂乃果「いやそんな!迷惑だなんて全然!」

ツバサ「そうかしら?私こう見えて、多少は常識も持ち合わせてるの。例えば、これは予想なんだけど…私との約束がイヤになったりしてるんじゃない?」

穂乃果「ぅえっバレてる!?あ、あはは…二時間ぐらい前に…」

ツバサ「ま、そりゃそうよね。メチャクチャな話だもの。でも取り下げるつもりはないわ。私はあなたを勝ち取ってみせる」

穂乃果「うん…今はもう大丈夫。負けませんから」

4: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 19:50:32.28 ID:ibz2vKg5.net
ツバサ「ふふっ、流石ね。あ、そうだ!どうして会いに来たかってね?これを差し入れに来たの!はいどうぞ」

 

穂乃果「わ、ありがとうございます…。スーパーのビニール袋…?中身は、ああっ!ポケモンパン!しかも何種類も!えっと、これをわざわざ?」

ツバサ「ええ、好きなんじゃないかと思って持ってきたんだけど…そ、そうでもなかったかしら?」ドキドキ

穂乃果「大好きですっ!!パンだし!シールも付いてるし!嬉しい!!」

ツバサ「そう、良かったわ」(喜んでる!よかったぁ!穂乃果さんの笑顔可愛いっ!!)

穂乃果「あの、一つ食べてもいいですか!?」

ツバサ「もちろん、何個でもどうぞ。でも食べすぎて明日のパフォーマンスを下げるのは駄目よ?」

穂乃果「気をつけます!」ガサガサ

穂乃果「ん~うまい」はむはむ

ツバサ(パンを食べてる穂乃果さんも可愛い…)

穂乃果「最近は妖怪ウォッチパンもよく見るんですよね。シールコレクターとしてはそっちも見逃せないっていうかなんというか」もぐもぐ

ツバサ「妖怪ウォッチね、私たちよりは少し世代が下じゃないかしら?」

穂乃果「シールに関してはそういうの気にしてないんです!貼れればなんでもいいかなーって。あ、シールのコレクション見ますか!?」

ツバサ「いいの?見たい見たい!」

穂乃果「えへへ!小さい頃からコツコツ貯めたのが何冊もあって、こっちはお菓子のオマケを集めたやつ、こっちは立体シール、こっちは友達と交換したやつで…」

ツバサ「わあ、すごい量!あ、このキャンディのシール可愛いわね」

穂乃果「あ、それお気に入りなんです!そうだ、ツバサさんにも一枚…」

ピピピピピピピ

穂乃果「あれ、着信音ですか?」

ツバサ「ああ、これね…UTX寮の門限前に設定してあるアラームよ」

穂乃果「え、寮の門限!も、戻らなくて大丈夫なんですか!?」

ツバサ「まあ私ぐらいになると、門限なんて多少は無視しても平気なんだけど…今日は門限通りに帰って英気を養うべきかしらね。穂乃果さん、突然押しちゃってごめんね。そろそろお暇させてもらうわ」

穂乃果「そっか…残念です。もっと遊びたかったなあ…」シュン

ツバサ「可愛い…」

穂乃果「え?」

ツバサ「や、なんでも。フフ、またお邪魔させてもらうわ。……そうだ、帰る前に。ちょっとだけ外に出ない?」

~~~~~

6: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 19:52:32.41 ID:ibz2vKg5.net
ツバサ「夜風が気持ちいいわね…。ここなら車も通らないかな。ねえ穂乃果さん、少しだけキャッチボールしましょ」

 

穂乃果「キャッチボール…ですか?えっと、この道路狭いから、強い球は投げられないけど…」

ツバサ「いいのよ、これ使うから」

穂乃果「あ、ゴムボール!」

ツバサ「原色テカテカのゴムボール。どこかの子供が忘れていったのかしら?ちょっとだけ使わせてもらいましょう」

穂乃果「うん!これなら危なくないですねっ」

ツバサ「思いっきり投げないように気をつけてね?軽いものを投げて肩を痛めるとかあるから。じゃ、投げるわねー」

シュッ ポスッ

ツバサ「ナイスキャッチ」

穂乃果(綺麗な回転。ピッタリ胸元に来る、すごく取りやすい球…)

シュッ パシッ

シュッ パスッ

ツバサ「なんか、いいわね。こういうのって」

穂乃果「うんっ」

シュッ ポス

シュッ パシッ

穂乃果「…やっぱり、ツバサさんは優しい人だね」

ツバサ「どうしてかしら?」

穂乃果「わかるんです。じゃなきゃ、こんなに思いやりのある取りやすいボールを投げられないから。ボールからツバサさんの優しさを感じるんだ」

9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 19:58:02.09 ID:ibz2vKg5.net
ツバサ「…あー」ポリポリ

 

ツバサ「穂乃果さん、あなたって天然で照れること言うのね」

穂乃果「あははっ、照れてるんですか?」

ツバサ「どうかしら?さ、穂乃果さん!もう一球っ!」

―――…穂乃果ちゃん!

穂乃果(ツバサ、さん…?)

穂乃果(小さな、子供の姿…)

ツバサ「穂乃果ちゃん!もう一球いくねっ!」

穂乃果(ツバサちゃん…)

ツバサ「どうしたの?ぼうっとして」

穂乃果「あ、、なんでもないです、えへへ…」

穂乃果(目の錯覚…だよね)

穂乃果「あ、そうだツバサさん!!」

ツバサ「どうしたの?」

穂乃果「明日の勝負!私が勝った場合の景品も決めていいよね!」

ツバサ「あっ、確かにそうよね。決めておかないとフェアじゃないわ。何か欲しいものとかある?」

穂乃果「うん、私が勝ったら、私だけじゃなくて音ノ木坂野球部のみんなと友達になってもらいます!」

ツバサ「へぇ…なるほど。面白い景品ね、楽しみ。まあ、その時は来ないのだけど」

ツバサ「それじゃ、お休みなさい穂乃果さん。明日はアキバドーム。最高の舞台で会いましょう」

10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 19:59:13.20 ID:ibz2vKg5.net
♯43 アキバドーム

 

【アキバドーム】

にこ「いよいよ、辿り着いたわね…」

希「ここが決勝の舞台…」

絵里「アキバドーム!」

穂乃果「はぇ~…大きいね!」

海未「やはり今までの会場とは段違い。圧倒されてしまいますね…」

ことり「試合まではまだ時間があるのに、入場口にはもうたくさん人が並んでるみたい。凛ちゃん、緊張してなぁい?」

凛「あはは…ちょっとドキドキする…。ことりちゃん、くっついててもいい?」

ことり「凛ちゃんおいでー♪」

凛「にゃー!」だきっ

花陽「はふぁああぁぁあ…アキバドーム!アキバドーム…!もう夢みたいだよぉ」

真姫「花陽ったら、移動バスの中からずっと感動しっぱなしね。でも、観戦で何度も来てるんでしょ?」

花陽「わかってないよ真姫ちゃん!観戦スタンドに行くのと選手通用口を通って内部に入るのとでは全くの別物!試合直前の雰囲気込みで見学ツアーとも似て非なる物!
私たちは今っ!プロ野球選手の日々を疑似体験しているのっ!!感謝すべき!礼賛すべき!この光景を網膜に…否否!エピジェネティクス!遺伝子に刻み込んでおくべきなの!!」

真姫「ヴェエ…」

絵里「ふふ、花陽は平常運転ってところかしら。頼もしいわね♪」(怖いけど…)

にこ(大丈夫…大丈夫…にこにー強靭にこにー無敵にこにー最強にこにーエンジェルにこにーisGOD…)ブツブツ

にこ「よっしモード入ったわ!ぬぅいっこぬぅいっこぬぅぃぃぃぃい!!」

穂乃果「にこちゃん!?どうしたの突然!ついに頭がおかしく…!」

にこ「ついにってどういう意味よ!聞き捨てならないんだけど!?」

花陽「ふふふ、モードに入った瞬間に野球力が飛躍的に上がるにこちゃん…流石ですっ!」

12: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:01:38.06 ID:ibz2vKg5.net
海未「…………」

 

希「海未ちゃん?なんかえらく静かやね」

海未「の、希……なにか、緊張を和らげる方法など、知っていれば教えてくれませんか…?」

希「うわ、表情怖っ!ガチガチやん!試合に勝てるかで緊張してるの?」

海未「い、いえ、それよりも…360度の大観衆の耳目に晒されるのを想像すると、どうしても身が竦んでしまって…」

希「ふむふむ。それでは希’sスピリチュアルマッサージを施してあげよう。そーれワシワs」
海未「成敗!」ビシィ!

希「痛ぁ!手首を手刀で払われた!?」

海未「あ!す、すみません希…つい反射で」

にこ「主砲の手首に怪我させたらどうすんのよアホ!成敗チョップ!」ビシッ!
海未「すみません!」

絵里「そうよ海未、暴力はいけないわ。成敗っ♪」ビシィ!
海未「ごめんなさい!」

凛「凛も海未ちゃんにチョップ!」バシッ!
海未「痛いです!」

ことり「ことりも便乗っ♪」ぺちっ
海未「今のは痛くありませんね」

花陽「わ、私もチョップ!」ぺしん
海未「可愛らしいものです」フフン

真姫「何よ、そういう流れ?」ピシッ!
海未「鋭い痛み!」

穂乃果「そして真打ち登場!ストロング穂乃果デストロイy」
海未「穂乃果はダメです」ビシィ!
穂乃果「カウンター痛い!」

13: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:02:26.56 ID:ibz2vKg5.net
海未「全く、みんな流れで叩きすぎです!人の頭を手刀でビシバシビシバシとまるで木魚のように!痛いではありませんか!」

 

凛「海未ちゃん逆ギレは良くないにゃ~」

海未「な、逆ギレではありません!怪我をするほど強く叩いたわけではないのに制裁が過剰なのです!そもそも最初から正当防衛です!」

希「海未ちゃん海未ちゃん」

海未「希!手刀は謝りますが、ワシワシはNGです!」

希「ふふっ、緊張ほぐれたやろ?」

海未「え?あっ……」

穂乃果「えへへ、なんだかみんなで騒いでたら気持ちが軽くなったよ!」

凛「さっすが希ちゃんだにゃー!」

希「ふふふ、気付いたかね皆の衆……これぞ秘技!スピリチュアルセクハラリラクゼーション法なのだー!なんてねっ♪」

真姫(セクハラって言ったわね)

海未「希…ありがとうございます!おかげで全力で戦いに臨む事が出来そうです!」

ことり「やっぱり希ちゃんは頼りになるね♪」

穂乃果「頑張ろうね、ことりちゃん!海未ちゃん!」

ことり「うんっ!」
海未「はいっ!」

希(よしよし、適当にワシワシしようとしただけなのに上手い具合にまとまったやん?流石はウチやね!)

絵里(……って考えてるのがわかるわ。希ったら、ちゃっかりしてるんだから。ふふっ)

18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:06:35.56 ID:ibz2vKg5.net
♯44

 

【音ノ木坂応援席】

海未ママ「皆様!いよいよです!今日ここ、アキバドームこそが愛娘たちの輝かしき晴れ舞台!

…今朝の新聞はご覧になりましたか?戦前の下馬評はUTX高校の圧倒的有利……。

笑止!!

名門?最強?UTX何するものぞ!見敵必殺!見敵必殺です!」

亜里沙「雪穂、あれは海未さんのお母さん?」

雪穂「うん、そうだよ。普段は海未ちゃんみたいに物静かで落ち着いた物腰の人なんだけど…」

亜里沙「着物を腕まくりして拡声器で喋ってるね」

雪穂「あはは…スイッチが入った時の感じも海未ちゃんそっくり」

亜里沙「素敵…ハラショー!」

海未ママ「皆様は誰よりご存知でしょう。

我々の娘たちが…音ノ木坂こそが最強であることを!

その最強に我々スタンド保護者一同の大声援の力を乗せれば即ち為虎添翼!無敵ですっ!!」

凛ママ「よっ!いいぞ園田さんっ!」
花陽ママ「かっこいいです園田さーん!」

19: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:09:31.44 ID:ibz2vKg5.net
海未ママ「愛する子供たちより大切な物など何一つなし!

 

恥や外聞など不要!喉を枯らすのです!潰すのです!!

決死の大声援で音ノ木坂学院を勇気付け!強力に後押しするのです!!

さあ、きぃちゃん!」

穂乃果ママ「みんな、燃え音!行きますよ~!」

穂乃果パパ\ピィーッ!ピッ!/

保護者一同
『♪一番星空塁に出て~!

二番矢澤が送りバント~!

三番高坂タイムリ~!

四番絢瀬がクリーンヒット~!

五番東條ホームラン!いいぞ頑張れ音ノ木坂~!燃えよ音ノ木坂~!』

雪穂「うへぇ、お父さんもお母さんもめちゃくちゃ目立ってるよ…離れて座ってて良かった~。あ、そういえば今日は絵里さんが四番なんだね!」

亜里沙「うん…ちょっと心配」

雪穂「え、そう?ホームランは希さんの方が多いけど、打率は絵里さんも大体同じぐらいじゃん。私から見ればお姉ちゃんが三番な方がよっぽど…」

亜里沙「ううん、違うの。実力が心配なんじゃなくて…今朝のお姉ちゃん、なんだか考え込んでるみたいだったから…」

雪穂「へー、今朝の様子が…うん、妹にしかわからない違いってあるよね。でも、大丈夫!」

亜里沙「雪穂…?」

雪穂「絵里さんにはお姉ちゃんやみんながついてる!私たちの応援もついてる!だからさ、精いっぱい応援しよう!」

亜里沙「…うんっ!」

保護者一同
『六番園田が流し打ち~!

七番小泉ヒットエンドラン!

八番南がスクイズバント!

九番西木野ホームラン!いいぞ頑張れ音ノ木坂~!燃えよ音ノ木坂~!!』

29: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:16:10.05 ID:ibz2vKg5.net
♯45

 

【球場内トイレ】

絵里(私が四番…本当に、これで良かったのかしら)

絵里(昨日のメール、希は打順の入れ替えに賛成してくれた。希と二人で提案したら、みんなも快く了解してくれた。出塁率の高い私を希の前に置くことでランナーを増やすのは効果的かもしれないと)

絵里(それに、綺羅ツバサだけでなく、希キラーの寺生まれ田中さんもUTX一軍メンバーに昇格している。もちろん、希も対策はしているけれど、実際どうなるかはやってみなければわからない)

絵里(だから、理にかなわない選択というわけじゃない。それでも私の心がどこか晴れないのは…)

あんじゅ「くすくす…甘い。まるでシャルロトカみたいに甘いのね、絢瀬さん」

絵里「……!優木あんじゅ…」

あんじゅ「私のメール、読んでくれたのね。そしてあなたが四番に。嬉しいわぁ」

絵里「……甘いとは、どういう事かしら?」

あんじゅ「あらあら、浮かない顔。賢そうな生徒会長さんは気付いているのかしら?…私の悪意に」

絵里「……その様子、私と和解する気なんてさらさらないようね」

あんじゅ「ふふっ…当然。私ね、結構根に持つタイプなの。ツバサのようには忘れられないし、英玲奈のように合理的に割り切ることもできない。自分で言うのもなんだけれど、面倒な女なの」

絵里「……」

あんじゅ「ツバサを勝利から解き放ってあげて欲しいのは本当。だけど…絢瀬絵里のせいで負ける音ノ木坂、高坂穂乃果との悲しい別れ。そんな絵図を見てみたくもなっちゃったの」

絵里「……」

あんじゅ「決勝になっていきなり、それまで勝ってきた打線の中軸を弄る。良い作用は起こらない。そう思わない?」

あんじゅ「メールの内容に不審を抱いていてなお、私に許された、和解したという証が欲しかったのね。教えてあげるわ絢瀬さん、それは自己満足。わかる?あなたは利己に走ったのよ」

あんじゅ「これは私からのささやかな嫌がらせ。あなたが四番に座ったせいで打線が機能不全を起こし、音ノ木坂は無様に負ける。そんな滑稽なトラジェディを見せてちょうだい?」

30: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:18:22.77 ID:ibz2vKg5.net
絵里「……馬鹿馬鹿しい」

 

あんじゅ「…なんですって?」

絵里「ペラペラとご高説ありがとう。いきなりのメール、不自然な要求。あなたの意図はなんとなく察していたわ。そうじゃなければいいのに、とは思っていたけど」

あんじゅ「…なら、どうして」

絵里「どうして?答えてあげる。私が四番に座ったのはあなたに許しを請うためじゃない。同じ四番ライト同士、正面から叩き潰してあげるため!今の私はカチンとキレてるエリーチカ!略してKKEよ!!」

あんじゅ「この…ロシアかぶれが!シベリアに帰って木の本数でも数えてなさいよ!」

絵里「陰湿女子力アピール女め!永久凍土の肥やしにしてあげるわ!」

……ガチャ

絵里「え、個室のドアが…入ってる人がいたの?」

あんじゅ「誰?」

ことり「あ、あはは…どうも~」

あんじゅ「南、ことり…」

ことり「ご、ごめんなさい!お話を邪魔するつもりも盗み聞きをするつもりもなかったんだけど、出るタイミングが掴めなくて…」

絵里「いいのよ、ことり。大した話をしていたわけでもないから」

希「絵里ち~、ことりちゃん~、いる?そろそろベンチに戻っとかんと…って、優木さん?」

ことり「あのね、絵里ちゃん。ことりは事情を知らないけど…あんじゅさんを責めないであげてほしいなって…」

絵里「ことり…?」

あんじゅ「あなた、何のつもり?」

ことり「あんじゅさん、すごく悲しい、追い詰められた目をしてる」

希(あっ、これアカン。なんかシリアスな会話が始まってる)

31: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:19:38.67 ID:ibz2vKg5.net
あんじゅ「意味がわからない。何が言いたいの?」

 

ことり「ツバサさんと英玲奈さんの事が大好きで、自分の気持ちと板挟みになって、どうすればいいのかわからなくなってる」

あんじゅ「…っ!」

希(話の流れわからんし、だからって立ち去れんし…ウチ蚊帳の外やん…)

ことり「考えてる事と気持ちが一致しなくて、心がぐちゃぐちゃになって、めちゃくちゃな事をしちゃってる。よくない事だってわかってるのに。わかるんだ、ことりもそういうタイプだから」

あんじゅ「あなたに…あなたなんかに何がわかるって言うの!!!」

希(うわあ、声張り上げてる…雰囲気ブレイクしてくれそうなにこっちが来ないやろか。にこっちの膀胱に尿意を催す念を送ってみようかな)

あんじゅ「南ことり…あなたも気に食わない!絢瀬絵里も!東條希も!全員全員気に入らない!!」

希(あっウチの存在拾ってくれた!?乗るしかないやん、このビッグウェーブに!)

ペラッ

希「優木さん…『女帝』の逆位置が出てる。感情的、情緒不安定。混乱して、どうすればいいのかわからなくなってるんやね…」

あんじゅ「…~っ!!大キライよ!音ノ木坂学院!」

~~~~~

絵里「……優木あんじゅ、去って行ったわね」

希「これでいいんよ。今、これ以上の会話に意味はない。あとは試合で、野球で語ればいい」
(の、乗り切った…!うーん、タロット万能やね…)

ことり「勝とうね、絵里ちゃん希ちゃん。綺羅ツバサを倒せば、きっとあんじゅさんも救われる。うん、あんじゅさんも、助けてあげなきゃいけない人ですっ!」

32: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:21:36.93 ID:ibz2vKg5.net
♯46

 

【自販機前】

英玲奈「おや」

花陽「あっ」

英玲奈「また会ったな、小泉さん。君とは昨日から縁がある」

花陽「そ、そんな!私ごときと英玲奈さんが縁があるなんて恐れ多すぎてもう…!」

英玲奈「まあ、そう堅いことを言うな。今は試合前、最後の安らぎの一時さ」

花陽「は、はい…」

英玲奈「何か飲むんだろう?私が二学年上だ、奢ろう」

花陽「あ、う…じ、じゃあ…お水で…」

英玲奈「フフ、一番安い物を選ぶ、か。なんとも小市民的だな。私と似ていて好感が持てるよ」ガシャン

花陽「英玲奈さんみたいなすごい人が小市民…?」

英玲奈「ああ、私は凡人だよ。ほら、受け取れ」

花陽「ありがとうごさいます!!家宝にします!!」

英玲奈「私はコーヒーにしておこう。お、MAXコーヒーがあるじゃないか。私は甘党なんだ」ガシャン

カキョッ

ゴクゴク

英玲奈「む…あまくてうまい。美味いは甘い、甘いイコール美味いだ。そう思わないか?」

花陽「いえ、白米イコール美味いです!」

英玲奈「ハハ、それはまた斜め上の答えだな」ゴクッ

英玲奈「……フウ」

花陽(き、緊張して水の味がわからないよぉ…!あ、水って味しないか…)ごくごく

英玲奈「小泉さん、野球は楽しいか?」

花陽「あ、はい!野球は楽しいです!」

英玲奈「私は楽しくない」

花陽「えっ」

英玲奈「ついでに言えば私は綺羅ツバサというプレイヤーが嫌いだ」

花陽「ええっ」

33: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:24:09.09 ID:ibz2vKg5.net
英玲奈「私の武器は捕手としての技能。とりわけリードだ。どんな投手だろうと持ち味を引き出し、最高のピッチングをさせてみせる自信がある。自負もある。
だがツバサには…リードは必要ない。あの快速球、キレのある変化球。難しい事は考えず、適度に散らしておけば相手は勝手にアウトになる。フフ、捕手としてこれほどつまらない投手はいないぞ」

 

花陽(そ、そんな。ど、どうしよう…反応しづらいよぉ)

英玲奈「しかし厄介なことに、私は綺羅ツバサという人間は大好きなんだ。同い年だが、まあなんというか…手のかかる妹みたいな感覚だろうか」

花陽「あ、良かった!そうですよねっ!この前サーティワンに行ってた時の英玲奈さんツバサさんあんじゅさんがすっごい仲良さそうで見てて幸せな気持ちになったんですよぉ!
なんていうかファン冥利に尽きるっていうか!アイスをお互いに食べさせあいしてたところなんてもう見てるだけでご飯何杯でも行けちゃうっていうか!オフショットすぎて見ててなんだか背徳的な気分になっちゃったって言うかぁ!」

英玲奈「えっ」

花陽「あっ」

英玲奈「なんでサーティワンに行った時の様子を知っているんだ…まさか…」

花陽「ピャアアアア不審の目!?ストーカーじゃないですっ!!」

英玲奈「あ、ちょっと近寄らないでもらえますか」スス…

花陽「距離を取らないでくださいお願いします!!」

英玲奈「ははは、まあ冗談だ。敵情視察ってとこだろう?気付かなかったな」

花陽「じ、冗談…良かったあ…。はい、海未ちゃんと二人で」

英玲奈「園田海未か。ふむ、いかにも真面目な彼女らしいな。まあ見ていたならわかるだろうが、ツバサはあれで可愛いところがある」

花陽「わかります。失礼かもしれないけど…子供みたいな人ですよね」

英玲奈「それだ。アイツは子供なんだ。プレイヤーとしてのツバサは嫌い。人間としてのツバサは好き。なんともややこしくて、時々疲れる。だからかな?私が甘党なのは」

花陽「あはは、なんだか英玲奈さんって完璧なイメージがあるから…ちょっと意外かも?」

英玲奈「そうか。まあ、思春期なのさ」

花陽「な、なるほどぉ…」

タタタッ

凛「かよちん一緒にジュース飲むにゃ~…あ、統堂さんだ」

英玲奈「やあ、星空さん。昨日はどうも」

凛「えへへ、こんにちは」

花陽(あ、凛ちゃん英玲奈さんにはもう人見知りしないんだ。英玲奈さんいい人だもんね)

英玲奈「さて、私は戻ろう。そろそろ試合の準備をしておかなくてはな」

海未「凛、あまり走ってはいけませんよ…っと、統堂さん…」

英玲奈「おや、園田さんまで来たか。ふむ、音ノ木坂の守備の要たる三人が勢揃い、だな。今日はお手柔らかに…いや、手を緩めずに、頼む」

凛「守備の要だって、えへへ」
花陽「照れちゃうねっ」

海未「……」

34: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:25:03.06 ID:ibz2vKg5.net
海未「統堂さん、一つだけお尋ねしたい事が」

 

英玲奈「ああ、何だろうか?」

海未「貴女は私たちに綺羅ツバサを倒して欲しいと頼んできた。では、貴女自身は…綺羅ツバサと真っ向から勝負した事はあるのですか?」

英玲奈「……フフ、おかしな事を言う。私ごときにあの天才を止められるとでも?」

海未「やはり、ないのですね。綺羅ツバサを救うため、自らの手を伸ばした事はない…と」

英玲奈「…」

英玲奈「……ふむ、小泉さん、その水を少し飲ませてもらってもいいだろうか?」

花陽「あ、はいっ!買ってもらったものだし…いくらでも」

ゴク…

英玲奈(量はこれでおおよそ半分)

英玲奈「園田さん、君に一つ質問だ。このペットボトルを見てほしい」

海未「富士山のバナジウム天然水…、これがどうかしたのですか?」

英玲奈「“もう半分しか残っていない”。“まだ半分も残っている”。……君はこれを見て、どちらを感じた?」

海未「……“半分しか残っていない”、ですね」

英玲奈「…それだ。君も同じ、優れた捕手というのは総じてペシミストなんだよ」

海未「悲観主義者…ですか」

凛(かよちん、これ何の話してるの?)

花陽(わかんない…きっと高度な話なんだよ)

凛(なんかそれっぽいこと言っとけ的なのじゃなくて?)

花陽(ち、違う…はずだよぉ!)

35: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:26:08.28 ID:ibz2vKg5.net
英玲奈「常に事態を悲観し、最悪を想定し、先手に先手を重ねる。それが捕手の仕事だ。打者も必死、それくらいの意識がなければ通用しない」

 

英玲奈「そんな悲観主義が、日常にも染み付いているんだ。全く、我ながら嫌になる…。ツバサを負かしてくれと頼み、手を緩めずに頼むと軽口を叩いてみても、本心ではツバサが負け、解放される日が来るとは微塵も思っていない…」

英玲奈「ツバサは、高坂穂乃果の事を太陽だと評した。対してツバサは…さながら天狼星。孤独に輝くシリウスだ。強く、哀しい光で周囲を焼き焦がしていく。凡人…私の手など、届かないさ…」

凛(かよちんかよちん、これ絶対雰囲気だけで喋ってるよ。凛も中二ぐらいの時にやった事あるからわかるよ)

花陽(り、凛ちゃん!失礼だよぉ…!)

海未「間違っています。たとえ遠くても、届かなくても、焼き焦がされようとも。友人であるならば、貴女は手を伸ばすべきだったのです」

英玲奈「なら…お願いだ…。見せてくれ、ツバサが救われる姿を…」

海未「ええ、言われずとも。ただし、救うのは貴女もです。同じ捕手、同じ悲観主義者。私は…今の貴女を他人事には思えません」

英玲奈「……」

海未「約束してください。綺羅ツバサが敗北したその時、彼女へと最初に手を差し伸べるのは貴女だと」

英玲奈「………ああ、約束しよう。その時が来るのならば…」

~~~~~

花陽「英玲奈さん、行っちゃったね。大丈夫かな…」

凛「哀しい目をした人だったね…」キリッ

花陽(ええ…)

海未「これで良いのです。あとは試合で語るだけ…。凛、花陽。必ず勝ちましょう。統堂英玲奈を救うためにも…!」

40: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:28:44.63 ID:ibz2vKg5.net
♯47

 

【9回裏】

穂乃果「えっ、あれ?試合が始まってる?9回裏!?と、得点は…0-0!ツーアウト満塁で穂乃果の打順!?な、なんだかわかんないけど、よーし!」

【音ノ木坂学院、選手の交代をお知らせします。バッター高坂に代わりまして…】

穂乃果「えっ穂乃果に代打!?き、聞いてないよ!?」

【一二三。高坂に代わりまして、一二三。背番号10】

穂乃果「だ、誰!?」

一二三「ヒデコとフミコとミカだよ!三人でフュージョンして苗字を手に入れたの!」

穂乃果「ええ…」

\グワラゴワガキーン!/

【実況】
『ホームラーン!』

ツバサ「そ、そんなぁ」ガクリ

一二三「穂乃果!ツバサさんからサヨナラ満塁ホームラン打っておいたよ!」グッ

穂乃果「こ、こんな決着イヤだー!!」ガバッ!

42: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:30:09.86 ID:ibz2vKg5.net
穂乃果「はっ…!ゆ、夢…」

 

フミコ「穂乃果、居眠りしてたと思ったら跳ね起きて…大丈夫?」

穂乃果「フミコ…良かった、フュージョンしてなくて良かった…」

フミコ「へ?ほ、穂乃果…いよいよおかしく…」

真姫「ま、穂乃果がおかしいのは元々でしょ」クルクル

フミコ「それもそっか」

穂乃果「ひどっ!?」

\ワー!ワー!/

穂乃果「おわぁ、なんかスタンドが盛り上がってる?」

ヒデコ「うん、両校とも応援団が気合い入ってるみたい。試合前なのにさっきからずっとあの調子だよ」

穂乃果「はぇ~、うちの家族もあの中にいるんだろうなー」

ミカ「ほら穂乃果、オペラグラスあるよ。探してみたら?」

穂乃果「さっすがミカ!気が利くぅ!あ、前の方で海未ちゃんのお母さんが目立ってる」

ヒデコ「あの着物の人?」

穂乃果「そうそう」

真姫(にこちゃん、さっきからなんだか静かね)

にこ(……今日は、パパの命日)

~~~~~

にこ『ここあとこたろうは寝たか…。こころ、にこが野球部に入ってから寂しい思いをさせる事も多いよね…ごめんね』

こころ『気になさらないでください!お母さまとお姉さまを支えるのが私の役目ですからっ!』

にこ『こころ…。よーし、にこにーがぁ~♪いつも頑張ってるこころのお願い事を聞いてあげちゃうよっ!なんでも言ってごらん?』

こころ『でも…』

にこ『こころ、遠慮はダーメ。お姉ちゃんにしてほしい事、言ってみて?』

こころ『……ホームラン…、パパの命日に、松井選手みたいな、お姉さまのホームランが見たいです…!』

にこ『…っ!それは…』

こころ『あっ…じ、冗談です!私、お姉さまの作ってくださるケーキが食べたいな!イチゴものせてほしいです!』

にこ『……こころ』

~~~~~

46: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:32:33.90 ID:ibz2vKg5.net
にこ(こころ。あの子は子供なのに、ここあやこたろうの面倒も見てくれて…私やママへの気遣いを覚えすぎてる。
かわいそうな事をしてるよね…ホントはもっとワガママを言ったり、たくさん甘えたい歳のはずなのに…
そんなこころが珍しく口にしたお願い事…。『ホームランが見たい』…)

 

にこ「こころたちも、ママと一緒に観に来てるわよね…」

真姫「……にこちゃん、大丈夫?」

にこ「…大丈夫、大丈夫よ、真姫ちゃん」

ツバサ「ご家族の悩み?色々複雑な環境なのかしら?」

にこ「…そんな事ない。にこは家族に恵まれてる」

にこ「…」

にこ「……」

にこ「………ってツバサさんっ!?!!」ガタタッ!

ツバサ「じ、時間差で来たわね矢澤さん…ちょっと驚いたわ…」

真姫「…ねえ、一応教えてあげるけど、アナタのベンチは向こうよ。わかったらさっさと巣に帰りなさい」

ツバサ「うるさいわね~。……西木野さん、貴女すっごく可愛いわ」

真姫「ヴェヴェェェ…!」チョロローン

にこ「ウッソでしょ…今の雑な褒め方でもチョロるの…?」

ツバサ「穂乃果さん」

穂乃果「ツバサさん」

ツバサ「…」

穂乃果「…」

ツバサ「フ、もう言葉はいらないわね。私たちの場合」

穂乃果「色々考える事もあったけど、ここまで来たら…ただ楽しみなだけだよ!」

ツバサ「上等。それじゃあ…勝負ね」

穂乃果「うん。…勝負だよ」

ザッ、ザッ…

真姫「はっ!動揺してる場合じゃなかった!綺羅ツバサは?」

にこ「自軍ベンチに戻って行ってるけど」

真姫「聞きなさい綺羅ツバサ!穂乃果だけを見てたら大怪我するから!覚えておきなさい…この真姫ちゃんが!アナタからホームランを打ってみせるわ!!!」

にこ「ひたすら空気を読まないスタイル、嫌いじゃないわよ真姫ちゃん…」

48: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:37:23.95 ID:ibz2vKg5.net
♯48

 

【ベンチ裏】

絵里「さあ、みんな揃ったわね?」

花陽「試合開始まで40分を切りました…!」

凛「いよいよにゃいよいよにゃ!」

海未「破釜沈船、不撓不屈!出陣の覚悟はよろしいですか?さあ、最後の作戦会議ですっ!」

にこ「海未、アンタってほんっ…と仰々しいわね。……嫌いじゃないわ!」

絵里「ハラショー!」

真姫「戦いの直前に再確認しておくべきなのは…綺羅ツバサの情報よね」

海未「その通りです、真姫。以前話したように、私と花陽は一度だけ、綺羅ツバサの球を直接見ています。それを踏まえた上での情報と思ってください」

穂乃果「オッケー、海未ちゃん」

海未「綺羅ツバサ、左投げのオーバースロー。ストレートのMAXは134キロ。女子野球の壁、130キロをコンスタントに超えてくる怪物です」

花陽「幸い、球種はかなりシンプルだよ。ストレート、パワーカーブ、パームボールの三種類です」

ことり「パワーカーブっていうのは?」

にこ「メジャーでよく使われてる球種よ。ハードカーブとも呼ばれるみたい。って言っても、難しく考えなくて大丈夫。要は速いカーブね」

希「パームボールっていうのは落ちる球やっけ?」

花陽「うん、落ちる球が欲しかったけどツバサさんの手のサイズだとフォークが投げられないから、代わりにパームなんだって。雑誌で読んだよ」

にこ「落差は大きいけど、落ち始めが速いから見極めはしやすいわ。緩急を付けるための見せ球として使ってくるケースが多くて、ストライクゾーンにはまず入ってこない。あくまでツバサの決め球はストレートだと忘れないで」

海未「と、ここまでがカタログスペック。ここからは私が実際に間近で見ての感想ですが…まるで見えません」

真姫「ひどい感想ね」クルクル

海未「誇張ではありません。綺羅ツバサは男子のプロ級、それも一軍クラスの投手。そうイメージしてください」

絵里「ぷ、プロの一軍…」

凛「でも海未ちゃん、みんなで真姫ちゃんのお父さんが買ってくれたプロ仕様ピッチングマシンの150キロを打つ練習もしてきたにゃ。それより速いなんてことはないでしょ?」

海未「いえ、断言します。マシンの150よりも体感速度は速い。リリースポイントが見えないというのは恐ろしいものでした」

穂乃果「リリースポイントが見えないってそんなにすごいの?」

海未「そうですね…抜刀の瞬間が見えない居合い。そうイメージしてもらえば脅威がわかっていただけるかと」

希「うーん…その例えでわかるのは海未ちゃんだけやろなぁ…」

にこ「例えが武闘派すぎでしょ…」

49: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:39:44.91 ID:ibz2vKg5.net
真姫「……けど、納得いかない。球速130キロ台って、プロでは打ち頃のバッティングピッチャーみたいなものじゃないの?」

 

にこ「そんな事はないわよ真姫ちゃん。球速って大事だけど、表示されるのはあくまで初速だけ。実際には終速、フォーム、スピン量もストレートには大切なの」

希「初速と終速の差が小さいのが俗に言う、『ノビのある』ストレートってワケやね」

穂乃果「パワプロのノビ5だね!」

凛「あ、そう言われるとわかるにゃー」

にこ「ま、あんな感じよ」

花陽「それにね、真姫ちゃん。山本昌選手、成瀬選手、内海選手、病気から復帰後の大隣選手、少し昔では星野伸之選手。左投げには130キロ台やそれ以下のストレートで活躍してる一流投手が何人もいるんだよ」

絵里「左の5キロ増し、だったかしら?数字よりも速く感じるのよね」

海未「綺羅ツバサの場合、現在渡米している和田毅選手の日本時代をイメージしてもらえばわかりやすいかと思います。130キロ台半ばから後半の直球で空振りを奪える投手でした。フォームこそ違いますが、リリースポイントのわかりにくさも共通項です」

穂乃果「うん、その人の映像をみんなで何度も見たよね。少しはツバサさんのボールにもイメージが出来てるはず!」

真姫「そんな綺羅ツバサにも弱点はあるわ。聞き出してくれたうちの父親の人脈に感謝するのね」フフン

絵里(真姫…ありがと)

希(真姫ちゃんってほんと、いい子やね…)

花陽「真姫ちゃんのお父さんが調べてくれた弱点その1!クイックに癖あり!」

希「牽制する時だけグローブの角度が違うんやったね。映像で見たけど、教えてもらわないと絶対気づけなかったぐらいの小さな癖やった」

花陽「修正しようとしても直らない根深い癖なんだと思う。凛ちゃん、絵里ちゃん、海未ちゃん。この三人なら、出塁すれば盗塁のチャンスがあるかも…!」

凛「積極的に狙ってくにゃ!」

海未「弱点その2!手抜き癖!」

海未「綺羅ツバサは相手によってあからさまに球威が変化します。中軸へ投げる球と、それ以外への球。良く言えばギアチェンジ、悪く言えば手抜き癖です」

ことり「中軸と、それ以外って言うと…」

にこ「ホームランの可能性があるバッターには本気。それ以外には手抜き。わかりやすく言えばそんなとこね。うちで言えば穂乃果、絵里、希、海未。この四人かしら」

真姫「つまり、試合を決めるのはこの真姫ちゃんのホームランってこと。綺羅ツバサが天才?真の才能を前にひれ伏す日が来たのよ」

希「真姫ちゃん、練習は裏切らない。ウチは本気で期待してるよ。頑張ってね?」

真姫「ヴぇ…と、当然よ!見てなさい!」

ことり「花陽ちゃん、一緒にヒット打とうね♪」

花陽「ことりちゃん、うんっ♪」

穂乃果「ギアチェンジって聞くとかっこいいけどなー。弱点なんだねぇ」

海未「年間を通して戦うプロ野球ならともかく、一戦必勝の高校野球においてギアチェンジは弱点になり得る。舞台が別だということです」

51: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:41:19.00 ID:ibz2vKg5.net
にこ「そして弱点その3!ツバサの弱点ってよりはUTXってチームの欠陥になるけど…ズバリ!監督!」

 

希「監督が弱点ってのもおかしな話やねぇ」

凛「無能にゃ?無能にゃ?」

にこ「無能とは言わないけど…目立ちたがりで余計な事をするのよ」

絵里(英玲奈さんはこう言っていたわ)

~~~~~

英玲奈「UTX一軍の新井総監督は自己顕示欲の強い方だ。自らの采配で勝利を掴むのを好まれている。故に、内心ではツバサの事をよく思っていない節がある」

絵里「……どういうことかしら?」

英玲奈「勝てたのはツバサのおかげ。最強エース綺羅ツバサありきのチーム。監督は置き物。そう思われたくないのさ。だから…」

~~~~~

にこ「最低でも1試合に一度。余計なワンポイントリリーフを挟もうとしてくる。そのままツバサに投げさせとけば安泰な場面でもね」

ことり「ん~、それってツバサさんが消耗しないように気遣ってるんじゃなくて?」

にこ「先発は全試合ツバサだから。リリーフを出す時もわざわばツバサを他の守備位置に回して再登板させるのがお決まりのパターン。大差で勝ってる試合は下げてあげればいいのにね」

凛「無能にゃ!無能にゃー!」

花陽「ふふっ、バカにできる相手を見つけた時の凛ちゃんの笑顔、大好き♪」

海未「……それもどうかと思いますが…」

穂乃果「んー、なんでそんな人がUTXみたいに強いチームの監督なの?コネ?」

にこ「監督にも得手不得手があるって話よ。UTXの新井監督は采配は微妙でも、選手育成は最高に上手いの。ほとんどの選手は新井監督が0から育てた、いわば新井チルドレン。だからUTX一軍はアライズなんて呼ばれ方もするのよ」

真姫(響きはともかく新井ズって書くとダサいわね)

ことり「高校野球なのに、ファン発祥でチーム名が付くなんてすごいよねえ…」

海未「新井ズ…やはりその人気は圧倒的…」

希「ん?みんな知らない?最近ウチらも、ネット上ではファンが付けてくれたチーム名で呼ばれたりしてるんよ」

52: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/05(水) 20:42:50.15 ID:ibz2vKg5.net
穂乃果「ええっ!すごい!なんてチーム名なの?」

 

希「9人の音の女神、μ’s」

穂乃果「かっ…」
にこ「かっ!」
凛「かっこいいにゃー!!!」

希「にこっちは知ってたやろ。何初聞き風に喜んでるの」

にこ「別にいいでしょ!感動の共有よ!」

絵里「ミューズ…音楽の女神、よね?私たちがやってるのって野球だけど…」

希「音ノ木坂を救う女神、やからね。『音』でかかってて、素敵やん?それに、真姫ちゃんがたくさんの曲を作ってくれたのも、みんなの印象にとっても残ったみたいよ」

ことり「本当にことりたちに、そこまでの人気が…?」

理事長「……ねえみんな。今、そこの画面に応援スタンド全体の様子が映っています。見てみて?」

花陽「スタンドの?…あっ!」

ことり「すごい、すごい…!」

凛「音ノ木坂学院の応援色がたくさんにゃ!」

海未「こんなにもたくさん…私たちのファンが…!」

真姫「UTXの応援と五分五分の数…!これなら…!」

にこ「……っ…!」グスッ

希(にこっち、頑張った甲斐があったね…。ネットを使って一生懸命に人気を広めようとしてくれてたこと、無駄にならんかったよ)

絵里「こんなにたくさんの人たちが…音ノ木坂の勝利を願ってくれている…!」

穂乃果「……みんな!これが音ノ木坂学院野球部の!私たちの最後の戦いだよ!」

穂乃果「よくこういう時、泣いても笑ってもって言うけど…。穂乃果は今日、泣くつもりはありません!」

穂乃果「だってそうだよね。家族、友達、顔も知らないたくさんの人たち……こんなに応援してくれてるんだもん!!負けることなんて考えてたら損だよねっ!!」

穂乃果「打とう、走ろう、捕ろう、投げよう…楽しもう!!そして勝とう!!」

穂乃果「後押ししてくれるたくさんの人たち。その想いも乗せて…」

穂乃果「μ’s!!!」

全員『ベースボール!!!スタート!!!』

《全国高等学校女子硬式野球選手権大会》

(決勝)
UTX高校(東京) 対 音ノ木坂学院(東京)

159: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:04:32.59 ID:YMHXp09W.net
♯49

 

♪~

\I say…!/

\Hey,hey,hey,START:DASH!!/

\Hey,hey,hey,START:DASH!!/

【実況】
『全国高等学校女子硬式野球選手権大会。

142校が集った長き戦いも、いよいよ最後の二校を残すのみとなりました。

共に東京代表、UTX高校と音ノ木坂学院。名門チームと新興チーム、対照的な二校の対決です。

さあ、BGMと共に後攻、音ノ木坂学院の選手たちが守備位置へと走っていきます。

マウンドへ上るはエース南。四国商業戦では見事な完封を見せてくれました。

投球練習を終え…、試合開始です』

『プレイボール!!』

【一回表】

『1番 サード 佐藤さん』

佐藤「さあ来いッ!!」

海未(さて、一人目です。この佐藤さん、先日のUTX二軍戦で打ち込まれて三軍落ちになっていた投手の方ですね)

(・8・) (すごく気落ちしてたみたいだったけど…野手として這い上がって来たんだね)

海未(層の厚いUTXでポジションを変え、再び昇格する努力、並大抵ではないでしょう。そのメンタリティには敬意を覚えます。しかし…)

(・8・) 「やっ!」シュッ!

160: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:06:36.85 ID:YMHXp09W.net
ズバン!!

 

ストライク!

佐藤「っ…!」

希「いいよことりちゃん!球がキレてる!」

海未(今日のことりの調子は最高…!にこ、真姫、感謝しますよ。さあ、もう一球ストレートで押しましょう)

(・8・) (わかったよ、海未ちゃんっ)ビシュ!

佐藤「UTXを…舐めるなよ!」

カキィ!

海未「っ、まずい!?低い弾道で右中間を抜ける打球…!」

佐藤「よし!長打コーs」

パシッ

佐藤「…は?」

花陽「と、取りました!」

アウト!!

ことり「花陽ちゃん!!」
海未「花陽っ!!」

【実況】
『あーっとセカンドライナー!二塁手小泉、見事にキャーッチ!
いや、しかし…これはどうした事でしょうか?なんとも不思議です!』

佐藤「なんで!なんでそんな場所を守っているんだ!!」

【実況】
『セカンド小泉、本来の守備位置よりも大きく後方!
外野にまではみ出したポジショニングで守っていました!
理由はわかりませんが、とにかくファインプレー!』

161: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:08:19.30 ID:YMHXp09W.net
『二番 セカンド 田中さん』

 

【実況】
『さあそして二番を迎えますが、セカンドの小泉はそのまま後方の守備位置を守ったまま。
どういう意図があっての事か、これでは内野守備が手薄です!』

海未(大丈夫…花陽、信頼していますよ)

田中「摩訶般若波羅蜜多心経」

希(ひえっ…)

(・8・) (ああ、寺生まれの…)

海未(この方、言語能力を実家の寺に置き忘れてきたのでしょうか…)

凛(薬でもキメてるにゃ?)

穂乃果「ばっちこーい!」バシン!

(・8・) (この人は選球眼のいいローボールヒッターだったよね)

海未(その通り。先日の試合でも粘られ、四球をもぎ取られました。早いカウントのうちに、高めの直球で押していきましょう)

(・8・) 「チュンチュン!」ビシュッ!

田中「所得故菩提薩?依般若波羅蜜多…故心!」

ガキン!

【実況】
『打球はセカンドへ!ボテボテのゴロ!
これでは下がっていた小泉の守備が間に合わない?!』

花陽「取ります!」パス
シュッ

希「ナイスプレー花陽ちゃん!」パシッ

アウト!

【実況】
『あっと小泉花陽!定位置へと戻っていた!
いつの間に戻っていたのでしょうか?堅実にゴロを捌いてセカンドゴロ!!』

英玲奈(小泉花陽の守備、これは…ふむ)

162: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:10:41.21 ID:YMHXp09W.net
海未(よし、ことりボールを引っ掛けさせました!変化球のキレも完璧です!)

 

(・8・) (でも、ここからが勝負だよ…海未ちゃん)

『三番 ピッチャー 綺羅ツバサ』

ツバサ「フフ、園田さん、南さん。打者として対峙するのは初めてね」

(・8・) (……海未ちゃん)

海未(ええ、相談通りに)

ツバサ「さてと、打者としても穂乃果さんにいいところを見せなきゃね……って、え?」

【実況】
『あーっと、これは?
音ノ木坂バッテリー、立ち上がりました!
初回ツーアウトランナーなしから、まさかの敬遠!敬遠策です!』

ツバサ「いやいや…なによそれ」

海未(硬球をボールペンでスタンドインさせるバカげた打力。ここまでの試合でも二本の本塁打を放っている。
優木あんじゅよりも底知れぬ恐ろしさを感じます。なにも全打席敬遠するつもりはありませんが…)

(・8・) (初回から敬遠。このデコチビの性格ならイライラして、投球に影響が出てくれるかもしれない。やれる事は全部やっていかないとね!)

ツバサ「勝負しなさい!!」

(・8・) 「敬遠宣言イェイイェイェーイ」
ボール!
(・8・) 「あーるこう(笑)」
ボール!
(・8・) 「あーるこう(笑)」
ボール!

(・8・) 「まともに勝負してもらえると思った?(笑)」

ツバサ「…ふぅん?」

海未(効いてます効いてます。さ、ことり。ラスト一球行きましょう)

(・8・) 「オッケー海未ちゃん」

ツバサ『―――勝負しなさい』     ――ビリッ…!

海未(これは…あの時と同じプレッシャー…!)

(・8・) (え、体が重っ…指先のコントロールが…!)シュッ

海未(いけない!ど真ん中に!)

163: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:12:01.42 ID:YMHXp09W.net
カッキィィン!!!

 

海未「しまっ…!センター!!」

にこ「……追うだけムダね」

…ガン!
コロコロ…

【実況】
『入ったぁぁぁ!!!
綺羅ツバサ!失投を見逃しませんでした!!
ピッチャー南、手が滑ったか、気が緩んだか!
投げ損ねた一球はど真ん中へと吸い寄せられ、そのまま無情にもバックスクリーンへと一直線!!
UTX高校先制っ!!』

(・8・) 「やられた…!」

ツバサ「恒星の引力からは逃れられない。勝負の選択権は私にあるのよ」

英玲奈(敬遠、悪い選択ではない。普通の選手にならな。だがツバサ相手では…気持ちで逃げれば、あの威圧感に呑まれるだけ。さあ、まだこれからだぞ園田海未)

あんじゅ「……私の出番ね?」

~♪

\Can I do? I take it,baby! Can I do? I make it,baby!/

『四番 ライト 優木あんじゅ』

\ワアアアア!!!!!/

真姫「う゛ぇえ…すごい歓声…」

にこ「応援の圧が…」

凛「押し潰されそうにゃ…」

穂乃果「これが決勝戦…!」

あんじゅ「さあ…ひねり潰してあげるわ…!」

164: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:15:04.50 ID:YMHXp09W.net
海未(気を取り直していきましょう、ことり。先程のは誤算でしたが…たかがソロ、まだ初回。挽回の機はいくらでもあります)

 

(・8・) (うん、大丈夫だよ。あんじゅさんに集中してこう)

あんじゅ「思い知らせてあげるわ…音ノ木坂」

海未(ふむ…今日の優木さんからは、何やら鬼気迫る迫力を感じますね。しかしランナーはなし。フルカウントにさえ持ち込ませなければ勝機はあります!
初球はインのボール、直球を厳しいところへ。意識を内に集めて外の変化で仕留めましょう!)サイン

(・8・) (遠慮なしで行くよっ)シュッ!!

海未(よし、最高のコースです!これなら振ってもファールにしか…)

あんじゅ(完全にフルハウス…!)ブンッ!

キィン!!

海未「なッ…どうして!ライト!!」

【実況】
『打った!!強い打球がファーストの頭の上を越える!
ライト線、これは長打コースになる!!』

あんじゅ「ふふ…悠々二塁打ね。そして次は英玲奈…初回でトドメを刺してあげるわ、音ノ木坂」

絵里「させないわ!」
パシッ!

あんじゅ「はぁ!?」

【実況】
『あっ!ライト絢瀬、ライン際の打球にも関わらずワンバウンドで抑えた!?
そしてすぐさま…!』

絵里「希ぃぃッ!!!」ビシュッ!!!

希「絵里ち!」バシィッ!!

アウト!!

【実況】
『ライトゴロ成立~~!!!三年生絢瀬、大ファインプレー!!!
音ノ木坂学院の応援団が沸き立つ!!スタンドからは大喝采が送られます!!!』

あんじゅ「ら、ライトゴロ…!」ワナワナ

166: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:17:04.08 ID:YMHXp09W.net
希「で、出たァ!絵里ちの鉄砲肩…いや、バズーカ肩!寒気すら感じさせる鋭利な軌道は大陸横断鉄道!スタンドに吹き荒れる戦慄と驚愕の嵐はさながら北のツンドラ!その肩に名前を付けようか!『シベリアンバレットトレイン』!!」

 

穂乃果「ヒュゥ~!くぁ~っこいいー!」

絵里「ふふ…悲しい悔しいエラーチカの汚名は返上よ!」ドヤチカ

花陽(えっ、悲しい悔しいって…自分で前置きまで考えたの?)
にこ(案外気に入ってたのかしら…)
凛(もっといじってあげるべきだったにゃー)

真姫(シベリアンバレットトレイン…シベリア超特急…?ダサくない?)

ことり(希ちゃん楽しんでるなぁ)

海未「私も絵里の肩に名付けたいです!そうだ、神殺の槍…ロンギヌスと呼んではいかがでしょう!」

希「却下や!」

海未「何故ですっ!」

花陽「ろ、ロンギヌス…?」
凛「かなり寒くないかにゃー」
にこ「ロンギヌスって…」
真姫「ロンギヌスはないわね…」
穂乃果「海未ちゃん…」
ことり「海未ちゃぁん…」

絵里(あら?個人的には悪くないんだけど…言ったら負けな流れかしら…)

海未「むむ…納得がいきませんが…とにかくチェンジです!!」

穂乃果(絵里ちゃんのファインプレーで音ノ木坂応援団が元気になった!この雰囲気…ありがとうみんな!穂乃果たちも頑張れるよ!)

171: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:21:44.81 ID:YMHXp09W.net
♯50
【一回裏】

 

♪~
\Dancing,dancing! Non-stop my dancing/

\Dancing,dancing! Non-stop my dancing/

【実況】
『一回の表はUTXが一点を先制!

さあ、BGMと共にマウンドへ上るはそのホームランを放った『魔術師』綺羅ツバサ!

身体は小柄!しかし威風堂々!!

音ノ木坂打線を相手にどのようなピッチングを見せてくれるのでしょうか!』

\Dancing,dancing! /

ツバサ「――Let me do」

\Party! Shocking Party!!/

ツバサ「始める準備はどう?」
(さあ来て ここに来て)

凛「えっ、見えな…!」
ズバン!ストライクアウト!131km/h

穂乃果「…!」

\Party! Shocking Party!!/

ツバサ「世界が回り出す」
(さあ来て ここに来て)

にこ「は、速…」
ズバン!ストライクアウト!133km/h

ツバサ「誰かのためじゃない」
(私とfreedom)

【実況】
『UTX綺羅!直球のみで1、2番を連続三振!まさに別次元の…~~』

ツバサ「自分次第だから」
(Go,go! we are freedom)

『三番 サード 高坂さん』

173: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:24:06.49 ID:YMHXp09W.net
ツバサ「誰かのせいじゃない」
(心はfreedom)

 

英玲奈(ツバサ、過去最高の出来だな…!)
あんじゅ(こんなツバサ…見たことない!)

ツバサ「主役は自分でしょ?わかるでしょ!」

穂乃果「勝負だよっ!!」

\もっと知りたい知りたい 過剰なLife いま夢の夢の中へ
もっと知りたい知りたい 過剰なLife だから…Shocking Party!!/

ズバァン!!!

穂乃果「っ!!」

英玲奈「――ッ!!」ビリビリ

スリーストライクアウト!!!135km/h

【実況】
『135キロ!!!自己最速を更新ーッ!!!
三者連続三球三振ー!!!』

穂乃果(バットに当たらなかった…!)

ツバサ「第1ラウンドは私の勝ち。本日絶好調、ってところかしらね?」

176: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:27:19.22 ID:YMHXp09W.net
♯51

 

【二回表】

【実況】
『試合は二回の表、バッターは五番の??統堂という場面。
この回もセカンドの小泉は、大変深く、外野の領域近くまで後退しての守備位置です』

英玲奈(さて、今私が見極めるべきは…小泉花陽の守備だ)

花陽「ことりちゃぁぁーん!!!打たせていこぉぉーっ!!!」

ことり「うーんっ!!!花陽ちゃぁん!!!お願いねぇー!!!」

英玲奈(内野手の声掛けだというのに、あれほど声を張り上げなければ聞こえない距離。尋常ではない)

スパーン! ボール!

英玲奈(だが前の回、小泉花陽は外野へ長打コースの当たりと内野浅めのゴロ、両方を捌いてみせた。彼女の守備の正体、それは…)

海未(カーブを低めに)サイン

(・8・) 「えいっ!」シュッ!

英玲奈(これでわかるはずだ。…スイング始動!)

花陽(来る…ライト前コース、打球速度速め!斜め後方に6歩で処理!)タタッ!

英玲奈(なるほどな。スイング停止だ)ピタッ

スパン!

海未「塁審!スイング!」

ストライクツー!

英玲奈「球審、タイム願います」

『タイム!』

177: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:29:30.69 ID:YMHXp09W.net
英玲奈(ハーフスイングを取られたか。まあそれはいい。小泉花陽の守備の正体…それは私の先読みと酷似した、超広域守備!)

 

花陽(え、英玲奈さんがすごいこっちを見てる…!気付かれちゃったかな?)

英玲奈(あの不可解な守備位置も、そう考えれば納得は行く。深い位置で構え、スイング始動の瞬間に打球位置まで走り、そしてボールを捌く)

英玲奈(なるほど理に叶っている。人間は前へは走れるが背走が苦手だ。故に、深く守る。動き出しが極端に早いため、浅い打球への対応も間に合う。そして深く守っているため、短い背走距離で右中間へのヒットコースもカバーできる)

英玲奈(そして、小泉花陽が超広域を守っているが故にライトとセンターの守備範囲がそれぞれライン際と左中間にズレている。
あんじゅがライン際の打球を素早く処理されライトゴロを取られたのも、元を正せば小泉花陽の影響!)

海未(そう、あれが花陽の真骨頂。内野と外野の狭間で一人、両方の守備をカバーしている。さしずめ超広域単独守備陣形『孤独なheaven』とでも名付けておきましょうか…フフ!)

穂乃果(まーた海未ちゃんがなんかよくわかんないネーミングする時の顔してる。マスク越しでもわかるもんね)

『プレイ!』

海未(右に打たせて花陽に打球処理をしてもらうのが最善ですが、偏った配球で抑えられるほど甘い打者ではありません。アウトローへことりボールを一球です)

(・8・) (わかったよ海未ちゃん)シュッ!

英玲奈(流石だよ、小泉花陽。だが、私の先読み守備のように他者に指示を出せる域には君はまだ至っていない。ヒットコースはある!)

パキンッッ!!

英玲奈「二遊間中央、センター前へ抜ける打球だ!」

凛「させないよっ!」
ズザザッ!

英玲奈(星空凛…流石の打球反応!だが、そのコースは捕ったとしても体勢が崩れて投げられない!)

バシッ!
凛「かよちん!」花陽「凛ちゃん!」
シュッ!

スパン!
希「ナイス送球!!」

アウトッ!!

英玲奈「何だと…!?」

178: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:30:53.81 ID:YMHXp09W.net
【実況】
『あーっと音ノ木坂!!またしても超ファインプレーが飛び出しましたぁ!!!

 

センター前に抜けるかという打球をショート星空が横っ跳びに抑え!駆け寄っていたセカンド小泉が瞬時に星空のグラブからボールを掴み取り一塁送球!

ヒット性の当たりを見事!内野ゴロに仕留めてみせました!!!』

穂乃果「ナイスだよー!凛ちゃん花陽ちゃん!!」
海未「素晴らしいです!!」
ことり「二人ともありがとーっ!!」

花陽「確かに、私一人の守備じゃ限界があるよ…。でも、凛ちゃんと二人なら」

凛「凛はかよちんの動きになら、いくらでも合わせられるから」

花陽、凛「「二人で、ここは絶対に通しません(通さないにゃ)!!」」

英玲奈「なるほど…小泉花陽が支持を出さずとも、星空凛、彼女だけはノーサインで意図を汲み取る事が可能…。
つまりこの試合、二遊間、センターラインから右には、ヒットコースはほぼ存在していない。…そういう事か」

(・8・) 「スマイルボール!」
三振!!

(・8・) 「インローにストレート!」
三振!

【実況】
『素晴らしいボール!二者連続三振!!
南、味方の好守に助けられて調子を上げてきました!!』

海未(よし…!先頭を切った事でことりが落ち着いて投げられました。花陽のおかげです!!)

~~~~~

179: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:32:36.14 ID:YMHXp09W.net
絵里「ことり!ナイスピッチング!」

 

ことり「ありがとう絵里ちゃんっ♪」

真姫「凛、花陽。かっこよかったわ」

花陽「えへ、照れちゃうよぉー」
凛「真姫ちゃんのくせに素直にゃ!」

真姫「クセにってなによ!」

海未「……むむむ」

ミカ「海未ちゃんお疲れ!はいタオル。飲み物いる?」

海未「…あ、ミカ。ありがとうございます」

ヒデコ「ん?なんか浮かない顔。気になる事でもあるの?」

海未「ええ…先ほどの回の優木あんじゅですが…、インコースのボール、打ってもファールになる最高のコース。それを容易にライト線へと運びました」

ヒデコ「ああ、すごく上手い打撃だったよね」

海未「はい、体勢は崩していたのに痛打されました。上手すぎる…女子野球のレベルを超えているほどに」

ヒデコ「……まさか、フルハウス打法が発動してた、って事?」

海未「む…、やはりヒデコは勘が良いですね。そう、私はそれを疑っているのです。フルカウント、そして満塁。私たちが想定した前提条件が、そもそも間違っていたのではないかと…」

フミコ「……それか、他にも条件がある。とか」

海未「……なるほど」

ミカ「もしそうだったら、ヤバくない?」

海未「ええ、致命的です。綺羅ツバサは絶好調。大量得点は望めない。この状況下で優木あんじゅに好きに打たせたのでは…絶対に勝てない」

ミカ「そしたら…穂乃果は…」

海未「……っ」

フミコ「わかった。次の優木さんの打席までに、私たちも条件を考えてみるよ」

ミカ「うん、任せといて!こういう時のための私たちだよ!」

ヒデコ「よーし、フミコ!ミカ!私らヒフミトリオの見せ場だよ!」

海未「三人とも…お願いします!!」

180: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:35:47.76 ID:YMHXp09W.net
【二回裏】

 

穂乃果「さあさあ、攻撃かけてこう!ツバサさんのボールはやっぱり凄いけど、同じ高校生なんだから打てないはずないよっ!」

花陽「そ、そうだよねっ!頑張って食らいついていかなきゃ!」

真姫(…こういう時に辛辣ちんにしたらどうなるのかしら)
スチャ
花陽「あっ」

絵里「ちょ、真姫…花陽にスカウター眼鏡をかけさせたら…」

ピピピ
花陽「54802…まーたツバサさんの野球力が上がってるよ。はぁ…私たちなんかゴミ虫だよ…。たった9匹のアリが恐竜に勝てると思う方が間違ってたんだよ…」グスッ

真姫「ね、ネガティブちんになった…」

凛「凛はこっちのかよちんもそそるにゃー」

ことり「10000以上を計測しても割れなくなったんだね?」

真姫「西木野グループの技術力で改良したのよ」

絵里「もう、遊んでないで真面目にやるわよ?さて…先頭は希よ!頑張ってね!」

にこ「……今日は四番はアンタでしょ?」

絵里「そ、そうだったわ!」タタッ!

♪ポーペポペーポ パーパパパパパパー

\ガンバラネーバネーバネバギブアップ ナーナーナナーナナーリタイナ/

『四番 ライト 絢瀬さん』

にこ「…ねえ真姫ちゃん、なんで絵里の出囃子をあんな感じの曲に?」

真姫「え?絵里ってあんな感じじゃない?作詞は海未だけど」

海未「私も絵里はあんな感じだと思いますが…」

にこ「……ま、ピッタリよね」

181: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:38:44.45 ID:YMHXp09W.net
英玲奈(さて、絢瀬絵里。走攻守に優れたオールラウンダー、ロシア打法で精神面の隙も克服している。要警戒打者の一人だ)

 

絵里(しまった。慌てて出てきたからロシア語を調べてこなかったわ…。で、でもロシア打法を使ってる風に見せないと、??統堂さんは必ずその隙を突いてくる…!)

絵里「……マトリョーシカ」

英玲奈(ふむ、ロシアだな)

ツバサ(英玲奈英玲奈、何投げよっか?)

英玲奈(絢瀬絵里は打撃データによると変化球に強い。映像を見ても、バランスを崩されることなく変化についていけている。ボディバランスに優れた元バレリーナらしいと言えるだろう。
となれば、パームを見せ球に、ボールゾーンに変化するパワーカーブでカウントを稼ぎ、ストレートで仕留めるのが最善だろうな)サイン

ツバサ(ふーん?ま、高坂さん以外は任せるわ)シュッ!

絵里(速いカーブ!でもボールね)

スパァン!
ストライク!

絵里(え、今のストライク?)

ツバサ(はは、ラッキー。この審判ヘタクソね)

英玲奈(今日の球審は外のゾーンがやたらと広い。有効に活用させてもらおう)

絵里(えっと…)

絵里「……ペレストロイカ」

英玲奈(モスクワの風を感じる…引き続き、要警戒だ)サイン

ツバサ(パームね~、了解っ)シュッ!

絵里(甘い球…?あ、違うパームだ!)ブンッ!

ストライクツー!!

英玲奈(あからさまな釣り球に手を出した?……まさか)

182: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:41:37.02 ID:YMHXp09W.net
絵里(ま、まずいわ。??統堂さんが疑いの目を向けてきてる。ロシア感を出さなきゃ…ロシア感)

 

絵里「ペリメニ」

英玲奈(…ロシアなのか?)

絵里「ボルシチ、ピロシキ」

英玲奈(なんだか、浅くないか?)

絵里「は、ハルルァセォォォオ!!」

英玲奈(む、発音が良い。やっぱりロシアだ…)サイン

ツバサ(ストレートね。オッケー、三球勝負は大好きよ)シュッ!

絵里(亜里沙の発音をマネてみたけど…っいうか私、何してるのかしら…集中しな…きゃっ…!)ブンッ!

カキィン!!

ツバサ「わっ」

英玲奈「しまった…ライト!……っ、ヒットか」

穂乃果「ぅ絵里ちゃんやったー!!!」
にこ「初ヒット出たわね!!!」
海未「同じ高校生同士、いつまでもノーヒットが続くはずがありません!」

あんじゅ「ツバサからヒットを…絢瀬絵里!」

絵里「残念、私は足が速いの。ライトゴロなんかにはならないわ。あなたと違ってね?」

あんじゅ「この…!」ギリリ

【実況】
『四番絢瀬!ライト前へクリーンヒット!
前日から続いていた綺羅のノーヒットノーランをここで破りました!!

さあ…ここで五番、ここまでの大会で4本塁打を放っているスラッガー東條が打席へ!

おっと、UTX高校の新井監督がベンチから出て…審判に選手交代を告げていますね』

『UTX高校 選手交代をお知らせします
ピッチャー綺羅に代わりまして、田中。ピッチャー、田中』

にこ「来た、弱点その3!新井監督のワンポイントリリーフ!」

海未「二塁手の田中さんがリリーフ、綺羅ツバサはそのままセカンドに入るようですね」

ことり「けど、田中さんって…」

穂乃果「あの怖い寺生まれの人だよね?」

183: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:43:26.51 ID:YMHXp09W.net
田中「般若心経般若心経…」

 

凛「相変わらずキてるにゃー…」

真姫「希、打てるの?」

希「うう…怖い…怖い…」ガクガク

真姫「ちょ、希!?対策したんじゃなかったの?」

『タイム!』

絵里「希ぃぃ!!」

穂乃果「あ、絵里ちゃんがタイムをとってベンチに戻ってきたよ。トイレ?」

絵里「違うわ、穂乃果。今日のためにね、希と二人で田中さん対策をしてきたの」

にこ「た、田中さん対策!?って何よ!」

絵里「タイムの時間は限られてる!説明してる暇はないわ!これを使うのよ!!」

凛「な、なんか神社で見たことあるワサワサしたのと鈴のやつ!」

海未「御幣と神楽鈴ですね」

絵里「希に秘められたスピリチュアルパワーを解放するわ!かぁしこみかしこみぃ!!!!」シャラシャラワサワサ

希「う、うわぁああ!!!スピリチュアル!!!」

審判「ランナー、遊んでいないで早く塁に戻りなさい。遅延行為と見なしますよ」

絵里「あっ、す、すみません!戻ります!希、頑張ってね!」
タタタ…

穂乃果「絵里ちゃんがよくわからない儀式をやった挙句、審判に怒られて塁に帰って行ったよ…」

海未「希…、希?大丈夫ですか?」

希「ふ、ふふふ…」

希「ウチを上回る霊格を持つ寺生まれ田中さんに対抗するための手段、それは…」

希「ウチ自身が大明神になる事や」

―――卍解 東條大権現

ことり「えぇ…」

184: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:44:49.22 ID:YMHXp09W.net
海未「東照大権現?」

 

にこ「大明神なのか大権現なのかはっきりしてなさいよ」

ピピピ
花陽「えっ……希ちゃんの野球力が消えた!」

凛「違うよかよちん、今の希ちゃんの野球力は凛たちとはランクが違う、だから計る事ができないんだよ…」

真姫「ねえ、ノリで喋るのやめなさいよ」

希「ま、とにかく打ってくるよー」スタスタ

穂乃果「頑張れ希ちゃん!!」

【実況】
『さあ、投手が代わり試合が再開されます。
UTXバッテリー、どう対峙していくか』

希「さあ来いっ!」

英玲奈「……東條さん。その構えは神主打法だろうか?」

希「ん、そうだよ」

英玲奈「君のオカルト打法は故人に限るのだろう?落合博満氏は存命だが…」サイン

田中「一切苦真実不虚故説般若波」シュッ!

希「そこはもうね、ウチ大明神やから。フレキシブルに対応していくことにしたん…よっ!!!」

ガッキィィィィンンン!!!!

ツバサ「うわ、すごい当たり」

英玲奈(…っ、やられたな)

ガン!!

【実況】
『看板直撃!!バックスクリーン横!『財宝』と大きく書かれた看板への直撃弾ー!!!

推定飛距離160メートルっ!!

特大のツーランホームランです!!音ノ木坂学院逆転~!!!』

185: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:46:13.83 ID:YMHXp09W.net
穂乃果「すごいよ希ちゃんんん!!!」
凛「やったにゃああああ!!!!!」
ことり「かっこいいっ!!」
海未「やりましたね希っ!」

 

絵里「希っ!ハイタッチ!」
希「絵里ち!」パンっ!

~~~~~

海未「落ち着いて、見極める…」

ズバン!ボール!
フォアボール!

海未(よし、全く見えないわけでもない。150キロマシンでの練習、無駄ではなかったようですね)

ツバサ「ちぇ…」

英玲奈(ここで四球か。新井監督も余計なリリーフを出してくれた…せっかく最高潮だったツバサのテンションがガクリと落ちてしまっている…)

ことり「花陽ちゃん!がんばって!」
にこ「花陽!甘い球が来たら積極的に叩いていきなさい!」

花陽「よし、頑張りますっ…!」

英玲奈(小泉花陽…好守を見せた選手は打撃にも良い影響が出やすい。それなりには警戒すべきだな)サイン

ツバサ(……)シュッ

ズバン!

花陽「は、速い…!」

英玲奈(速い……だが、球威に劣る。下位打線への手抜き癖、さらに監督に邪魔をされた面白くなさ。集中を欠いている。普段のツバサに比べれば、今は棒球…)サイン

187: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:47:56.36 ID:YMHXp09W.net
ツバサ(早く穂乃果さんの打席にならないかな …)シュッ

 

花陽(速いけど、なんとか見える…かな?高めストライク、振らなきゃ!)

カキッ!

英玲奈「サード!ゲッツー!」

バシ!シュッ!
アウト!

パシッ!シュ!
アウト!!

花陽「や、やっちゃった…ダブルプレー…!」

穂乃果「ドンマイドンマイ!仕方ないよー!」

絵里「相手が上手かったわね、切り替えていきましょ♪」

佐藤「おい、気を抜いてんなよ、綺羅」

ツバサ「ありがと、ええと…名前わかんないけどサードの人」

佐藤「……」

英玲奈(今の小泉花陽の当たり、打球の勢いがなく内野安打でもおかしくはなかった。瞬時の判断で猛チャージをかけた佐藤さんのファインプレーだ。ツバサ…チームメイトに目を向けてくれれば、お前も…)

~~~~~

ことり「ちゅんちゅん!?」

ズバァン!!
ストライク!バッターアウト!!
スリーアウトチェンジ!!

190: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:50:04.83 ID:YMHXp09W.net
♯53

 

【三回表】

海未『花陽、そして凛の超広域守備の影響は非常に大きい。

この回、ことりはテンポ良く、8番長谷をライトフライ、9番の吉田をセカンドゴロ、1番佐藤をセンターフライに切ってとります。

??統堂英玲奈は花陽の守備範囲を看破したようでしたが、わかったからと対策を練れる物ではありません。UTXに許されたヒットゾーンは限りなく狭い!

断言しましょう。この試合、ここまでを支配しているのは花陽です!』

【三回裏】

ズドォン!!

ストライクアウト!!

【実況】
『134km/h!!9番の西木野、1番星空と連続三振!!』

真姫「なによあれ、速すぎ…」
凛「ぜ、全然当たる気しないよ~!」

花陽「これでまた三者連続三振…!」

絵里「まだ三回で三振6個…流石に凄いわね、綺羅さんは」

希「けど、次はクセ者にこっち!最初の打席こそ三振やったけど、そうそう簡単に行くバッターやないよ?」

\ニコプリ!ニコニコ!ニコプリ!ニコニコ!/

『二番 センター 矢澤さん』

あんじゅ(うぅん、すごい曲ね…)

ツバサ(ツバプリっ!ツバツバ!的な?罰ゲームレベルじゃない…)

にこ「……」

英玲奈(…?いつもと様子が違うな)サイン

ツバサ(この子は選球眼が良いけどノーパワー。直球でゴリ押すわけね)シュッ

191: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:52:08.29 ID:YMHXp09W.net
にこ(こころ…ホームランが、見たいのよね。パパのために…)
ブンッ!

 

ストライク!

にこ(っ、…もっと)

英玲奈(……もう一球、ストレートだ)

ツバサ(了解、了解)シュッ!

ブン!!
ストライクツー!!

にこ(これじゃダメ…もっと、もっと強く…!)

絵里「にこが大振りを…?」

真姫「様子が変ね…いつもの小さく構えるやつもしてないし…」

海未「いえ、にこの事です。きっと何か、策を持った上での撒き餌なのでしょう」

花陽「にこちゃん!頑張ってー!」
穂乃果「にこちゃーん!!」

にこ「みんな…」

にこ(そう、勝たなきゃいけない。穂乃果のために、みんなのために。にこの役目は出塁すること…でも、でも…)

英玲奈(やはり、普段とは違う。葛藤を抱えている。その程度はどれほどか…測らせてもらおう)サイン

ツバサ(思いっきり高めにストレート。なるほどね)

にこ(こころ…パパ…!)

ツバサ「目に迷いがある。そんな選手に打たせるほど…」

ブンッ!!!
ズドン!!!

ストライクアウト!!

にこ「…っっ!」

ツバサ「甘くないわよ?」

スリーアウト!チェンジ!

192: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:55:28.71 ID:YMHXp09W.net
【四回表】

 

ガキンッ!

海未「サード!」

穂乃果「わっ、とっ、、捕れないよー!!」

ポトッ

【実況】
『この回先頭の田中、サード後方へポトリと落ちるテキサスヒットで出塁!

そして迎えるは、先ほど先制のホームランを放った三番綺羅ツバサ!』

海未「ふむ、花陽の影響がない位置のヒットゾーンに落としてきましたか。まあ、狙っての打撃ではないでしょうが…」

穂乃果「ランナーありでツバサさん…」

ツバサ「さあ二打席目!…『今度は逃げないでよね?』 ――ビリッ…

海未(っ…!…あの威圧には気を張っていれば耐えられますが、背を向ければ焼かれる…。敬遠は最悪手でした…)

(・8・) 「もう逃げたりしない…!穂乃果ちゃんの唇の仇!!」

穂乃果「く、唇の仇って…」

海未(さて、綺羅ツバサは左打者でかつ、中々の俊足。ダブルプレーは取りにくい…ですが、花陽と凛の連携速度ならばそれも可能。
であれば、やはりインコースを引っ張らせるのが最善。が、問題は彼女の得意コースがイン寄りであるという事。あまり投げさせたくはありません…。
となると、コースではなく遅い球でタイミングを外し、右方向へと打たせるのが理想。
直球で組み立て、ことりボールを見せ球に、スマイルボールで仕留める。よし、これで行きましょう)サイン

(・8・) (ストレート!)ボール!
(・8・) (ストレート!)ファール!
(・8・) (ことりボール!)ファール!
(・8・) (ストレート!)ボール!

ツバサ「あのシンカー、ナックルっぽい揺れ方もしてるのね。面倒臭いから投げないでよ」

海未(相変わらず傍若無人な物言いですね…お望み通り、次はことりボールではありませんよ。……スマイルボール。頼みますよ、花陽、凛!)サイン

花陽(バッターに集中、バッターに集中…)
凛(かよちんに集中、かよちんに集中…)

(・8・) (ハノケチェンの恨み!スマイルボールでことりのおやつにしてやる!)シュッ!

193: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 00:57:55.73 ID:YMHXp09W.net
英玲奈(小泉花陽の守備、なるほど素晴らしい。だがすぐに思い知るさ、ツバサには通用しないという事をな…)

 

ツバサ「ストレート来た!って、…チェンジアップ!?ああもう、面倒臭い…なぁ!!」ブン!

ガギィン!!

海未「セカンド!」(タイミングを外したのに打球が強いっ…しかし、そこには花陽が回り込んでいます!)

花陽(左9歩、足元!すくい上げて送きゅ…っ!?)バチッ!

希「花陽ちゃんが捕れんかった!?」

花陽「ぐ、グラブを弾かれ…絵里ちゃん!」

絵里「大丈夫、フォローしてるわ!けど、ライトゴロとはいかないわね」パシッ

海未(スマイルボール、毒戸さんとの対戦でレフトへの大飛球を打たれたことで危惧していましたが……綺羅、優木、統堂の三人に使うには球質が軽い!
打球の弾道が低かったから単打で済んだものの、少し上がっていればスタンドへ運ばれていかねないほどに強い打球でしたね…)

希「みんな、一回マウンドに集まろ!」

ツバサ「フフン、強襲ヒット。小泉花陽敗れたり…」ドヤッ

英玲奈(……凡人の努力や創意工夫、それを容易く踏みにじり越えていく存在を、人は天才と呼ぶんだ)

あんじゅ「さあ…私の出番ね」

花陽「ごめんなさい、みんな…」

ことり「今のは花陽ちゃんのせいじゃないよ♪ 」

希「うんうん、そもそも普通は追いつけん打球やしね」

凛「かよちん気にしちゃダメだよ!」

穂乃果「そうそう!穂乃果だったらあんな速い打球、グラブを弾いて顔面に当てて鼻血モンだよ!」

海未「練習を始めたばかりの頃は頻繁に打球を当てて鼻血を出してましたよね、ふふ…」

凛「しょっちゅうボタボタ垂らしてたにゃー」

ことり「鼻の形が変わっちゃわなくてよかったよねぇ…」

花陽「ふふふ…」

穂乃果「むう…みんなに余計な事を思い出させちゃったよ。でもまあ、リラックスできたよねっ!」

希「と、そこでみんなに一つ提案があるんやけどね…?」

凛「あ、希ちゃんが悪い顔してるにゃ!」

穂乃果「なになに?」

194: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 01:00:26.07 ID:YMHXp09W.net
あんじゅ(あら、まだまだ笑顔の余裕はあるのね。素敵よ…すぐに曇らせてあげるけれど)

 

【実況】
『さあマウンド上の輪が解け、試合が再開。

ノーアウト一、三塁。打者は先ほどライトゴロに倒れた優木あんじゅ!』

あんじゅ「さっきのライトゴロは私のミス。甘かったわ、グラウンド上に落とすなんて…。スタンドに放り込めば良い、それだけの事よね…!」

海未(恐ろしいまでの怒り…いや、殺気すら感じます!しかし、さて…)

(・8・) (どうなるかな…?)

凛(わくわくにゃー)

ツバサ「フフ、今のあんじゅはヤバいわよ。なんか知らないけど、めちゃくちゃ切れてるんだから」

希「そうなんやね…それは恐ろしい…」

ツバサ「一、三塁。私も盗塁しちゃったりして」スス…

希「ふむふむ…ほいっ」ポン

ツバサ「ん、何よ?」

希「審判さん、これボールね」スッ

ツバサ「………は?」

アウトォ!!

【実況】
『ああっと!ここでまさかのプレー!!

隠し球!隠し球です!ファースト東條の隠し球で一塁走者の綺羅ツバサがタッチアウトー!』

ツバサ「ええ…なによこれ、すっごいムカつくわ…」

ことり「希ちゃんありがと~♪」
花陽「ほ、本当に成功させちゃった…」
穂乃果「よっ!千両役者!」
凛「よっ!卑怯者!」

希「ズルイ!ズルイ!ズルイことは~しちゃダメなのよこーらこら~!…なーんて、弱者のウチらはズルい手も使わせてもらわんとね?凛ちゃんは後でワシワシね」

凛「嫌にゃああああ!!!」

にこ(か、隠し球って、男子の甲子園だったら各方面からブッ叩かれそうね…ま、女子高校野球は面白さ優先だから大丈夫だろうけど)

195: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 01:03:23.30 ID:YMHXp09W.net
あんじゅ「つくづく…舐めてるわね、貴女たち」

 

海未(ここでランナーを減らせたのは大きい…ヒデコたちがベンチ裏で懸命に優木あんじゅの条件別打撃成績を調べてくれていますが、フルハウス打法の謎は未だ解けていません。
もしも今、優木あんじゅのフルハウス打法が発動しているのなら…被弾も覚悟しなければならない)

(・8・) (なんとなく、嫌な予感がする…。海未ちゃん、”あの球”を使ったらどうかな?)

海未(ことり、あの球を使うべき場面はここではありません。あれは『究極の初見殺し』
洞察に長けた統堂英玲奈のいるUTX相手では、すぐに対策を立てられてしまう可能性があります。
今よりも…もっと、一者必殺が必要な、重要な場面が必ず来ます。その時のため、温存しておくべきです)

(・8・) (わかった。海未ちゃんに任せるねっ)

海未(どうせリスクを踏むならば、まずはフルハウス打法が発動しているかの確認をするべき。インハイ、仰け反らせる位置にストレートを。通常の打者なら決して打てない位置です!)

(・8・) (行くよっ!)ビシュッ!!

あんじゅ「ふふっ、完っ全に…フルハウス!!!」

カッ…キィィィン!!!!!

(・8・) 「…!!」

【実況】
『行ったぁぁあ!!!
レフト西木野のはるか頭上を越えていく弾丸ライナー!!!

UTX高校!逆転のツーランホームラン!!!』

穂乃果「あちゃあ…すごい打球…」

真姫「頭の上を越えてく打球ほどムカつく物ってないわよね…」

海未「やられた…!確定です…やはりフルハウス打法は発動している!」

~~~~~

196: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 01:05:38.20 ID:YMHXp09W.net
カキィィーン!!!

 

海未「っ!」

【実況】
『五番??統堂!レフトフェンス直撃のツーベースヒット!!』

英玲奈「フフ、先読み守備の弱点を教えてやろう。フェンス直撃とスタンドインだよ」

花陽「うう、ごもっともです…」

フォアボール!

フォアボール!!

ストライクアウト!!

【実況】
『六番三好、七番瀬戸へと連続フォアボール!

八番の長谷は三振も、ツーアウト満塁のピンチが続きます!打席には九番吉田!』

海未(綺羅、優木、??統堂以外の打者もスイングが鋭い…選球眼も優れています。少し疲労が出始めましたか?ことり…)

(・8・) (まだまだ♪ここが踏ん張りどころだよっ…)

(・8・) (チュンッ!)シュッ!

海未(…っ、少し甘い!)

吉田「ストレート…叩く!」カキィン!!

海未(左へ鋭い打球っ、まずい!)
「レフト!」

穂乃果「そうは…行かないよっ!!」バシィッ!!!

凛「穂乃果ちゃんがジャンプキャッチにゃ!!」

アウト!

スリーアウトチェンジ!!

海未「サードライナー!穂乃果ぁっ!」
ことり「ハノケチェンっ!」

穂乃果「へへっ、たまには守備でもいいとこ見せないとねっ!」

199: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 01:09:06.99 ID:YMHXp09W.net
♯55

 

【四回裏】

英玲奈(さて、この回の先頭は…)

『三番 サード 高坂さん』

穂乃果「よし…打ってくるよ!」

絵里「穂乃果、気負いすぎないでね」

希「穂乃果ちゃんらしいバッティングをしてくればいいんよ♪」

穂乃果「うんっ!楽しんでくるね!」

ツバサ(ふふ…来たわね、穂乃果さん。ねえ英玲奈、ストレート予告していい?)

英玲奈(やめておけ)

ツバサ(ちぇ…)

【実況】
『先頭打者の高坂、屈伸を一度。ゆっくりと打席へと入り、綺羅を見据えます』

穂乃果(さっきの打席は手が出なかったけど…みんなの打席で速球を見て少しずつ目が慣れてきた…)

スチャ
花陽(前からだけど、穂乃果ちゃんの野球力はあんまりアテにならない。
野球力は状況に応じて数値が変化する。それは誰でもそう。だけど穂乃果ちゃんは、その数値の変化が極端に大きい…)

穂乃果「さあ……勝負だよっ!!!」

英玲奈(…っ!)ゾクリ

英玲奈(これだ、この感覚…やはりツバサと同質の…)

ピピピ…
花陽(野球力6000…8000…11200…まだ上がる…!でも驚かないよ、穂乃果ちゃんは、ツバサさんが見込んだ『太陽』だから)

ツバサ「上等…ねじ伏せるわ!!!」

絵里(っ…ネクストに座ってる私にまで威圧感が…!)

200: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 01:10:33.07 ID:YMHXp09W.net
【実況】
『ピッチャー綺羅、第一球、振りかぶって…投げた!!』

 

ズドンッッ!!!135km/h

英玲奈(……っ~、手が痺れるな)

ツバサ(まだよ、まだ足りない)

穂乃果(そう、これなら見える。叩ける…!)

海未「穂乃果…」
ことり「穂乃果ちゃん…」

ツバサ(もう一球…ストレートっ!!)ビシュッ!!!

穂乃果(さっきと同じスピード…力んだのかな、ほんの少しだけスライドして内に切れ込んできてる。

腕をたたむ意識で…身体を開かずに、

―――振り抜く!!!)

ッキィィィン!!!!

英玲奈「っ!何だと!?レフト!!!」

【実況】
『打った!!!強振した打球が高々と舞い上がった!!

高い打球…滞空時間が長い…レフトが下がる…下がる…!!』

ツバサ「2ラウンド目も…どうやら私の勝ちね」

【実況】
『フェンス際!あと一伸び足りずーっ!!
レフト瀬戸が捕球、同点ホームランとはなりませんでした!!』

穂乃果「ぅあ~~~っ!!!惜っしい~~~!!!」

ツバサ(ほんと、惜っしい。……あと一息で私の居場所に手が届きそう。次の打席のアナタは…どうなってるのかしらね?フフッ)

あんじゅ(ツバサ…笑ってる。楽しいの…?)

英玲奈(ツバサ…)

~~~~~

272: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:29:40.10 ID:YMHXp09W.net
ボールッ!フォアボール!!

 

絵里(どうもさっきから私への投球が雑ね。ラッキーだけど)

ツバサ(あっちゃー、さっきからこの人にはダメね。やっぱり穂乃果さんの後じゃ気合いが抜けちゃう)

英玲奈(ツバサのムラっ気は今に始まったことじゃない。元々コントロールで勝負する投手でもないしな)

『五番 ファースト 東條さん』

にこ「ん、希の番ね」

海未「絵里はまた出塁していますので、今度は私があれをやりましょう。かぁしこみかしこみーっ!!」ワサワサシャンシャン

穂乃果(やってみたかったんだ)
ことり(やってみたかったんだね…)

希「大和撫子の海未ちゃんがやってくれるとまた本格派やなぁ。よーし、チャージ完了!」

希「……よっしゃ。おうお前ら、ウチは落合や」

穂乃果「あっ!希ちゃんが独特のふてぶてしい雰囲気を醸し出し始めたよっ!これが落合さんなんだねっ!」

希「嫁と息子、信子と福嗣のためにいっちょぶっ飛ばしてくるわ」

花陽(落合さんってああいうキャラじゃないし関西弁でもないよね…)
にこ(よく知らない人のモノマネに果敢に挑む芸人魂、嫌いじゃないわ)

真姫「今度はあの寺の人、田中には代えないのね」

凛「うん、無能監督でも少しは学ぶんだね」

英玲奈「なぁツバサ、本当にやるのか?」

ツバサ「もちろんやるやる。ほらセカンドの人、それ貸してよ」

田中「波羅僧掲諦…」

274: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:31:45.20 ID:YMHXp09W.net
真姫「ん…?あっ、見て!希!」

 

希「おうなんや西木野ォ、ウチは落合や言うとるやろ」

真姫「それ今めんどくさい!とにかく見てよ!綺羅ツバサ!」

希「んー、ツバサさんがどうしたん…って、えっ?」
穂乃果「つ、ツバサさんが…!」
凛「首から数珠を下げてるにゃ~!!?」

ツバサ「東條さん!言ってなかったけどね…私の実家も寺なのよ!!」バァン!

希「なっ、なんやって~!?」
穂乃果「なっ、なんだって~!?」

ツバサ「悪霊とか知らないけど、多分全員抱いたわ!!」ババァン!!

希「ひいいいいっ!!」

にこ「ちょっ!あれ嘘よ!絶対嘘!父親は商社マンで、そこそこ裕福な普通の家庭で育ったって雑誌のインタビューで見たわよ!」

希「ならイケるやん!!」

ツバサ「チッチッチ…甘いわね。うちの寺はあまり騒々しくなるのを好まない檀家さんが多いの。だから隠してるってだけよ」

にこ「そ、そんなっ…!」

希「やっぱり寺生まれのツバサさんなんやあぁぁぁあ!!」ガクガク

真姫「の、希の怯え方が怖い…」

海未「無理もありません…投手としての実力は格下だった田中さんを、大明神と化すことでやっと攻略できたのです。
しかしここに来て、綺羅ツバサが寺生まれだという驚愕の事実…!格上の相手が寺生まれだったとなれば、希が威圧されてしまうのも無理からぬ事…!」

ことり(なんか海未ちゃんがノリノリだぁ…)
穂乃果(後出し能力バトルみたいなの好きだからね、海未ちゃん)

花陽(あれ、多分嘘だよね。にこちゃんの突っ込みにも慌てず、さらりとアドリブで嘘をついてみせるあの精神力と演技力、それは投手としての胆力にも通じている。やっぱりツバサさんは大物です…!)

希「…と、まぁ怯えてばっかもいられないし…ちょっと打ってくるわ!」

276: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:33:11.41 ID:YMHXp09W.net
希「さ、来い!」

 

英玲奈(さっきと同じ神主打法…、神社で働く彼女にいかにもしっくりと来る構えだ。打者にとっての自己イメージは大切だからな)サイン

ツバサ(パワーカーブね…)シュッ!

スパァン!

ストライク!

希(速いし、曲がりが鋭い。これをもっと多投されたら本当に手が付けられんね。ストレートばっかを投げたがりなのは不幸中の幸いかな?)

ツバサ(ねえ英玲奈、結局東條さんって何者なの?オカルトだの落合だの)

英玲奈(ああ、要は野球モノマネが上手な女の子だ)サイン

ツバサ(な、なるほど…)シュッ!

希(ウチは落合ウチは落合ウチは落合…)ブンッ!!

ズドン!!!136km/h

ストライクツー!

希(………訂正。ストレートだけでもそうそう打てんね、これ)

英玲奈(空振りは奪えたが、やはりスイングの迫力が他とは一線を画している。パームで一球落として様子を見たいところだが…)

ツバサ(……野球モノマネねぇ、私も穂乃果さんに披露できるように一つぐらい覚えようかな…)

英玲奈(投手の気持ちを上げるのも捕手の務め。ここはツバサを気分良く投げさせるのを優先……ストレートで三球勝負だ)サイン

ツバサ(ベリーグッドよ英玲奈)ビシュッ!!!

絵里(弱点その1、グラブの角度!盗塁を仕掛けるなら今!)ダッ!!

希(絵里ちが走った!直球…スイングや!)ブンッ!

ズドンッッ!!!

スリーストライクアウト!!

希(くっ、三振っ…!でも、よろけたフリをして…)

英玲奈「二塁送球…っ!いや、これは投げても間に合わないな」

絵里(ナイスよ、希)ザッ!
セーフ!

花陽「よし!絵里ちゃんの盗塁成功でランナーが得点圏に!チャンスです!」

278: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:35:28.51 ID:YMHXp09W.net
ツバサ「上手いこと送球の邪魔されちゃったわね、英玲奈」

 

英玲奈「む、先ほどの隠し球といい、東條さんはトリッキーなプレイにも長けているな。この手の強打者には珍しいタイプだ」

ツバサ「それにしても今の、私のモーション完全に盗まれてる感じ?」

英玲奈「………ああ、そのようだな」

ツバサ「フーン?ま、お好きに走ってどうぞって感じね。どうせ盗塁だけじゃ点は取れない。打たせなければいいだけよ」

英玲奈「……フ、それでこそお前だよ」

ツバサ「なんで嬉しそうなのよ」

英玲奈「気にするな」

穂乃果「海未ちゃん!チャンスチャンス!」

凛「絵里ちゃんの脚ならヒット一本で帰ってこれるよ!!」

真姫「あのセンターは肩が強い。両翼を狙うべきだけど…とりあえず打てれば御の字よね」

海未「ええ、任せてください。乾坤一擲!ここはなんとしても仕留めます!」

『六番 キャッチャー 園田さん』

海未「よろしくお願いします」

英玲奈「ああ、よろしく頼む」

英玲奈(ツバサ…園田さんの打席だけは、私に全面的にリードを任せてもらいたい)

ツバサ(捕手同士のプライドってとこ?いいわよ。案外熱いとこあるよね、英玲奈も)

280: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:37:12.03 ID:YMHXp09W.net
英玲奈(現代野球において捕手の評価要因はおおよそ四つ。リード、捕球、フレーミング(ストライク判定を受ける技術)、盗塁阻止。
園田海未は私よりも捕球、フレーミング、盗塁阻止の三要素で上回っている。これは自身を卑下しているのではなく、指標からの判断だ。
ツバサの球を捕れなかったと聞いたが、それも慣れの問題。私も最初から捕れたわけではない。変化球のキャッチング、動体視力、反射神経。園田海未は全国でも屈指だろう。
だが、リード。統計、分析、観察、直感の四項目から成り立つ頭脳戦に、私は絶対的な自信を持っている。決して彼女に負けるつもりはない。さあ、読み合いの時間だ)

 

海未(綺羅ツバサの様子…サインを待っている?統堂英玲奈が長考している。なるほど、私との正面対決を望みますか。いいでしょう、受けて立ちますよ)

英玲奈(さて、まずは観察だ。優秀な捕手と相対した際のリードというのは普通の打者に向けての物とは一味違ってくる。園田海未ならば私のリードの癖は把握しているだろう。まず初球、変化球の割合が高い)

海未(しかし、それを私が理解しているという点も踏まえているはず。そこで気になるのはもう一つの傾向、審判の癖を利用したリードを好むという特徴。
今日の審判は外角のゾーンが広い…正直言って、技量が不足しています。しかも私と??統堂さんの両方がフレーミングで徐々にゾーンを広げているため、外角の極端な部分をストライク判定される恐れまである。
それだけに!アウトに目が向いている今、初球のインコースこそが活きる。この場面、私なら…)

英玲奈(インコースにパーム)サイン
海未(インコースにストレート)

ブンッ!
スパン!

ストライク!

海未(むむ、変化球での入り。考えすぎましたか…?しかしコースは正解、方向としては間違ってはいませんでした)

英玲奈(コースを読み切られたか、恐ろしい奴だ。直前でストレートから変更したのが功を奏したようだな。勘も一つの能力さ、園田さん)

ツバサ(どっちも長考キャラよね…なんかこう、人間の脳内で流れてる文章量ってめちゃくちゃ個人差ある気がするわ)

穂乃果(あ、お腹減ってきた)
凛(かよちん可愛いにゃー)

ガキン!!

ファール!!

海未(低めのパワーカーブ…読みは合っていたのですが、ここまでの変化量だとは思いませんでした。
映像で見るよりも縦への落差がありますね…。しかし今のでイメージは出来ました)

英玲奈(園田さんの前の打席ではパワーカーブは放らせていない。読みこそ見事に合わせられたが、完全な初見でミートできるほど甘い球ではないさ。使う球の取捨選択、これもリードだ)

287: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:42:20.61 ID:YMHXp09W.net
海未(さて三球目…??統堂英玲奈のリードにおける最大の特徴、それは三球勝負を好む事)

 

英玲奈(と、言っても私が好んでいるわけじゃない。ツバサはとにかくせっかちなんだ。気分良く投げさせてやるためには可能な場面では極力早く仕掛けていきたい…)

海未(しかし、前の打者である希にも三球で勝負を掛けている。データで見ても感覚的にも、ここは流石に一球ボールを挟んでくるポイントのはず)

英玲奈(そう、ここはボール球だ。有利なカウントでのボール球という物は読まれていようが構わないものだ。さて考えるべきは、ボールを挟む事でまたツバサのムラっ気を呼び起こさないかどうか)

海未(綺羅ツバサという人物、あくまで見た限りでの印象ですが、ストレートさえ放らせておけばある程度は機嫌良くしている気がします。となれば、??統堂英玲奈の選択する球種は)

海未(インハイ、ボールになるストレート!)
英玲奈(アウトロー、ボールになるストレート。)

ズドンッ!!!

スリーストライク!!!アウト!!!

海未「なっ…」

海未(や、やられた…!ここで外角判定を利用したストレート!しかし、今のをストライクと判定しますか…?この主審、あまりに、あまりに拙い…!これがプロ野球の試合で私が助っ人外人なら確実に張り倒してますよ貴方!)

英玲奈(下手で広い審判は嫌いじゃない。リードが楽だからな。とはいえ、今の判定は流石に酷い…。こっちがやられたらたまったものじゃないぞ。まあ、運もリードのうち、としておくか)

英玲奈「私の勝ちだ、園田さん」

海未「~~~っ!不甲斐ないっ!!」ガンッ!

ツバサ(うーん、なんかすっごい疲れた…)

スリーアウトチェンジ!!

290: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:47:51.55 ID:YMHXp09W.net
♯56

 

【五回表】

コツン…コロコロ

海未「なっ…綺羅ツバサがバント!?ことり!」

穂乃果「エンドラン掛けてる!サードもセカンドも無理だよ!

海未「ファースト送球!」

ことり「捕った…けど、間に合わないっ!」

ツバサ「フフ、不意打ちバントも上手くてこそ天才!いきなりセーフティバントって『魔術師』っぽくないかしら!」ドヤ

【実況】
『セーフティバント成功!!ノーアウト満塁~~!!
佐藤のピッチャー強襲ヒット、田中の四球に続けての出塁!音ノ木坂学園大ピンチ!!!
さあそして、ここで登場する打者は…』

『四番 ライト 優木さん』

ツバサ「あんじゅ、ここは花を持たせてあげるわ」

あんじゅ「ありがとう…ツバサ。最高の舞台よ…!」

ことり「ノーアウト満塁で…あんじゅさん…」

海未(考え得る限り最悪の場面…!)

理事長「あの、審判さん。タイム…って、私がお願いしてもよろしいんでしょうか?」

ことり(お母さん?)

『タイム!』

理事長「それじゃあ、伝令をお願いね?」

ヒデコ「わかりましたっ!!」

291: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:49:40.18 ID:YMHXp09W.net
ことり「タイムって、お母さんどうしたんだろう」

 

穂乃果「あ、ベンチからヒデコが走ってきた」

ヒデコ「みんなー!っていうか海未ちゃん!」

海未「……!ヒデコ!わかったのですか!?フルハウス打法の条件が!」

ヒデコ「間違いないよ!フルハウス打法の三つ目の条件は……『満員の観客』!!」

海未「……!!」

穂乃果「ねえねえっ、何の話?」

ヒデコ「細かい条件別の打撃成績ばっかり調べてたけど、ふと思いついて会場が満員になるような大舞台に限定した打撃成績を見てみたんだ。打率、十割だったよ」

希「確定やね!」

穂乃果「ねえ、ヒデコってばー」

花陽「そ、そういえば…春大会の決勝でも全打席打ってました…!」

ことり「そっか、それなら常にフルハウス打法が発動してたのにも納得がいくね…」

穂乃果「むぅ…」

希「多分やけど、見渡す範囲一面が観客で埋まってる事で気持ちが上がってゾーンに入れるんやろね」

海未「競技外の部分に要素があったとは…恐ろしい…!」

穂乃果「凛ちゃん凛ちゃん、みんなが説明してくれないよー」

凛「凛知ってるよ。凛と穂乃果ちゃんに細かい話を説明するだけ時間のムダだって」

穂乃果「そっかぁ、凛ちゃんは晩ごはん何食べたい?」

凛「揚げ物にゃ!」

穂乃果「ええっ!凛ちゃんがラーメン以外を…健康的だねっ!」

花陽(ツッコまない…ツッコまない…)

海未「しかし、観客の数が発動条件だなんて、それではどうしようもない…」

ヒデコ「海未ちゃん、私がどうしようもないって伝えるためにマウンドに来たと思ってる?」

海未「ヒデコ…?」

ヒデコ「ふふ、見ててよ…私ら音ノ木坂生徒の結束、思い知らせてやるんだから!」

フミコ・ミカ『LINE一斉送信!!』

292: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:51:38.02 ID:YMHXp09W.net
【実況】
『音ノ木坂学院、伝令が送られてから長いタイムとなっています。マウンドに集まった選手たちは何を話しているのでしょうか。
……おや、これは?どうした事でしょう!タイムの間に音ノ木坂高校の生徒たちで結成された大応援団が一斉に退席!?
スタンドの一角が荷物だけを残し、ガラリと空席になってしまいました!』

 

花陽「す、すごい!綺麗さっぱり人がいなくなってる!」

ヒデコ「ふふっ…私、フミコ、ミカの人脈を舐めちゃいけないよ!すぐに全員に連絡を回す事なんて簡単なんだから!」

穂乃果「なんかよくわかんないけどヒデコ最高だよー!」

ヒデコ「おー穂乃果、よーしよしよし」

あんじゅ「……あらあら、フルハウスじゃなくなっちゃったわね」

英玲奈(フルハウス打法発動の第三条件に気付くとは…流石は音ノ木坂だ)

あんじゅ「けど、忘れちゃダメよ?ノーアウト満塁。グラウンド上はまだまだ完っ全にフルハウス…!」

『プレイ!!』

あんじゅ「さあ園田さん、何で来るのかしら?そうだわ、予告してあげる…。
シンカーならライトスタンド、チェンジアップならレフトスタンド、ストレートならバックスクリーンへ。うふ…カーブは論外よ?初球で仕留めてあげる…!』

海未(……その怨讐や良し。怒りも憎悪も精神力。貴女は本当に恐ろしい選手ですよ…。ですが、やりますよ!ことり!)サイン

(・8・) (いくよ、海未ちゃん!)シュッ!!

あんじゅ(トドメを刺してあげる、音ノ木坂……って、ええっ?)

(・8・)「ああっ!!」

海未「なっ…!ことり、何を!!」

【実況】
『ああーっと!!!ピッチャー南っ、大暴投!!!園田ジャンプするも捕れずに後逸ーっ!!!』

あんじゅ「…!?な…さ、サードランナー!帰ってきなさい!」

佐藤「言われなくても行くよ!」ダダッ!

ツバサ(大暴投、ねぇ…)

英玲奈「…!駄目だ!ランナー戻れ!」

【実況】
『三塁ランナーホームイン!!残りのランナーもそれぞれ二、三塁に進塁~!!
得点4‐2!音ノ木坂学院痛恨のワイルドピッチ~!!!』

294: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:53:21.85 ID:YMHXp09W.net
あんじゅ「くすくす…動揺したのかしら。でも安心して?結局ワイルドピッチなんて関係な……っ、あっ」

 

ツバサ「ふふ、一杯食わされたわね」

英玲奈「…満塁崩し、成立だ」

海未(肉を切らせて骨を断つ。ここの一点はくれてやります。これでフルハウス打法は崩れました…!)

あんじゅ「っ、やられたわね……でも、忘れてはいないかしら。フルカウントに持ち込むだけでもフルハウス打法は発動する…!」

海未・ことり((フルカウントにされる前に、絶対に仕留める!))

(・8・)(カーブ!)ストライク!
(・8・)(ことりボール!)ストライク!
(・8・)(ことりボール!)ファール!
(・8・)(ことりボール!)ボール!
(・8・)(ストレート!)ファール!
(・8・)(スマイルボール!)ファール!
(・8・)(ストレート!)ファール!
(・8・)(ことりボール!)ファール!
(・8・)(っ、…!ストレート!!)ファール!!

【実況】
『またしてもファール!!粘る、粘る!優木あんじゅ!ピッチャー南の投球は次で11球目!!』

海未(くっ…フルハウス時の豪快な打撃に対してなんと緻密、なんと繊細なバットコントロール…!空振りを奪えません!)

あんじゅ(驚いたかしら?通常時の私はむしろ技巧派なの。フルハウスなら確実に打てる。なら、フルハウスに持ち込むための技術に特化するのは当然の事。
『怪童』なんて、パワーを評価されるのも嫌いじゃないけど…テクニックも捨てたものじゃないでしょう?)

海未(ここはアウトコース…)

(・8・) (ストレートっ!!)シュッ!!

パシィッ!

ボールスリー!

海未「なッ…!!」(その位置…私の打席ではストライク判定をした位置ではありませんか!!)

英玲奈(甘い。判定が安定しないからこそ下手な審判なのさ。さっき取ってくれた位置なら確実にストライクコールをしてくれる…そんな信頼をしてはいけない。
園田海未…ここで経験値の浅さが露呈したな)

295: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:55:03.16 ID:YMHXp09W.net
花陽「ふ、フルカウント…!」
凛「ま、まずいよ…これ」

 

あんじゅ「あっはははは!!スタンドの観衆を引かせる?暴投を演じる?無駄な努力!凌遅刑の時間が長引いただけだったわね?!これで!完っっ全にフルハウス!!……さあ、ショーのフィナーレよ?」

海未(……)サイン

(・8・) (………)フルフル

あんじゅ(…あら?初めてね、南さんが首を横に振るのは)

海未(……)サイン

(・8・) (………)フルフル

海未(………)サイン

(・8・) (…)フルフル

あんじゅ(あらあら…なんだか険悪。仲良しバッテリーの呼吸が合わなくなっちゃったの?
ふふ、無理もないわよね、二人揃って断頭台に両足が掛かっているんですもの。冷静でいられるはずがない)

ことり「っ、!!タイム!海未ちゃん!来てっ!!」

海未「ことり…」

あんじゅ「くすくす…ついに南さんご自慢のポーカーフェイスも崩れちゃったわねぇ」

穂乃果「こっ、ことりちゃん海未ちゃん!大丈夫!?」

ことり「穂乃果ちゃんは来ないで!!これはことりと海未ちゃんの問題なの!!」

海未「ことり…」

真姫「ちょっと、何?マウンドで喧嘩…?」

絵里「た、大変…今はタイム中よね、私が行って仲裁を」

希「やめとき、絵里ち」

絵里「どうしてよ希、止めないと…!」

あんじゅ(最っ高の余興ね…。何を喧嘩しているのかしら?)

ことり「海未ちゃんのせいでフルカウントにされたんだよっ!!わかってるの!?」

あんじゅ(配球で揉めてるのね。ふふ、それはバッテリーの共同責任でしょう?南さん、確かに貴女も土壇場で混乱してしまうタイプのようね)

ことり「海未ちゃんの馬鹿っっ!!!」

バチィン!!!

海未「……っぐ」ビリビリ…

ツバサ「うっわ、ビンタした」

穂乃果「こ、ことりちゃん!!ほんとにダメだよ!その辺でもうやめよ?ね!?」タタタッ

297: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:56:47.65 ID:YMHXp09W.net
【実況】
『あーっとどうした事か!ピッチャーの南、キャッチャー園田の顔を叩いたように見えましたが!?
同じ二年生キャプテンの高坂が慌てた様子で間に割って入り二人を引き剥がします…そして審判に急かされる形で試合が再開。いや、一体どうしたのでしょうか、心配ですね』

 

『プレイ!』

海未(……これです)サイン

ことり(………)フルフル

あんじゅ(やっぱり合わないのね?南さんが怒った顔してる)

海未(……では)サイン

ことり(…!)コクリ

あんじゅ(ようやく頷いた!あの顔、きっと園田さんが折れたのね。面白い…どうしたものかしら。ええと、確か…スリーボール時の園田さんのリードはストライクゾーンの変化球中心。
普段の配球のパターンから考えるに、ここまで息が合わなかったとなると……ストレート!狙い打つわ…!)

ことり(……!)シュッ!

あんじゅ「えっ…!シンカー…!?」ブンッ!!

スパァン!!

スリーストライクッ!バッターアウト!!

あんじゅ「なんで…!?あんなに揉めて…間違いなくストレートだったはず!!」

(・8・) 「やったねっ、海未ちゃん♪」ニヤリ

海未「ええ、やりましたねことり!」グッ

あんじゅ「!!??」

絵里「えっ、え?どうなってるの?三振?」

穂乃果「な、なんか仲直りしてる?よくわかんないけど良かった良かった!!」

298: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:58:01.74 ID:YMHXp09W.net
海未(術中に嵌ってくれましたね、優木あんじゅ。タイムを取る前に私が出していたサインは『ストレート』でも『変化球』でもなく、【首を振れ】。
呼吸が合っていない様子を演じ、優木あんじゅに配球を読ませるのが目的でした。ゾーン状態とは集中の極致。フルハウス打法は反応型の打撃スタイル。読み打ちとの相性は最悪!
…ですが、いくら喧嘩の演技をしろとは言ってもビンタまでは頼んでいませんよ、ことり…。
あと、先日穂乃果にやってたビンタよりもやたら強くありませんでしたか?)

 

ことり(ことりは試合前に海未ちゃんに言われた策の一つをサイン通りにやっただけです♪
でも叩かれた瞬間、海未ちゃんがすごくビックリした顔をして…ほんの一瞬目が潤んで…子供の頃の臆病な海未ちゃんが見えちゃった…。
ことりは穂乃果ちゃんのおひさま笑顔が大好きでぇ…海未ちゃんのうるうるな泣き顔もだぁいすきなのっ!
はぁぁ…まだ手のひらに海未ちゃんのほっぺたを叩いた感覚が残ってるの…あぁっ、クセになっちゃいそうっ…♪)

花陽(やっぱりことりちゃんって性癖歪んでる気がするなぁ…)

凛「あ、スタンドに応援団のみんなが戻ってきたにゃー!」

英玲奈「まんまと嵌められたな、あんじゅ」

あんじゅ「英玲奈っ…これは一体!どうなってるのよ…!まるで意味がわからないっ!!」

英玲奈「さあな。今のお前に説明をするのは面倒だ。下がって一度、頭を冷やしてこい」

あんじゅ「??っ!!ああっ!もうっ!!」

英玲奈(あんじゅの打撃スタイルはいわば感覚派。思考を伴って打撃をするタイプではない。あの仲違いで雑念を植え付けられ、集中を乱されてしまったようだな。おそらくはあの喧嘩も、全ては演技なのだろう。流石だよ、音ノ木坂バッテリー)

英玲奈「だが、次は私だ。その手の細工は通用しない…!」

【実況】
『ピンチはまだ続きます!ワンナウト、ランナー二、三塁で??迎えるは『精密機械』統堂英玲奈!!』

英玲奈「今度は私の手番だ。さあ園田海未、君のリードを読み切ってみせよう」

海未(ことり、ここです!“あの球”を使いますよ!!)

ことり(海未ちゃん!ついにやるんだね?あれを!)

海未「理事長、お願いします!」

理事長「えっ…?あ、はい!審判さん!タイムをお願いします!」

300: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/07(金) 23:59:42.32 ID:YMHXp09W.net
『プレイ!』

 

英玲奈(奇異な守備シフト、守備位置の変更…。ふむ、考えるべき事が多いな。
まず目に付くのは二塁付近を守っている西木野さん。重心の掛け方が明らかに内野手のそれではない。心理的な圧迫のため?いや、シンプルに打球を抑えさせるための壁としてか…?
園田さんたちの雰囲気、表情、何か新しい戦術を仕掛けようとしているのは確定的だ。内野五人から想定されるもの…新たな変化球。確実にゴロを打たせられる、そんな類の球だろうか。
しかしそれなら不可解なのは東條さんと小泉さんの入れ替え。二人ともそれぞれのポジションならば名手。確実にゴロを打たせて打ち取ると言うのならば、どう考えてもそのままで守らせるべきだ。
だとすれば何か他の意図が…」

海未「どぅとぅるとぅとぅー どぅとぅるとぅとぅー」

英玲奈(!?)

(・8・) 「キミニッ トンデケスキスキプワプワ」

英玲奈(!??)

海未「とぅわとぅわぅー とぅわとぅわぅー とぅわわわわわわー わわわわわ?」

穂乃果『スキスキ プワプワプワプワ スキスキ プワプワシチャオウ』ダダダダッ!
(・8・) 『スキスキ プワプワプワプワ スキスキ プワプワシチャオウ』シュッ!
花陽『スキスキ プワプワプワプワ スキスキ プワプワシチャオウ』ダダダダッ!

英玲奈(歌!?えっ園田さんのは伴奏なのか?!高坂さん小泉さんがダッシュ、何を…スクイズ警戒?!!い、一体なんだと…!!あっボール来た!)

スパン!!

ボール!

英玲奈(……ええと、投げてきたのは見た事のない球だ。変化としてはほぼナックルだな。あのチェンジアップを強く弾いてナックルに寄せたものだろう。しかし球威のなさは変わらず。こんなものが新球?いや、考えにくい。それよりも…)

花陽「アイタイ ツバサガビュンビュン モット ビュンビュン…」

英玲奈(歌いながら定位置に帰っていく…なんだあれは、何らかのサインなのか?っ、まずい、歌ってる面子に気を取られてはシフトの謎が解けん)

穂乃果「プワプワプワプワ」
(・8・) 「プワプワプワプワ」

海未(さぁ、仕込みは終わりました。必殺の時間ですっ!!!)

303: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 00:01:52.77 ID:8P3gs83S.net
(・8・) 「セカイジュウデ タッタヒトツノラーヴ」

 

穂乃果『オゥイェス!』ダダダダッ!
(・8・) 『オゥイェス!』シュッ!
花陽『オゥイェス!』ダダダダッ!

英玲奈(投げてきた……!何っ!?)

スパン!

ストライク!

英玲奈「……なんだこれは、どうなっている…?!」

穂乃果『ワーオワーオ!ユメナラバ』ダダダダッ!
(・8・) 『ワーオワーオ!ユメナラバ』シュッ!
花陽『ワーオワーオ!ユメナラバ』ダダダダッ!

スパン!

ストライクツー!!

英玲奈「何故だ…!何故…」

穂乃果『スキスキ プワプワシチャオウ!』ダダダダッ!
(・8・) 『スキスキ プワプワシチャオウ!』シュッ
花陽『スキスキ プワプワシチャオウ!』ダダダダッ!

海未「とぅるるるる びよよ?ん」

スパン!

スリーストライクアウト!!!

英玲奈「何故ボールが消えるんだ!!!」

【実況】
『あーっと五番??統堂!変化球を前に手を出せずに見逃し三振ーっ!!
バットを一度を振る事が出来ませんでしたー!!』

海未「これが魔球…『ぷわぷわーお』!」

英玲奈「くっ…!」

304: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 00:03:53.34 ID:8P3gs83S.net
とり「海未ちゃんやったぁ!!」
花陽「海未ちゃぁん♪」
穂乃果「すっごいよ海未ちゃん!!!」

 

海未(??統堂英玲奈…、『クロノスタシス』という現象を知っていますか?意味は時の停滞…。
稀にあるでしょう、「時計が止まって見える錯覚」。アナログ時計に目を向けた際、秒針の動きが遅く、または静止して見える、アレです。

実は人間の眼球は、その動きが止まっている時にのみ物を映しています。我々の見ている視界とは、膨大な連続写真を細かに繋ぎ合わせて作り出されているような物。
クロノスタシスの原因は『サッカード』と呼ばれる、眼球が動いている状態。眼球が動いている間、人間の視界はシャットアウトされているのです。

マウンドから捕手へボールの到達時間は0.5秒ほど。一瞬でもクロノスタシスが起これば消える魔球は完成する!
ならば脳を疲労させ、眼球が動いているサッカード状態を故意に作り出してやればいい。

まずはイレギュラーな事態を複数用意します。不可解な守備シフト、守備位置の変更。思考すべき事が増え、些か混乱したでしょう?
次に、スマイルボールの亜種、ナックルボール。とはいえ、このナックルは常時使える精度の物ではありません。いわば棒球。ただ揺れているだけ。ですがサッカードを招くには十分。

そして何より、ことり、穂乃果、花陽。三人の生歌は脳に甚大な被害を招きます!
左右正面から破滅的な歌声に迫られ、思考回路に負担を掛けられ、揺れるボールを連投され…サッカードが起こらないはずがありません。故に、球は消える!

これこそが、多段構えの魔球『ぷわぷわーお』の正体…!などと、ネタバレをするつもりはありませんがね…ふふ)

希(トチ狂った球やなぁ…)

『六番 ファースト 三好さん』

穂乃果『アイタイ アイタイ ビーマイベイベー』
花陽『アイタイ アイタイ アイニイコー』

穂乃果『アイタイ アイタイ マッテナサーイ!』ダダダダッ!
(・8・) 『アイタイ アイタイ マッテナサーイ!』シュッ!
花陽『アイタイ アイタイ マッテナサーイ!』ダダダダッ!

三好「う、うわああああ!!!」

スパン

ストライクアウト!!

海未(フフフ、穂乃果と花陽のチャージはあくまでバント警戒のため。
正当な建前がある以上、野球規則4・06(b)「打者の目のつくところに位置して、スポーツ精神に反する意図で故意に打者を惑わしてはならない」には該当しません。
まあ、それだけにランナーがいるタイミングでしか使えない球ではありますね)

スリーアウトチェンジ!!

314: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 00:08:04.18 ID:8P3gs83S.net
【五回裏】

 

穂乃果『この回の攻撃は花陽ちゃんから!
だけど、ことりちゃんの消える魔球『ぷわぷわーお』を見たツバサさんがエンジンに再着火。
花陽ちゃんがファーストゴロ、ことりちゃんはキャッチャーフライに打ち取られちゃった。

そして、真姫ちゃんは…』

ズドォン!!!132km/h

スリーストライクアウト!!

真姫「……あれ?」

絵里「くっ、三者凡退ね…」

凛「まーた真姫ちゃんの三振定期にゃー」

真姫(今の、感覚…)

凛「…あれ、瞬間湯沸かし器の真姫ちゃんが言い返してこない?ご、ごめん真姫ちゃん!傷付いた?凛も打ててないから大丈夫!」

真姫「……ん、え?凛、どうかしたの?」

凛「えー聞いてなかっただけ?謝り損にゃー」

真姫「何よ、どうせ減らず口でも叩いてたんでしょ。先払いであと100回ぐらい土下座してくれてもいいのよ」

希(真姫ちゃんのあの表情…さっきのスイング。ついに、イメージと体の歯車が噛み合ったみたいやね。あと少し…あと少しだよ、真姫ちゃん)

真姫「まったく、凛はいつもいつも…!っと、わっ!う゛ぇえっ!」ドサッ

凛「あ、真姫ちゃんがグラブ踏んづけて転んだにゃ」

花陽「だ、大丈夫?真姫ちゃん」

真姫「いったぁ~…ちょっと!誰よ、こんな邪魔なところにグラブを置きっぱなしにしてるのはぁ!」

にこ「…あ、ごめん」

凛「にこちゃん…」

絵里(やっぱり、にこの様子がおかしい…いつもに比べて極端に口数が少ないし…)

真姫「ちょっとにこちゃん!いい加減にしなさいよ、さっきからずっとシケた顔して!」

にこ「……ごめん」

真姫「……!??」

穂乃果「い、言い返さずに謝った…!」

海未「重症ですね…」

希(さっきから何度もスタンドの…音ノ木坂応援席の方を見つめてる。にこっち、ご家族のことなん?もしそうだとしたら、ウチらが言ってあげられる事なんて…)

342: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/08(土) 01:26:17.24 ID:8P3gs83S.net
【実況】
『音ノ木坂の南監督、ここで審判にタイムを要求します。なにやら、守備位置の変更でしょうか?
と、同時に捕手の園田さんが守備陣に大幅なシフトの変更を通達しているようです』

 

海未「まず、真姫!内野まで来てください!」

真姫「え、私?内野?なんで…」タタッ…

海未「はい、そして二塁ベース付近、凛と花陽の中間地点を守ってください」

英玲奈(内野五人シフトだと…?)

凛「なんで西木野さんが凛とかよちんの間に入ってくるの!!」

真姫「わ、私だって知らない!っていうかなんで苗字呼びなのよ!」

理事長(ええと、海未ちゃんから渡されたメモ…)ゴソゴソ

理事長「守備位置の変更をお願いします。一塁手の東條を二塁に、二塁手の小泉を一塁に変更で」

希「え、ウチが二塁?まあいいけど…」

凛「かよちんが遠くなったにゃああああ!!?!」

花陽「ごめんね凛ちゃん…必殺技のためなの!」

穂乃果「やるんだね、海未ちゃん!」
ことり「海未ちゃぁん!」
花陽「海未ちゃんっ!」

海未「ええ、お願いしますよ三人とも!あなたたちが鍵なのです!」

415: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2015/08/09(日) 00:38:01.57 ID:WJRCUC4B.net
【六回表】

 

花陽「凛ちゃんっ!」シュッ アウト!
凛「希ちゃん!!」シュッ アウトっ!!

【実況】
『九番吉田、4-6-3のダブルプレー!!この回、UTXも結果的に三人で攻撃終了となりました。
ピッチャー南、ここまで4失点を喫していますが、準決勝で19得点を挙げたUTX打線を相手に健闘を見せています!』

ことり(ふぅ…)

真姫「ことり、疲れは大丈夫?」

ことり「真姫ちゃん…うん、まだまだ元気ですっ♪」

真姫「そう、ならいいんだけど…ねえ、約束して。“アレ”だけは絶対に使っちゃダメよ?」

ことり「……うん、心配してくれてありがとうね。大丈夫だよ、ことりは大丈夫」

真姫「……使わない、とは言ってくれないのね」

ことり「……」

スリーアウトチェンジ!!

引用元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1438771650/

こちら続きです。(by 管理人

穂乃果「野球で廃校を救うよ!」Part4/4