花丸「仮」

ラブライブ!サンシャイン!!, ルビまる, 三角関係・ドロドロ要素, 長編

2: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:25:43.09 ID:/mn2Df+Q.net
 H1

花丸(昔からひとりぼっちだった)

花丸(望んでいたわけじゃない)

花丸(ただ、普通と少し感性が違う子どもで)

花丸(だから周囲に溶け込めず)

花丸(みんなの輪の中に入れず)

花丸(変わり者仲間と仲良くしようとしても、どこか合わず、結局離れて)

3: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:26:30.95 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(気づけば周囲に人はいなくなり)

花丸(それが当たり前、自ら望んでいると処理するようになって)

花丸(そんな孤独で、真っ暗な世界)

花丸(そこに突然舞い降りた、一人の天使)

花丸(図書室の、本棚の影に隠れていた、小さな女の子)

花丸(出会えた瞬間の衝動)

花丸(気づけば、その子に抱きついていた)

4: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:27:13.71 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(甲高い叫び声があがる)

花丸(この世の物とは思えないほど、大きな悲鳴)

花丸(浮かれていた私は衝撃で正気へ戻り)

花丸(泣きじゃくる天使へただ謝罪をする)

花丸(頭を撫でて、涙を拭ってあげて)

花丸(女の子も抵抗することなく、それを受け入れて)

花丸(数分後、泣き止むと改めて自己紹介)

6: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:27:47.27 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(最初はオドオドと、だけど少しずつ普通に)

花丸(そうして、知った)

花丸(女の子の名前)

花丸(親友の、黒澤ルビィの名前)

花丸(いきなり抱きついてくるような不審者でも、彼女はすぐに受け入れてくれた)

花丸(会話を始めて数分で友達になって)

花丸(翌日には唯一無二の親友になっていた)

7: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:28:30.26 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(陳腐な言い方をしてしまえば、運命)

花丸(だけど、それにふさわしい出会い)

花丸(価値観をすべて覆すような衝撃)

花丸(人間なんて、どうでもよかった)

花丸(他人は他人、自分は自分)

花丸(他者に関心を抱くことなく生きる)

花丸(そう、確信していたのに)

8: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:29:26.35 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(ひとりぼっちの国木田花丸は、その日消え去った)

花丸(中学ではずっと二人)

花丸(高校ではさらに仲間ができて)

花丸(黒澤ルビィは、国木田花丸を塗り替えていく)

花丸(くすんでいたキャンパスを、明るく、輝かせていく)

花丸(彼女は私の輝きそのもので)

花丸(絶対的な象徴、かけがえのない人)

9: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:30:12.22 ID:/mn2Df+Q.net
 R1

ルビィ「うぅ」

ルビィ(放課後の部室に一人きり)

ルビィ(先生に出された宿題を必死に説いている)

ルビィ(本当はマルちゃんと一緒にやりたい)

ルビィ(だけど、今日は図書委員のお仕事)

ルビィ(善子ちゃんも『今日は大切な集会の日よ!』とか言って帰っちゃうし……)

10: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:31:02.85 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(お姉ちゃんに聞いても、『自分で考えなければ意味がありません!』って怒られちゃうよね)

ルビィ(だけどこんなの分かんないよぉ)

ルビィ(やっぱりマルちゃんと――)

ガラッ

ルビィ「ピッ」

曜「あれ、ルビィちゃん」

ルビィ「曜さん?」

11: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:32:01.79 ID:/mn2Df+Q.net
曜「なにやってんの?」

ルビィ「え、えっと」

曜「あー、宿題?」

ルビィ「は、はい」

曜「ふむ、これは分かりにくいやつだね」

ルビィ「よ、曜さん?」

ルビィ(覗き込んでる、顔近い)

曜「まあ一見面倒だけど、ちょっと発想を変えれば――」

ルビィ(整った顔、ふっくらとした唇)

ルビィ(微かな汗のにおいが、生々しい)

12: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:33:08.15 ID:/mn2Df+Q.net
曜「おーい、聞いてる?」

ルビィ「は、はい」

曜「じゃあ、そんな感じで解いてみてよ」

ルビィ「うゅ……」

ルビィ(ど、どうしよう)

ルビィ(せっかく解説してくれたのに、覚えてないよ)

ルビィ(つい、曜さんの顔に目がいっちゃった……)

13: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:33:41.46 ID:/mn2Df+Q.net
曜「……あー、そういやさっきの解説、ちょっと抜けてる部分あったわ」

ルビィ「ふぇ」

曜「もう一回やってもいい?」

曜「ほら、私も納得いかないからさ」

ルビィ「い、いいんですか」

曜「ごめんね、余計な時間取らせて」

ルビィ(絶対嘘だ)

ルビィ(曜ちゃん、ルビィが聞いてなかったの分かってる)

ルビィ(なのに責めないで、自分の責任ってことにして)

14: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:34:15.13 ID:/mn2Df+Q.net
曜「それでね――」

ルビィ(やさしい人)

ルビィ(自分より、他人を大切にできる)

ルビィ(そんな、やさしさを持った人)

ルビィ(それでいて格好良くて、気取らなくて)

ルビィ(素敵な、人だな)

ルビィ(こんな人が恋人だったら、きっと幸せなんだろう)

15: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:35:08.34 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(ルビィには絶対に届かない、違う世界の住人)

ルビィ(曜さんを好きな人はたくさんいる)

ルビィ(アイドル部に入った時、クラスメイトのみんなから聞かれた)

ルビィ(当然、自分のことじゃない)

ルビィ(学校中の人気者、曜先輩について)

ルビィ(普段はどんな感じなのか)

ルビィ(他にも好きな食べ物とか、異性の好みとか)

ルビィ(恋、憧れ、その感情の種類は違うかもしれないけど)

16: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:35:44.46 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(一つ確かだったのは、みんな曜さんと仲良くなりたがっていた)

ルビィ(曜さんのことを、知りたがっていた)

ルビィ(周囲を笑顔にできて、自然と人を惹きつけて)

ルビィ(きっとそれは、なりたい自分)

ルビィ(理想形、思い描く形)

ルビィ(だから憧れている)

ルビィ(ルビィだって、曜さんに憧れているんだ)

17: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:36:57.54 ID:/mn2Df+Q.net
 H2

花丸(図書室は、常に静寂に支配された場所)

花丸(この学校に、本を読む人間はほぼ存在しない)

花丸(さらに特別な事情がない学生全員が部活に入っている)

花丸(放課後に人が来ることは、まずありえない)

花丸(マルは唯一の図書委員)

花丸(ここは、自分と天使のみしか立ち寄らない聖域なんだ)

19: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:38:32.55 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(天使)

花丸(ルビィちゃんは男の人が苦手)

花丸(苦手になった原因は、自分でも覚えていないらしい)

花丸(防衛本能で、記憶から消しただけ?)

花丸(けど、些細な出来事だったとしても)

花丸(幼い頃に刺さった小さな棘)

花丸(抜けずに残されたそれから、体内へ毒が入り込みじわじわと侵食して)

花丸(気づけば、父親以外とは会話もできない男性恐怖症になった)

花丸(繊細な彼女なら、その可能性の方が高いのかな)

20: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:39:18.23 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(けど、詳細は知らない)

花丸(聞いたら、トラウマを呼び起こしてしまうかもしれない)

花丸(覗かれたくないプライバシーぐらい、誰にでもある)

花丸(その程度、弁えている)

花丸(というより、彼女に嫌われる要因は作りたくない)

花丸(母親のように、安心して身を預けられる)

花丸(それが、彼女が自分に求めているものだから)

21: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:39:49.04 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(本当は……)

花丸(ルビィちゃんの中の国木田花丸は、唯一の親友)

花丸(永遠の友情を誓った大切なお友達、マルちゃん)

花丸(絶対に揺るがない、最高のポジション)

花丸(自分が、それ以外の場所を望んでいなければ)

花丸(禁忌を犯そうとしていなければ)

花丸(ルビィちゃん、は)

22: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:40:35.06 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「マルちゃん!」

花丸「あっ、ルビィちゃん」

花丸(いつの間に)

花丸(今日は一人で宿題をすると言っていた)

花丸(時間は――もう下校時刻が迫っている)

花丸「待っていてくれたの?」

ルビィ「ううん、さっきまで部室で作業してたんだ」

花丸「作業?」

23: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:41:19.93 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「部室で宿題をしてたら、曜さんが来てね」

ルビィ「勉強を教えてもらった後、お礼に衣装づくりを手伝ってたの」

花丸「へぇ」

花丸(人見知りのルビィちゃんが、珍しい)

花丸(自分の得意分野だから、積極的になれたのかな)

花丸(あと、曜さんだから?)

花丸(人当たりのいい人だから、接しやすいもんね)

24: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:41:55.78 ID:/mn2Df+Q.net
花丸「ちょっと待ってね、帰り支度するから」

ルビィ「分かった~」

花丸「バス、時間はどうだっけ」

ルビィ「えーとね、まだ余裕あるよ」

花丸「よかった、急ぐのは苦手だよ」

ルビィ「のんびりさんだもんね~」

花丸「ルビィちゃんものんびりさん仲間だよね」

ルビィ「そうだよ~」

25: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:42:27.28 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(毒がない)

花丸(この子には、闇を抱えている人間が持つはずの、それがない)

花丸(だから、天使なんだ)

花丸(穢れなき天使)

花丸(そういえば、堕天使もいたっけ)

花丸(同級生の友達は天使と堕天使)

花丸(そんな二人に挟まれた自分自身は、何者なんだろう)

26: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:43:09.73 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「ゆっくり歩いて、ちょうどいいくらいかな」

花丸「そうだね」

ルビィ「お腹空いたなー」

花丸「あれ、食いしん坊ちゃん?」

ルビィ「今日は部活ないし、ご飯とか控えめにしてたから」

花丸「あー、そうだよね」

ルビィ「身体を大きくするためにはたくさん食べなきゃ」

ルビィ「スタイルも維持しなきゃだから難しいけど」

27: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:43:47.53 ID:/mn2Df+Q.net
花丸「ルビィちゃんの場合、そんなに気にすることないと思うけど」

ルビィ「そう?」

花丸「むしろ、ちゃんと食べなきゃ心配になるよ」

ルビィ「でもお姉ちゃんと違って、そんなに細くないし」

花丸「ダイヤさんは特別だから、比較対象にしちゃ駄目だよ」

花丸「マルはちょっと太めだから参考にならないかもだけど、曜さんぐらいまではあった方がいいんじゃない」

ルビィ「そうだよね」

ルビィ「その方が元気に動けるし――」

28: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:44:54.34 ID:/mn2Df+Q.net
曜「おー、二人とも!」ダッ

花丸「わっ」

ルビィ「よ、曜さん」

花丸(坂道の途中、後ろから突然)

花丸(走ってきた?)

曜「花丸ちゃん、図書委員の仕事?」

花丸「は、はい」

曜「そっかー、お疲れ!」

曜「ってヤバい、バスの時間!」ダッ

29: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:45:32.11 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「沼津方面、そろそろ時間なんだね」

花丸「間に合うのかな」

ルビィ「曜さんなら、たぶん」

花丸「根拠はないけど、そんな気がするよね」

ルビィ「いつも、走ってる」

花丸「案外、落ち着きのない感じだよね」

花丸「最初の頃は、しっかりした先輩の一人ってイメージだったのに」

30: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:46:02.21 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「でもね」

ルビィ「ルビィは、今の曜さんの方が好きだな」

花丸「そう?」

ルビィ「うん」

花丸「マルは、どっちでも構わないけど」

ルビィ「そうだよね、どっちの曜さんも素敵な先輩」

ルビィ「だけど、自由になりたい」

ルビィ「あんな風に、なりたいんだ」

31: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:46:46.04 ID:/mn2Df+Q.net
花丸「……なれるよ、ルビィちゃんなら」

ルビィ「本当に?」

ルビィ「マルちゃん、いつも肯定してくれるから、逆に不安だよ」

花丸「そ、そう言われると」

ルビィ「ふふっ、ごめんね」

ルビィ「冗談だよ」

花丸「し、心臓に悪いよ……」

32: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:47:43.33 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「ありがとう」

ルビィ「ルビィを信じてくれて」

ルビィ「マルちゃんが肯定してくれるから、ルビィはいつも頑張れてるよ」

花丸「ルビィちゃん……」

ルビィ「これからも、背中を押してくれると嬉しいな」

花丸「う、うん!」

33: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 00:48:17.64 ID:/mn2Df+Q.net
花丸「それじゃあルビィちゃん」

ルビィ「うゅ?」

花丸「とりあえず、時間がないから走ろう」

ルビィ「あっ!」

花丸(立ち止まって話し込み過ぎたみたい)

花丸「急ぐずら~」

ルビィ「ま、マルちゃん、待って~」

34: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:07:22.93 ID:/mn2Df+Q.net
 R2

ルビィ「ふわぁ」

ルビィ(午前の授業、やっと終わった)

ルビィ(長引いたせいで、もうお昼休み十分は過ぎてるよ)

善子「ルビィ」

ルビィ「善子ちゃん」

善子「ご飯、食べに行きましょう」

ルビィ「うん」

35: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:08:57.60 ID:/mn2Df+Q.net
善子「花丸は?」

花丸「今日は図書委員の仕事があるから」

花丸「気にしないで二人で食べてて」

善子「そう、分かったわ」

ルビィ「じゃあねマルちゃん」

花丸「また後でね~」

ルビィ「頑張ってね~」

36: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:09:54.00 ID:/mn2Df+Q.net
善子「お弁当よね」

ルビィ「だよ」

善子「どこで食べましょうか」

ルビィ「教室は?」

善子「気分じゃない」

善子「屋上とかでいいんじゃない?」

善子「今日は外の気分」

ルビィ「だけど日が出てるから暑いよ」

善子「むむ、それもそうね」

37: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:10:44.59 ID:/mn2Df+Q.net
善子「じゃあ、中庭へ行きましょうよ」

善子「あそこなら日陰もあるし」

ルビィ「うん、そうしよ」

善子「よし決まり――ん?」

ルビィ「どうしたの?」

善子「中庭、少し騒がしくない?」

ルビィ「本当だ、声が聴こえる」

38: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:11:31.04 ID:/mn2Df+Q.net
曜「ほいタッチ!」

千歌「あー、マジか!」

善子「先輩たち、なにを」

ルビィ「えっと、鬼ごっこ?」

善子「いやいや、そんな小学生みたいな」

むつ「曜は足がはやすぎだよ」

曜「へへー、次はそっちが鬼だよ」

39: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:12:05.87 ID:/mn2Df+Q.net
善子「……本当に鬼ごっこみたいね」

ルビィ「だね」

善子「子どもっぽいわね、ここの先輩たちは」

ルビィ「でも楽しそうだよ」

ルビィ「みんな笑ってる」

善子「まあ、そうね」

ルビィ(その中でも曜ちゃんは、一番大きな笑顔で――)

40: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:14:45.01 ID:/mn2Df+Q.net
曜「おっ、一年生組発見!」

善子「げっ、見つかった」

曜「ヨーシコー!」

善子「ヨハネよ!」

曜「一緒に遊ばない?」

善子「ご飯まだだし、そんな子どもじみたことしないし」

曜「えー」

41: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:15:17.55 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「……ちょっとなら、遊んでもいいんじゃないかな」

善子「ちょ、ルビィ!?」

曜「流石ルビィちゃん!」

善子「な、なんで勝手に」

ルビィ「別に、善子ちゃんは参加しなくてもいいよ」

曜「そうそう、無理しなくていいから」

善子「い、言ってないでしょ、そんなこと」

42: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:16:33.07 ID:/mn2Df+Q.net
千歌「えー、じゃあ鬼ごっこする?」

善子「するわよ!」

曜「本当は最初から参加したかったんでしょ~」

善子「違うわよ! ルビィに付き合ってあげるだけ」

曜「素直じゃないな~」

善子「うっさい」

曜「ちょっと待ってね」

曜「みんなに二人も入るって言ってくる!」

43: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:17:04.21 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「……」

善子「なによ」

ルビィ「善子ちゃんは、曜ちゃんと仲良しさんだね」

善子「仲良し?」

善子「いつもおもちゃにされているだけよ」

ルビィ「帰りのバスとかで?」

善子「そうそう」

ルビィ「……いいな」

44: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:17:42.61 ID:/mn2Df+Q.net
善子「何がよ」

ルビィ「そんな普通に話せて、羨ましい」

善子「あんた、ドM?」

ルビィ「そんなことないよ」

ルビィ「善子ちゃんだって、曜ちゃんのこと好きでしょ」

善子「……そりゃそうでしょ」

ルビィ「だよね」

45: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:18:25.83 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「どうやれば、もっと仲良くなれるんだろう」

善子「あんたたちも、充分仲良しよ」

ルビィ「そうかな」

善子「ええ」

善子「いま以上を望むなんて、強欲ね」

ルビィ「えへへ」

ルビィ「実は結構欲深いって、お姉ちゃんにも言われる」

46: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:18:54.60 ID:/mn2Df+Q.net
曜「おーい、準備できた?」

善子「ええ」

ルビィ「はい!」

曜「じゃあ私と善子ちゃんが鬼ね」

善子「ちょ、聞いてないわよ」

曜「いいじゃん、堕天使なんだから似たようなものでしょ」

善子「違うわよ! 全然!」

ルビィ「あはは」

47: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:30:24.94 ID:/mn2Df+Q.net
 H3

花丸「はー、暑いねえ」

ルビィ「だねぇ」

花丸(夏も本格化してきて、毎日暑さで苦しむ日々)

花丸(練習後、一年生三人でかき氷を食べて)

花丸(方向の違う善子ちゃんだけ別れて解散)

花丸(二人でのんびり、海岸通りを歩く)

48: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:30:56.50 ID:/mn2Df+Q.net
花丸「練習、全然動けなかったよね」

ルビィ「この暑さの中、屋外は大変だよね」

花丸「元気だったのは果南ちゃんと――曜ちゃんぐらい」

ルビィ「真似できないよねぇ」

花丸「どうやったらあんなに動けるようになるんだろう」

ルビィ「やっぱり、努力の積み重ねなのかな」

ルビィ「格好いいよね、曜ちゃん」

49: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:31:44.57 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(曜ちゃんだけ、か)

花丸(二人の会話)

花丸(話に頻繁に出てくるようになった人)

花丸(今までは、違ったのに)

花丸(好きなアイドルの話、少し苦手だけど自慢のお姉ちゃんの話)

花丸(マルのために仕入れてきた、マルの好きそうな話)

花丸(些細な、二人で過ごした日常の話)

花丸(それらは、全部どこかへ消え去って)

花丸(残ったのは、Aqoursと、曜ちゃんの話だけ)

50: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:32:28.09 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(強い関心を向けてる要因となる感情は二つ)

花丸(これは、愛情)

花丸(残るのは、憎悪しかない)

花丸(それは、ルビィちゃんは絶対に抱かない感情)

花丸(だから――)

花丸「好きなの」

ルビィ「ふぇ?」

花丸「好きなの、曜ちゃんのこと」

51: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:33:18.61 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「好きだよ」

ルビィ「曜ちゃんを嫌いな人なんていないよ、きっと」

花丸「そうじゃなくて」

ルビィ「?」

花丸「曜ちゃんと恋人になりたいとか、ないの?」

ルビィ「こ、恋人?」

花丸「うん」

52: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:33:48.51 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「そ、そんなの」

ルビィ「ルビィたち、女の子同士だよ」

花丸「いいよ、オラにはそんな反応しなくても」

花丸「今さら、だよ」

ルビィ「あっ、そうだよね」

花丸「うん」

53: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:34:20.41 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「うーん、だけど」

ルビィ「恋愛感情は、ないかな」

花丸「本当に?」

ルビィ「うん」

ルビィ「ありがちな、先輩に憧れる後輩――みたいな」

花丸「そっか」

花丸(好きでは、ないんだ)

55: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:34:49.11 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(彼女の言葉に、胸をなでおろす)

花丸(その意味は、多種多様に入り混じり)

花丸(親友として先を越されなかったことへの安心)

花丸(姉のような視点で、妹の浮いた話が誤解であったことを知った感じ)

花丸(あとは――)

ルビィ「でも恋バナとかするの、初めてだよね」

花丸「だね」

花丸(ルビィちゃんは、恋愛とは無縁の子だったから)

56: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:35:20.39 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「えへへ」

ルビィ「やっぱり初めてはマルちゃん」

ルビィ「他のみんなじゃ、ルビィの気持ちを理解できないから」

花丸「うん」

花丸(そして、オラだって)

花丸(誰にも話せない)

花丸(彼女がそれを望まない限り、自覚さえ許されない)

57: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:35:54.76 ID:/mn2Df+Q.net
花丸(彼女と共に在るために必要な戒律)

花丸(だから自分も、恋愛とは無縁)

花丸(意識してはならない)

ルビィ「恋愛かあ」

ルビィ「まだまだ子どもだから関係ないと思ってたけど」

ルビィ「やっぱり、花の女子高生だもんね」

花丸「うん」

58: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:36:28.93 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「マルちゃん、恋人ができたら一番に教えてね」

花丸「もちろん」

ルビィ「ルビィも、真っ先に教えるから」

花丸「ダイヤさんはいいの?」

ルビィ「お姉ちゃんには内緒」

ルビィ「ばれたら面倒くさそうだもん」

花丸「うんうん」

花丸「余計なお節介してきそうだよね」

59: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:37:01.27 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「けど、お姉ちゃんの恋愛の話とか聞いたことないな」

花丸「許嫁とかいそう」

ルビィ「今どき流石にないよ~」

花丸「黒澤家なら、もしかしたら」

ルビィ「……あるのかな」

花丸「ずら」

ルビィ「うむむ、調査しないと……」

60: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:37:37.58 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「そもそも、Aqoursの恋愛事情はどうなんだろう」

花丸「恋愛禁止! とかはないもんね」

ルビィ「あくまでも『スクール』アイドルだもんね」

ルビィ「普通の女子高生に、そんなこと言いだす方が変だよ」

ルビィ「曜ちゃんはモテるよね」

花丸「だね、そこが一番なのは間違いない」

花丸「だけど梨子ちゃんも凄そう」

ルビィ「東京に彼氏さんとかいるのかな~」

61: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:38:07.32 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「逆に千歌ちゃんはあんまり縁なさそうだよね」

ルビィ「学校も家も女の人だらけ、出会いの場も少なそうだし」

花丸「千歌ちゃん可愛いのに、勿体ないね」

花丸「三年生は――怪しい?」

ルビィ「鞠莉ちゃんと果南ちゃん、大人の気配がするよね」

花丸「うんうん、未来ずらね~」

ルビィ「未来だね~」

62: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:38:35.20 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「善子ちゃんは」

花丸「見た目はいいけど……」

ルビィ「うゆ……」

花丸「ま、マルは子どもっぽくて、恋愛対象に見られない気がする」

ルビィ「ルビィも妹扱いされそう」

花丸「大人になりたいね」

ルビィ「恋をしたら、なれるのかな」

花丸「……どうだろうね、それは」

63: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:39:33.57 ID:/mn2Df+Q.net
 R3

ルビィ(今日も暑い)

ルビィ(赤点、一個だけ取っちゃった)

ルビィ(名前の書き忘れって、初歩的なミスで……)

ルビィ(だから補講)

ルビィ(先生も事情は分かってるから、優しく対応してくれてる)

ルビィ(だけどこの日差しの中、そんな理由で外に出るのは嫌だな)

64: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:40:13.72 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(いつもは補講の後に練習があったりするけど、今日は珍しく休み)

ルビィ(だから憂鬱な気分で登校してきて、先生に励まされながら講義を受けて)

ルビィ(今から帰る――つもりなんだけど)

ルビィ(どうせなら、どこか行きたい)

ルビィ(頑張ったご褒美じゃないけど、おまけが欲しいな)

ルビィ(マルちゃん、誘えば図書室に来たかな)

ルビィ(声、かければよかったな)

65: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:41:39.10 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(中学の頃だったら、絶対に一緒に来てた)

ルビィ(だけど高校に入ってから、ちょっと関係が変わった)

ルビィ(仲が悪くなったわけじゃない)

ルビィ(二人だけの空間)

ルビィ(そこに善子ちゃんが、Aqoursのみんなが入って)

ルビィ(濃度が薄まった?)

ルビィ(うーん、理屈っぽいのは苦手)

66: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:42:21.61 ID:/mn2Df+Q.net
 バシャン

ルビィ「ピッ!?」

ルビィ(な、何の音だろ)

ルビィ(この方向は――プール?)

ルビィ(今日は部活とかないはずだけど)

ルビィ(不審者――だったら先生に報告した方がいい?)

ルビィ(普通の生徒かもしれないし)

ルビィ(……とりあえず、確かめてみなきゃ)

67: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:43:18.96 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(……あれ、いない)

ルビィ(気のせい、だったのかな)

ルビィ(……プール、入りたい)

ルビィ(勝手に入ったら、怒られちゃうかな)

ルビィ(今なら、誰も観てないよね)

ルビィ(一応、この学校の生徒だし)

ルビィ(だけど、決まりは守らなきゃだし)

69: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:43:58.15 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(それでも、足が一歩一歩、プールへ向かっちゃう)

ルビィ(誘惑に勝てない、ルビィは弱い子)

ルビィ「気持ちいいなぁ」

ルビィ(プールサイドに座って、はだしになって足だけを水中に)

ルビィ(カナヅチだから、授業の水泳は嫌い)

ルビィ(泳ぐのも、競うのも嫌だ)

ルビィ(だけど水に入るのは好き)

ルビィ(やっぱり、海辺の街の子だもんね)

70: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:44:46.89 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ(やっぱり、誰もいないプール)

ルビィ(……制服脱いで入っちゃったら、ダメかな)

ルビィ(タオル――汗拭きように一応持ってる)

ルビィ(この時期、水から出ればすぐに乾くだろうし)

ルビィ(少しだけ、少しだけなら――)

曜「ルビィちゃん」

ルビィ「ピギャッ!?」

曜「なにしてんの~」

71: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:45:41.04 ID:/mn2Df+Q.net
曜「脱いでるってことはあれか、露出狂?」

曜「そっか、意外な趣味だ」

ルビィ「ち、違うよ!」

ルビィ「曜ちゃんは?」

曜「私は自主練」

曜「最近スクールアイドルで忙しくて、水泳が疎かになってたから」

ルビィ「あっ、そうだよね」

ルビィ「曜ちゃん、兼部してるもんね」

72: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:46:17.64 ID:/mn2Df+Q.net
曜「それでさ、真面目に」

曜「ルビィちゃんはプールで遊びたいとか?」

ルビィ「あ、あはは、そうかも」

曜「でも水着がないから、全裸だと」

ルビィ「男の人はいないはずだし、いいかなって」

曜「なるほど、そりゃそう――だ!」

ルビィ「わっ」

ルビィ(手を、グッと引かれる)

73: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:46:50.31 ID:/mn2Df+Q.net
 バシャン!

曜「よっと」

ルビィ(大きな音、舞い上がる水しぶき)

ルビィ(水の粒が、視界に入るものを輝かせる)

ルビィ(結構、硬い)

ルビィ(力強い、引き締まった身体)

ルビィ(くっついていると、ドキドキして)

74: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:47:31.54 ID:/mn2Df+Q.net
ルビィ「よ、曜ちゃん」

曜「あはは! 気持ちいいね!」

ルビィ「い、いきなりは怖かったよ」

曜「やー、ごめんごめん」

ルビィ「うぅ、見つかったら怒られないかな」

曜「へーきだよ」

曜「適当に、ルビィちゃんの水泳の特訓とか言って誤魔化せば」

曜「実際、私が水に放り込んだわけだし」

75: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 01:48:12.48 ID:/mn2Df+Q.net
曜「気持ちいいねぇ」

ルビィ(気持ちいい、心地いい)

ルビィ(その理由は、プールだけじゃない)

ルビィ(冷たい身体、温かい心)

ルビィ(ああ、そっか)

ルビィ(気づいた)

ルビィ(これが、恋なんだ)

88: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 18:26:59.05 ID:NrFGzYo8.net
 H4

花丸(沼津、お洒落なカフェ)

花丸(シチュエーションは、いいはずなのに)

花丸「はぁ」

善子「どうしたのよ」

花丸「考えてたんだよ」

花丸「どうして、善子ちゃんと二人なのかなと」

89: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 18:27:48.89 ID:NrFGzYo8.net
善子「あら、私じゃ不満?」

花丸「そうじゃないけど」

花丸「ルビィちゃんがいないのは、想定外というか」

善子「そうね」

花丸(夏休み、今日は練習が休み)

花丸(元々、みんなで遊びに行くつもりで)

花丸(補講期間が終わったルビィちゃんも一緒)

花丸(の、はずだったのに)

90: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 18:28:51.95 ID:NrFGzYo8.net
善子「先約なんて、珍しいわよね」

花丸「誘うのが遅かったかな」

善子「だけど、今まではそれでも問題なかったんでしょ」

花丸「うん」

善子「ダイヤに確認したら、家の用事でもないと」

善子「あの子、私たち以外にも友だちがいたのね」

花丸「うん」

花丸「知らなかったよ、全然」

91: 名無しで叶える物語 2019/06/15(土) 18:29:42.49 ID:NrFGzYo8.net
花丸「ねえ、善子ちゃん」

善子「なによ」

花丸「ルビィちゃん、最近様子が変じゃない?」

善子「そう?」

花丸「ずいぶん、変わった気がする」

善子「私は気にならないけど」

花丸「……」

102: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:09:50.65 ID:5fMeVEO4.net
善子「それよりも、あんたよ」

花丸「オラ?」

善子「ええ」

善子「私に言わせればだけどね」

善子「あんたほうが、よほど変に見えるわよ」

花丸「えっ、なんで」

花丸「普通だよ、普通」

103: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:10:41.71 ID:5fMeVEO4.net
善子「……自覚、なかったのね」

花丸「う、うん」

花丸(とても、冗談には聞こえない)

花丸(いつものふざけた悪友じゃない)

花丸(真剣な、親友の顔)

善子「Aqoursのみんなもね、心配してる」

善子「元気がない、ぼんやりしていると」

花丸「それは……」

104: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:12:27.28 ID:5fMeVEO4.net
善子「気づいてないのは一人」

善子「あんたが必死に隠そうとしている、ルビィだけ」

善子「頭だけ隠して、後は全裸みたいなものよ」

花丸「あはは」

善子「なによ」

花丸「変だし意味もおかしいよ、その例え」

善子「いいのよ、こういうのはだいたいノリで伝われば」

105: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:13:29.16 ID:5fMeVEO4.net
善子「それで、全裸のずらマルちゃんはね」

花丸「待って、その例え止めて」

善子「いいじゃない」

花丸「よくない、変な誤解される」

善子「……気に入ってたのに」

花丸「善子ちゃんは変な子だよ」

善子「それはあんたもでしょ」

花丸「うん」

善子「そして一般的ではない自らのことを、私たちは好いている」

花丸「それは……どうだろ」

106: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:14:29.27 ID:5fMeVEO4.net
善子「やっぱり、おかしいわよ」

善子「以前のあなたなら、絶対に同意していたはずなのに」

花丸「マルは、善子ちゃんほど開き直れないだけ」

善子「違う」

善子「今の花丸は、自分のことが好きじゃない」

善子「昔、一緒の幼稚園へ通っていた頃と同じ」

花丸「……」

107: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:20:12.39 ID:5fMeVEO4.net
善子「私はあの時、あなたの心を開けなかった」

善子「貼り付けた笑顔で、人と距離を置き続ける」

善子「脳で理解できない違和感を持った、国木田花丸のことが正直苦手だった」

花丸「それは、酷いな」

善子「うん、ごめん」

善子「謝るわよ、助けになれなかったことも含めて」

108: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:20:52.66 ID:5fMeVEO4.net
善子「だけどね、だからこそ」

善子「高校で再会して、自然に笑うようになったあんたを見たときは、嬉しかった」

善子「ちゃんと友だちになれて、ルビィも含めて三人で仲良くなれて」

善子「本当に嬉しかった」

花丸「うん」

花丸(それは、一緒)

花丸(善子ちゃんと仲良くなれた時は、嬉しくて)

109: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:23:12.85 ID:5fMeVEO4.net
善子「それなのに」

善子「それなのに、今のあんたは」

善子「昔の、理解不能な国木田花丸に戻ってる」

善子「ルビィと、何かあったんでしょ」

花丸「それは……」

善子「話せないことなの?」

善子「私は、信用できないの?」

花丸「ち、違うよ」

花丸「そうじゃない」

110: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:31:19.22 ID:5fMeVEO4.net
花丸「分からないの」

善子「分からない?」

花丸「喧嘩したわけでも、気まずいわけでもない」

花丸「黒澤ルビィと国木田花丸は、いつもどおり仲良しの大親友」

花丸「それなのに、違和感が頭から消えない」

花丸「自分の思考を整理できない」

花丸「悪い方向へばかり考えてしまう」

111: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:32:00.58 ID:5fMeVEO4.net
善子「えっと、つまり」

善子「考え過ぎ?」

花丸「ずいぶんと、バッサリずら」

善子「事実でしょ」

花丸「うん、そうだね」

花丸「たぶんそれで合ってる」

花丸(客観的に見れば、それで)

112: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:34:52.22 ID:5fMeVEO4.net
善子「でもあんたらしいわね」

善子「昔から、考えてばっかり」

花丸「駄目だよね、本当に」

善子「そんなことないわ」

善子「私は好きよ、花丸のそういうところ」

花丸「そう?」

善子「ええ」

113: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:35:29.36 ID:5fMeVEO4.net
善子「だけどあんまり抱え込んじゃ駄目よ」

善子「今回みたいに、ルビィに話せないこともあるでしょ」

善子「相談はできなくても、吐き出せば楽になるはず」

善子「愚痴でもなんでも、私が聞いてあげるから」

善子「だって、その、友達なんだし」

花丸「……善子ちゃん」

花丸「今日、変だよ」

善子「自覚はあるわよ」

114: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:36:23.98 ID:5fMeVEO4.net
花丸「でも、ありがとう」

花丸「おかげで少し楽になれた」

善子「そう」

花丸「善子ちゃんはいい子だね」

善子「別に」

善子「リトルデーモンの為にやっただけだし」

花丸「えー、リトルデーモンは嫌だなあ」

善子「そこは合わせるべきところでしょ!」

115: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:36:54.38 ID:5fMeVEO4.net
花丸「ほら、流石に譲れないラインというか」

善子「リトルデーモンって、そんなに嫌?」

花丸「うん」

善子「じゃあやっぱり、友達」

善子「友達を助ける――なんかリア充っぽい!」

花丸「はぁ」

花丸「本当に、善子ちゃんは残念な子ずら」

善子「う、うっさい」

116: 名無しで叶える物語 2019/06/16(日) 21:37:40.91 ID:5fMeVEO4.net
花丸「だけどね」

花丸「マルは、そんな善子ちゃんが好きだよ」

花丸「これからもずっと、友達でいてね」

善子「ず、ずらマルがデレた……」

花丸「デレたって……」

善子「ルビィに、ルビィに連絡しなきゃ!」

善子「今日は記念日よ!」

花丸「ちょ、やめて恥ずかしい」

善子「遅い! もうライン送った!」

花丸「や、やめるずら~」

125: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:06:58.67 ID:SXQOizbu.net
 R4

ルビィ(『ずらマルが堕ちたわ!』)

ルビィ(善子ちゃんから送られてきた文面)

ルビィ(どういう意味なんだろ)

ルビィ(嬉しいことがあったんだろうな)

ルビィ(『よかったね!』と返して)

ルビィ(これで――よし)

126: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:07:45.09 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(花丸ちゃん)

ルビィ(お誘いを断っちゃったの、マズかったかな)

ルビィ(だけど今日は)

ルビィ(恋を自覚したプールの後)

ルビィ(曜ちゃんに、二人で遊びに行こうと誘われた)

ルビィ(ただの遊びだって分かってるけど、興奮して)

ルビィ(予定も確認せず、二つ返事でOKしちゃって)

127: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:08:24.12 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(曜ちゃんと別れた後、スマホを確認)

ルビィ(そしたら、花丸ちゃんからの連絡が入っていて)

ルビィ(時間は、補講が終わった辺り)

ルビィ(そこに合わせて送ってくれたんだと思う)

ルビィ(曜ちゃんより、お誘いは早かったのに)

ルビィ(悪いことしちゃったな)

128: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:09:08.92 ID:SXQOizbu.net
曜「お待たせ、ごめんよ」

ルビィ「ううん」

ルビィ「誰からの電話だったの?」

曜「水泳のコーチから」

曜「最近気が抜けてるとか、色々とさ」

ルビィ「スクールアイドル、忙しいもんね」

曜「そうだね」

曜「次、千歌ちゃんとのダブルセンターだし」

129: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:10:12.62 ID:SXQOizbu.net
ルビィ「曜ちゃんはその上に、衣装まで作ってるんだから」

曜「そっちはルビィちゃんが手伝ってくれてるじゃん」

曜「おかげで楽できてるよ」

曜「ありがとう」

ルビィ「ゅ」

ルビィ(頭を撫でられる)

ルビィ(柔らかく、温かい手)

ルビィ(心がポカポカする)

130: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:24:56.39 ID:SXQOizbu.net
ルビィ「だけどそれなら」

ルビィ「練習、行った方がよかったりしない?」

曜「いいのいいの」

曜「今日はさ、遊びたい気分なんだ」

ルビィ「そっか」

曜「余計なことは忘れてさ、楽しもうよ」

ルビィ「うん」

131: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:25:34.96 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(わざわざ相手に選んでくれた)

ルビィ(事情はあると思う)

ルビィ(それでも嬉しくて)

ルビィ(一緒に)

ルビィ(二人で遊びに行けることが嬉しくて)

ルビィ(恋を自覚してから)

ルビィ(気持ちが溢れて止まらない)

ルビィ(曜ちゃんから目が離せない)

132: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:26:27.11 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(いつも、曜ちゃんのことを考えて)

ルビィ(ちょっとしたメールのやり取りで嬉しくて悶える)

ルビィ(衣装づくりも、前より積極的に手伝うようになって)

ルビィ(我ながら、単純)

ルビィ(今日だって、普通に遊んでいるだけ)

ルビィ(身体を動かしたいって曜ちゃんの希望で、色んなスポーツができるレジャー施設に来て)

ルビィ(動き回る曜ちゃんと一緒に汗を流して)

133: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:26:55.31 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(スクールアイドルを始めて、以前よりは身体が動くようになった)

ルビィ(だから一緒に楽しめてる)

ルビィ(運動中の曜ちゃんは、いつもより格好いい)

ルビィ(この時間は、とても楽しい)

ルビィ(それでも)

ルビィ(それでも)

134: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:28:24.66 ID:SXQOizbu.net
曜「おーい、ルビィちゃん」

ルビィ「ふぇ」

曜「ボーっとしてるけど、疲れた?」

ルビィ「う、ううん」

曜「ごめんね」

曜「ちょっとはしゃぎすぎたかな」

ルビィ「ほ、本当に大丈夫だから」

曜「そう?」

ルビィ「うゆ」

135: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:28:59.21 ID:SXQOizbu.net
曜「じゃああれか、考え事」

ルビィ「かな」

曜「ルビィちゃん、結構ボーっと考え込むタイプ?」

ルビィ「どうかなぁ」

ルビィ(きっとね)

ルビィ(それは、曜ちゃんの前だからだよ)

ルビィ(曜ちゃんに、恋に、思考が支配されるからだよ)

136: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:31:33.27 ID:SXQOizbu.net
曜「さてと、次はなにしよっか」

ルビィ「一通りプレイしたよね」

曜「だね~」

曜「もう一回だとすれば――卓球!」

曜「最初の卓球、完敗だったし」

ルビィ(そう)

ルビィ(他はルビィに合わせてもらってるけど、卓球だけは真剣勝負)

ルビィ(その上で、なぜか勝っちゃって)

曜「リベンジだよ!」

137: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:32:12.74 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(子どもみたいで可愛い)

ルビィ(曜ちゃんは、明るく元気に見える)

ルビィ(だけど)

ルビィ(ずっと見て、考えているから分かっちゃう)

ルビィ(曜ちゃん、本当は元気ない)

ルビィ(顔は笑っているのに、心が寂しそう)

ルビィ(無理に笑顔を作っているみたい)

ルビィ(自分の心を隠して)

ルビィ(必死に、誤魔化すように)

138: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:32:42.39 ID:SXQOizbu.net
ルビィ「曜ちゃん」

曜「ん?」

ルビィ「ルビィとじゃ、楽しくない?」

曜「なんで?」

ルビィ「……なんとなく」

曜「私は、そんな風に見える?」

ルビィ「ち、違うよ」

ルビィ「だけど」

139: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:34:40.32 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(上手な言葉が浮かばない)

ルビィ(花丸ちゃんやお姉ちゃんがいれば、助けてくれるのに)

ルビィ(適切な言葉を教えてくれるのに)

ルビィ(ルビィは今、一人だから)

ルビィ(一人じゃ、分からないよ)

曜「……ごめん」

曜「余計な心配かけさせて」

ルビィ(曜ちゃんは、そんなルビィの心を理解してくれる)

140: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:35:17.20 ID:SXQOizbu.net
曜「だけど本当に」

曜「楽しんではいるんだよ」

ルビィ「うん」

曜「ただ今ね、色々と悩んでてさ」

曜「いや、もちろんたいした悩みじゃないんだけど」

ルビィ「そう……」

ルビィ(嘘だ)

ルビィ(これも、ルビィに気を使わせないようについている)

ルビィ(やさしい、嘘)

141: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:36:18.59 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(嫌だな)

ルビィ(好きな人が苦しんでいると、自分までつらくなる)

ルビィ「その、元気出して」

ルビィ「ルビィで良ければこれぐらい、いつでも付き合うから」

曜「ありがとう」

曜「やさしいね、ルビィちゃんは」

ルビィ「そんなこと、ないよ」

曜「まあ些細な問題だからさ」

曜「あんまり気にしないでよ」

142: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:36:51.68 ID:SXQOizbu.net
ルビィ(それでも、相談はしてくれない)

ルビィ(悩みを打ち明けてくれない)

ルビィ(出会って数ヶ月の後輩なんだから、当たり前だけど)

ルビィ(頼りにならないルビィが悪いから、仕方ないけど)

ルビィ(それでも)

ルビィ(好きな人が頼りにしてくれないのは)

ルビィ(好きな人の助けになれないのは)

ルビィ(つらいよ)

143: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:39:20.95 ID:SXQOizbu.net
 H5

善子「ルビィ、行くわよ」

ルビィ「……」

善子「ちょっと、聞いてるの?」

ルビィ「……」

善子「もう……」

花丸(天使は物憂げに窓の外を眺める)

花丸(その眼には写っているのは)

144: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:39:50.27 ID:SXQOizbu.net
花丸(夏休みも終盤)

花丸(予備予選を無事に通過した私たち)

花丸(地区予選に向けて、今日はミーティング)

花丸(だけど一日中)

花丸(いや、その前から)

花丸(最近はずっと)

花丸(ルビィちゃんの、様子がおかしい)

145: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:40:51.22 ID:SXQOizbu.net
善子「私、もう帰るわよ」

ルビィ「……」

花丸「そっとしといてあげよう」

善子「でも」

花丸「マルが見てるから、善子ちゃんは下校していいよ」

花丸「今日、早く帰らなきゃなんでしょ」

善子「……うん」

花丸「下駄箱まで、一緒に行こうよ」

善子「分かった」

146: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:41:28.28 ID:SXQOizbu.net
善子「ねえ」

花丸「うん」

善子「ルビィ、どうしたのかな」

花丸「分からない……」

花丸(相談に乗る、それ以前の問題で)

花丸(聞いても、答えてくれない)

花丸(誤魔化されて、おしまい)

147: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:42:15.26 ID:SXQOizbu.net
花丸(以前は困ったら、どんなことでも相談してくれた)

花丸(ダイヤさんとの問題でさえ)

花丸(親友に信頼されている)

花丸(そう実感できて)

花丸(そんな自分が誇らしかったのに)

花丸(いつの間に、離れてしまったんだろう)

花丸(君は、どうして)

148: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:43:21.78 ID:SXQOizbu.net
善子「ごめん」

花丸「えっ」

善子「私のせいよ」

善子「あんたは早く異変に気づいていたのに」

善子「私が考え過ぎだなんて言うから」

花丸「ち、違うよ」

善子「だけど」

149: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:44:00.56 ID:SXQOizbu.net
花丸(確かに、善子ちゃんに言われた時は考え過ぎだった)

花丸(明らかに変わったのは、あの日)

花丸(ルビィちゃんに、『先約』を理由に誘いを断られた日)

花丸(あの後から、変化して)

花丸(そして決定的なのは、予備予選の後)

花丸(そこで、狂ってしまった)

花丸(電源の切れたロボットみたいに)

花丸(プツリと、落ちて)

150: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:46:08.14 ID:SXQOizbu.net
花丸「とにかく」

花丸「今日、ちゃんと話してみるから」

花丸「それを報告するから、ね」

善子「お願いね」

善子「嫌なのよ」

善子「苦しそうなルビィを見るのは」

善子「もう、嫌なの」

花丸「うん」

151: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:47:02.22 ID:SXQOizbu.net
花丸(遠ざかる善子ちゃんの背中)

花丸(うつむき加減で、影が差し)

花丸(早くしないと、マルが解決しないと)

花丸(善子ちゃんも変になる)

花丸(部室に戻ろう)

花丸(早く)

花丸(今のルビィちゃんを一人にするのだって、怖い――)

152: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:47:36.74 ID:SXQOizbu.net
花丸(あれ)

花丸(いない……)

花丸(帰った?)

花丸(だけどすれ違ってないし)

花丸(鞄も置きっぱなし)

花丸(校内にいるよね)

花丸(行きそうな場所……)

花丸(図書室かな)

花丸(それとも教室?)

花丸(とにかく探してみよう)

153: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:48:25.21 ID:SXQOizbu.net
花丸(鞄は持って行ってあげて)

花丸(捕まえたら、無理やりでも一緒に帰ろう)

花丸(それで、ちゃんとお話して)

花丸(真剣に向き合えば、悩みの内容ぐらい打ち明けてくれるはず)

花丸(避けていたのは、オラ自身)

花丸(内容を聞くのを怖がっていたのも――)

『ちょ、やめてよ!』

『あはは、嫌だよ~』

花丸「ん?」

154: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:51:28.01 ID:SXQOizbu.net
花丸(この声は)

花丸(覚えのある声色)

花丸(聴こえるのは、プールの方から?)

花丸(予感がして、外へ飛び出す)

花丸(上履きが汚れる)

花丸(けどそれどころじゃない)

花丸(衝動に理性は抗えない)

155: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:52:01.77 ID:SXQOizbu.net
花丸(辿りつき、目に入ったのは)

花丸(楽しそうに遊ぶ二人の先輩と)

花丸(それをくすんだ瞳で見つめる、親友)

花丸(悲しみ、苦しみ)

花丸(あらゆる感情が内包された目)

花丸(天使は、堕ちてしまったの?)

花丸(静かに、近づく)

花丸(力なく垂れ下がった腕に手を伸ばす)

花丸(君は――)

156: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:52:26.40 ID:SXQOizbu.net
花丸「ルビィちゃん」

ルビィ「ピッ!?」

花丸「やあ」

ルビィ「ま、マルちゃん?」

花丸「こんなところで、どうしたの?」

ルビィ「え、えっとね」

ルビィ「曜ちゃんがね、泳いでるの」

ルビィ「千歌ちゃんと、一緒に」

157: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:53:03.67 ID:SXQOizbu.net
花丸「みたいだね」

花丸「だけど」

花丸「ルビィちゃんは、どうしてそれを眺めてるの?」

花丸「混ぜてもらいたいとか?」

ルビィ「……そうじゃ、ない」

ルビィ「ただ、曜ちゃんが気になって」

花丸「曜ちゃん」

158: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:53:55.19 ID:SXQOizbu.net
ルビィ「曜ちゃんね」

ルビィ「少し前まで、元気がなくて」

花丸「そうなの?」

ルビィ「うん」

花丸(気づかなかった)

ルビィ「なのにね」

ルビィ「予備予選が終わってね、すっかり元気」

ルビィ「いつの間にか、前の曜ちゃんに戻って」

159: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:54:23.54 ID:SXQOizbu.net
花丸「ダブルセンターのプレッシャーとか?」

ルビィ「ううん、違うよ」

ルビィ「他に理由がある」

花丸「どんな?」

ルビィ「それが分からないの」

ルビィ「……分からない、の」

花丸「……」

160: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:54:48.72 ID:SXQOizbu.net
花丸「ルビィちゃんは」

花丸「最近、付き合いよくないよね」

ルビィ「そ、そう?」

花丸「誘っても、他の用事があるって断られることも増えた」

花丸「マルは、結構寂しかったんだ」

ルビィ「マルちゃん……」

花丸「気づかなかった?」

ルビィ「……ごめんね」

161: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:55:14.29 ID:SXQOizbu.net
花丸「曜ちゃんなんでしょ」

ルビィ「っ」

花丸「元気ないのも、付き合いが悪くなったのも」

花丸「全部、曜ちゃんが理由なんでしょ」

ルビィ「……」

花丸「ねえ、なにがあったの?」

花丸「話してよ」

花丸「力になりたいの」

花丸「マルたちは、親友だよね」

162: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:55:44.47 ID:SXQOizbu.net
ルビィ「気づいたんだ」

花丸「何に?」

ルビィ「恋をしているの」

花丸(……)

花丸(そっか)

ルビィ「私はね、曜ちゃんに恋をしてるから」

ルビィ「それに囚われてた」

163: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:56:43.35 ID:SXQOizbu.net
花丸「そうなんだ」

花丸「ごめんね」

花丸「気づかなくて」

ルビィ「ううん」

ルビィ「ルビィの方こそ」

ルビィ「隠してて、ごめん」

花丸「いいよ」

花丸(その言葉から逃げていたのは、自分)

花丸(今、明確に自覚できた)

164: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:57:08.61 ID:SXQOizbu.net
花丸「いつから好きなの」

花丸「曜ちゃんのこと」

ルビィ「自覚したのは、補講を受けていた頃」

花丸(じゃあ、マルが疑念を持った頃にはまだ)

花丸(本人より先に気づいた)

花丸(我ながら、ルビィちゃんのことをよく理解している)

花丸(そんな自画自賛で、自己を保つ)

165: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:57:38.19 ID:SXQOizbu.net
ルビィ「このプールでね、恋を自覚したの」

ルビィ「その時は、構ってくれてて」

ルビィ「二人で、何度も遊びに行ったりして」

ルビィ「なのに」

ルビィ「予備予選が終わったあと」

ルビィ「一度も誘われてない」

花丸「寂しいの?」

ルビィ「……うん」

166: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:58:07.96 ID:SXQOizbu.net
ルビィ「それに、モヤモヤする」

花丸「……そっか」

ルビィ「恋は、嫌だな」

ルビィ「理想からも現実からも、逃れられない」

ルビィ「最初は、楽しかった」

ルビィ「幸せな気持ちにもなれた」

ルビィ「だけど、今は」

ルビィ「今は――」

167: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:58:36.53 ID:SXQOizbu.net
花丸「大丈夫だよ」

ルビィ「マルちゃん……」

花丸「ルビィちゃんなら、上手くいく」

花丸「ルビィちゃんは、誰よりも可愛くていい子」

花丸「その恋は、きっと叶うよ」

ルビィ「だけど」

花丸「大丈夫、大丈夫だから」

花丸「だから、ね」

168: 名無しで叶える物語 2019/06/18(火) 19:59:28.90 ID:SXQOizbu.net
花丸(根拠のない励まし)

花丸(口から出る度に、心が締め付けられる)

花丸(ルビィちゃんをも苦しめるだけ)

花丸(それでも)

花丸(今にも泣きだしそうなこの子を少しでも楽にしてあげたくて)

花丸(親友として手を握りながら、白々しい言葉を繰り返す)

花丸(ああ)

花丸(善子ちゃんには、なんて報告しようかな)

花丸(ごめんね)

花丸(流石にこれは話せないよ)

176: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:37:13.91 ID:6zq1i/at.net
 R5

曜「このぐらいで足りそうかな」

ルビィ「問題ないと思うよ」

ルビィ「前に使った布、残っていたはずだし」

曜「よし」

曜「じゃあ帰ろっか」

ルビィ「うん」

177: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:37:45.54 ID:6zq1i/at.net
ルビィ(今日は久しぶりに曜ちゃんとお出かけ)

ルビィ(だけど遊びとかじゃなくて)

ルビィ(衣装に必要な物の買い出しに来ただけ)

ルビィ(今だってほら、目的を達成したらすぐに帰ろうとして)

ルビィ(そりゃ、荷物はいっぱい)

ルビィ(どこかへ寄る余裕なんてない)

ルビィ(分かってるけど)

178: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:38:25.45 ID:6zq1i/at.net
曜「ルビィちゃん」

曜「ちょっと右手に持ってる袋を貸して」

ルビィ「これ?」

曜「そう」

ルビィ(どうしてだろ)

ルビィ(なにかあるのかな)

ルビィ「はい」

179: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:39:39.89 ID:6zq1i/at.net
曜「ありがとー、ちょっと中身確認したくてさ」

曜「代わりに、これ持ってて」

ルビィ「う、うん」

曜「悪いね~」

ルビィ(あっ)

ルビィ(さっきのよりちっちゃいし軽い)

ルビィ(さりげなく、交換してくれた?)

ルビィ(元々、曜ちゃんの方がかなり多めに荷物を持ってくれてるのに)

180: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:40:24.08 ID:6zq1i/at.net
ルビィ(どうしてこの人は、こんな)

ルビィ(嫌な人だったら)

ルビィ(この気持ちも消えてくれるのに)

ルビィ(離してくれない)

ルビィ(心を支配し続ける)

ルビィ(花丸ちゃんは、大丈夫だと言ってくれた)

ルビィ(でもね、やっぱり)

ルビィ(自分では気づいてる)

181: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:42:07.13 ID:6zq1i/at.net
ルビィ「……ねえ」

曜「ん?」

ルビィ「曜ちゃんは、好きな人とかいる?」

曜「おっと、恋バナ?」

ルビィ「うん」

ルビィ(この耐え難い感情)

ルビィ(それを処理する方法は、一つしかない)

182: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:42:36.25 ID:6zq1i/at.net
曜「そうだなー」

ルビィ(曜ちゃんは、キョロキョロと周囲を見回す)

曜「例えばさ」

曜「あの目の前を歩いている男の人」

ルビィ「うん」

曜「結構格好いいよね」

ルビィ(本当だ。テレビに出てくる俳優さんみたい)

ルビィ「ああいう人が好み?」

183: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:44:51.25 ID:6zq1i/at.net
曜「でもなくてさ」

曜「私の右側を歩いている女の子」

ルビィ「ルビィ?」

曜「うん」

曜「その女の子のことは、可愛いなと思う」

曜「さっきの格好いいと、今の可愛い」

曜「その二つは、そんなに変わらなくて」

曜「それ以上の感情とかは、特に出てこない」

184: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:46:59.13 ID:6zq1i/at.net
曜「私の感覚はそんなもんでさ」

曜「だから恋愛って言われても、よく分かんない」

ルビィ「……意外」

曜「そう?」

ルビィ「Aqoursで一番その手の話に縁がありそうなのに」

曜「そうでもないよ」

曜「告白されたこともあるけどさ」

曜「いまいち分からないから、断っちゃう」

曜「私は恋愛事とかより、部活とか、友達や後輩と遊ぶ方が楽しいし好きだから」

185: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:48:54.44 ID:6zq1i/at.net
ルビィ「……」

ルビィ(これは警告?)

ルビィ(わざわざルビィの名前を出した)

ルビィ(ばれてるのかな)

ルビィ(心の中、簡単に見抜かれちゃうもんね)

ルビィ(だけどね)

ルビィ「ねえ、曜ちゃん」

ルビィ(届かない、特別な人だって分かってる)

ルビィ(それでも、それでも)

186: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:49:56.46 ID:6zq1i/at.net
曜「うん」

ルビィ「ルビィはね、曜ちゃんのことが好きなの」

ルビィ「いまね、ルビィが付き合ってほしいって言ったら」

ルビィ「曜ちゃんは、どうする?」

曜「……その」

曜「なんというかさ」

曜「私はやっぱり、恋愛とかあんまり興味ない」

187: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:52:57.38 ID:6zq1i/at.net
ルビィ(……だよね)

ルビィ(知ってた、そう言われるのは)

ルビィ(今なら、仮定の話で引き返せる)

ルビィ(それでも)

ルビィ「昔ね」

ルビィ「いつも、男の子にいじめられてたの」

ルビィ「小さいから、気が弱いから」

ルビィ「子ども同士のじゃれ合いみたいなもの」

ルビィ「それでも、それが嫌でたまらなくて」

188: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:53:53.20 ID:6zq1i/at.net
ルビィ「その時の記憶のせいでね」

ルビィ「どうしても、男の人は好きになれなくて」

ルビィ「だけど、女の子も好きになれない」

ルビィ「曜ちゃんが、初めてなの」

ルビィ「マルちゃんでも善子ちゃんでもない」

ルビィ「曜ちゃんだけ」

ルビィ「曜ちゃんだけにしか抱けない気持ちなの」

ルビィ「だから、だからね――」

189: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:56:11.99 ID:6zq1i/at.net
曜「ごめん」

ルビィ「……曜ちゃん」

ルビィ(……そっか)

曜「付き合うのは、無理」

曜「ルビィちゃんのことは好きだよ」

曜「大切な後輩で、友達」

曜「大事にしたい、仲良くしたい」

曜「一緒に笑っていたい」

190: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:56:56.22 ID:6zq1i/at.net
曜「でも恋愛とは違う」

曜「私は、とりあえず付き合うとか、考えられないし」

曜「恋は大きな意味のあるものだと思ってる」

曜「だから、ごめん」

ルビィ「……ルビィの方こそ、ごめんね」

ルビィ「変な話して、困らせて」

曜「ううん」

曜「好きだって言ってくれたこと、嬉しかったよ」

曜「ありがとう、ルビィちゃん」

ルビィ「……」

191: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:57:54.89 ID:6zq1i/at.net
曜「荷物、貸して」

曜「私が部室に持って行くから」

曜「ルビィちゃんは帰りなよ」

ルビィ「……ありがとう」

ルビィ(断る気力も湧かなくて)

ルビィ(曜ちゃんに手に持っていた物を全部渡す)

ルビィ(手と手が僅かに触れ合う)

ルビィ(ドキリと、心が揺れる)

192: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:58:47.77 ID:6zq1i/at.net
ルビィ「バイバイ、曜ちゃん」

曜「バイバイ」

ルビィ(手を振って別れる)

ルビィ(涙はでない)

ルビィ(この結果は予想してたよ)

ルビィ(だけどね)

ルビィ(この苦しみから解放される方法は)

ルビィ(この恋を終わらせてしまうしかないから)

193: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 16:59:39.34 ID:6zq1i/at.net
ルビィ(だけど、どうしてかな)

ルビィ(苦しいよ)

ルビィ(悲しいよ)

ルビィ(確かに解放されたはずなのに)

ルビィ(別の、さらに強い感情が心を覆う)

ルビィ(馬鹿だな、私)

ルビィ(どうしてみんな、恋に臆病になるのか)

ルビィ(少し考えれば分かることなのに)

ルビィ(フラれるのは、こんなに辛いことなんだ)

195: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:41:27.03 ID:6zq1i/at.net
 H6

花丸「はぁ、はぁ」

花丸(走り回って、数時間以上が経った)

花丸(足は悲鳴を上げ、脳も限界を訴えている)

花丸(だけど走るのは止められない)

花丸(止めるわけにはいかない)

196: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:42:30.30 ID:6zq1i/at.net
花丸(昨日から、ルビィちゃんが家に帰っていないらしい)

花丸(誰に聞いても、居場所が分からない)

花丸(つまり、行方不明)

花丸(あの子は一人で遠出なんかできない)

花丸(きっと沼津の周辺にいるはず)

花丸(思い当たる場所、全部回った)

花丸(それでも、見つからない)

197: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:43:13.14 ID:6zq1i/at.net
花丸(ダイヤさんの号令で、Aqoursメンバー全員で探しているのに)

花丸(怖い)

花丸(最悪のケースが頭に浮かぶ)

花丸(ルビィちゃんが、消えてしまう)

花丸(そんなのは、耐えられない)

花丸(嫌だ)

花丸(絶対に嫌だ)

198: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:43:48.85 ID:6zq1i/at.net
曜「あれ、花丸ちゃん」

花丸「曜ちゃん!」

花丸「見つかった?」

曜「ううん」

花丸「どこに行ったんだろ……」

曜「……見当もつかないね」

花丸「ルビィちゃん……」

199: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:44:24.79 ID:6zq1i/at.net
花丸(いくら連絡しても、返事すらないまま)

花丸(――そうだ!)

花丸「ねえ、ルビィちゃんにメールかライン送ってみて」

曜「私が?」

花丸「うん」

花丸(きっと曜ちゃんからなら)

花丸(好きな人からのメッセージなら、無視できないはず)

200: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:45:22.27 ID:6zq1i/at.net
曜「いや、それはちょっと」

花丸「へっ」

花丸(ど、どうして)

花丸「携帯の充電が切れてるとか?」

曜「違うよ」

花丸「それなら、なんで」

曜「逆効果だから」

201: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:45:39.84 ID:6zq1i/at.net
曜「私のせいなんだ」

花丸(私のせい?)

曜「ルビィちゃんの告白を受けいれなかったから」

曜「だから、あの子は失踪したの」

花丸「待って」

花丸「どういうこと」

花丸(それは、つまり)

202: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:46:14.54 ID:6zq1i/at.net
曜「花丸ちゃんなら知ってたでしょ」

曜「ルビィちゃんは、私のことが好きで」

曜「それで告白された」

曜「そして私はお断りした」

曜「そういうこと」

花丸(フラれた、ルビィちゃんが)

花丸(曜ちゃんに、フラれた)

203: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:46:59.50 ID:6zq1i/at.net
花丸「どうして」

花丸「どうして、ルビィちゃんをフったの?」

曜「……」

花丸「可愛がってたんでしょ」

花丸「大切な後輩だったんでしょ」

花丸「それなら少し間を置いて考えるぐらいしてもいいでしょ」

花丸「とりあえず付き合ってみるとかでも」

204: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:47:40.71 ID:6zq1i/at.net
曜「聞かされた」

曜「あの子が心に抱えているもの」

曜「告白される前にも、色々な話をされたよ」

曜「男性に対する感情、家のこととかも」

曜「私はそれを共有でない」

曜「一緒に背負っていける自信がない」

曜「付き合っても、きっとまともな交際はできない」

曜「むしろあの子を傷つけちゃうと思うから」

205: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:48:21.31 ID:6zq1i/at.net
花丸「……重い子はお断りってこと」

曜「そう捉えられても仕方ないよね」

曜「でもね」

曜「最初、告白された」

曜「そのときの、ルビィちゃんの顔ね」

曜「死んでしまいそうだった」

曜「捨てられた子犬みたいに」

206: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:48:50.19 ID:6zq1i/at.net
曜「本当は、受け入れたいよ」

曜「別に恋愛感情はなくても、恋人になる人もいる」

曜「別に私は構わない」

曜「大切な後輩を助けられるなら、それでも」

曜「それでもさ、ルビィちゃんの十字架を受け止めるのは」

曜「本当に愛情を持っている人じゃないとできないことだよ」

曜「私には無理だ」

曜「私はあの子に恋愛感情を持てない」

207: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:50:53.79 ID:6zq1i/at.net
曜「ねえ、花丸ちゃん」

曜「君はどうかな」

花丸「……」

曜「自分の気持ちは、知っているでしょ」

花丸「なんのことか、理解できないずら」

曜「いいよ、隠さなくて」

曜「私は知ってる」

208: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:51:26.71 ID:6zq1i/at.net
曜「ルビィちゃんと二人の時にね」

曜「よく君の話をされたよ」

曜「ダイヤさんや善子ちゃん」

曜「他のAqoursのメンバーも含めて、ルビィちゃんは大好きで」

曜「その好きが、会話の中によく現れる子」

曜「だけどね」

曜「花丸ちゃんだけは特別だった」

曜「他より強い好きが、言葉の中に混ざっていた」

209: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:52:30.95 ID:6zq1i/at.net
花丸「本当に?」

曜「うん」

曜「出会ってからさ」

曜「誰よりも深い関係を築いてきたんでしょ」

曜「前にさ、ルビィちゃんが言ってたよ」

曜「ダイヤさんと気まずくなって一人になってた時」

曜「花丸ちゃんに助けられた」

曜「花丸ちゃんがいるから、やっていけたって」

花丸「ルビィちゃん……」

210: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:53:03.26 ID:6zq1i/at.net
曜「私は結構気づくんだよ」

曜「誰が誰を好きなのか」

曜「だからルビィちゃんから話を聞いただけでも、花丸ちゃんの気持ちは理解できた」

曜「事情があるんだとは思う」

曜「踏み出すのが怖いのか」

曜「私が知らない何かがあるのか」

曜「それでもさ、頼むよ」

曜「助けられるのは、花丸ちゃんしかいない」

211: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 17:54:21.99 ID:6zq1i/at.net
曜「ルビィちゃんをさ、苦しませたくないんだ」

花丸(苦しませない)

花丸(その為に、マルが)

曜「現実的な話をするとね」

曜「弱っている時の人は、ほだされやすいよ」

花丸「……ゲス」

曜「だね」

曜「だけど事実だし」

曜「私自身、そんなときに落とされそうになった経験あるからさ」

212: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 18:01:30.84 ID:6zq1i/at.net
曜「なんかあっても、私のせいにすればいい」

曜「そうすれば、最悪誤魔化せるでしょ」

花丸「……しないよ、そんなこと」

花丸「マルは曜ちゃんみたいに卑怯じゃないから」

曜「そっか、偉いね」

曜「さてと」

曜「それじゃあ、ルビィちゃん探しを再開しようか」

花丸「そ、そうだよ」

花丸(現状、行方不明なのは変わってない)

213: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 18:02:04.09 ID:6zq1i/at.net
曜「一応ね、目撃情報はあったから」

曜「心配し過ぎなくても大丈夫だよ」

花丸「そ、そっか」

曜「それに、善子ちゃんに当てがあるらしいから」

曜「そっちで見つかるかもしれない」

花丸「うん」

曜「じゃあ私は別の場所を探しに行くから」

曜「頑張ろうね、お互いに」

215: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:12:44.63 ID:UtdbcTIa.net
 R6

ルビィ(雨、降ってきたな)

ルビィ(昨日、曜ちゃんと別れた後)

ルビィ(頭がグルグル回って、わけわかんなくなって)

ルビィ(駅まで走って、電車に飛び乗った)

ルビィ(どこか遠くへ行きたかったから)

216: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:13:11.59 ID:UtdbcTIa.net
ルビィ(なのにここはお隣の駅)

ルビィ(一人で遠出する勇気は出なくて)

ルビィ(すぐに電車を降りちゃって)

ルビィ(いつまでも臆病なルビィちゃん)

ルビィ(弱い自分から抜け出せない――)

善子「見つけた!」

ルビィ「ピギャッ」

217: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:13:40.67 ID:UtdbcTIa.net
善子「ここにいたのね」

ルビィ「ど、どうして」

ルビィ(善子ちゃんが、どうして)

善子「私だって友達よ」

善子「そして、花丸やダイヤよりは冷静に対処できる」

善子「あんたの居場所を見つけることぐらい、わけないわ」

ルビィ(絶対、ばれないと思ってたのに……)

218: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:14:14.22 ID:UtdbcTIa.net
ルビィ「目撃者でもいたとか?」

善子「まあ、駅の周辺を歩いていたって情報はあったわよ」

善子「私以外、電車に乗っていると考えた人はいなかったけど」

ルビィ(みんなの中のルビィのイメージって……)

ルビィ「なのに、善子ちゃんはどうして?」

善子「あんたでしょ」

善子「少し前自慢げに『お隣の駅まで行けたよ!』って連絡寄越したのは」

ルビィ「あっ」

219: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:14:47.29 ID:UtdbcTIa.net
善子「それでもしかしたらと思って来たらビンゴよ」

善子「駅近くにいてくれて助かったけど」

ルビィ「えっと、知ってる場所から離れるのも怖くて」

善子「あんたらしいわね」

ルビィ「えへへ」

ルビィ(本当は、へたり込んで動けなかった)

ルビィ(衝動が解けて、エネルギーが切れて)

ルビィ(身体がいうことを聞いてくれなかった)

220: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:15:27.28 ID:UtdbcTIa.net
善子「まったく、無事でよかったわ」

善子「よく面倒事に巻き込まれなかったわね」

ルビィ「ついてたのかな」

善子「ほら、立てる?」

ルビィ「……」

ルビィ(告白を受け入れてくれるわけない)

ルビィ(理解した上での行動だったのに)

ルビィ(喪失感に飲み込まれている)

221: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:16:15.00 ID:UtdbcTIa.net
善子「……大丈夫なの?」

ルビィ「……」

善子「最近、心配だったのよ」

ルビィ「心配?」

善子「様子、おかしかったでしょ」

善子「話しかけても全然聞いてないし」

善子「花丸まで一緒に元気をなくしてるし」

222: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:17:05.92 ID:UtdbcTIa.net
ルビィ「ごめんね、心配かけて」

ルビィ「だけどもう大丈夫だから」

善子「どの口が――まあ、話したくないならいいわよ」

善子「とことん付き合うわ」

ルビィ(へたり込むルビィの横に、腰を下ろす)

ルビィ(よく見ると、髪はぼさぼさ、服はよれよれ)

ルビィ(いつもきちっとしている、善子ちゃんらしくない)

223: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:17:35.35 ID:UtdbcTIa.net
ルビィ(ずっと)

ルビィ(ずっと、ルビィのことを探してくれていたのかな)

ルビィ(嬉しいな)

ルビィ(やさしさが、空っぽになった心を少し満たしてくれる)

ルビィ「善子ちゃん」

善子「なによ」

ルビィ「遊びにいこ―よ」

224: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:18:05.55 ID:UtdbcTIa.net
善子「今から?」

ルビィ「うん」

善子「一度帰った方がよくない?」

善子「みんな心配してるわよ」

ルビィ「いいから」

善子「……このわがまま姫」

ルビィ「駄目?」

善子「いいわよ、付き合うって言ったのは私」

ルビィ「ありがとう」

225: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:18:43.87 ID:UtdbcTIa.net
ルビィ(それからお散歩をしながら、色んなお店を見て回って)

ルビィ(いつにも増してやさしい善子ちゃん)

ルビィ(その行動に、心の温度は上がっていく)

ルビィ(少しずつ、自分が戻ってくる)

ルビィ(やさしい、気遣いができるのは曜ちゃんと似てる)

ルビィ(少しずつ、恋の残骸が消えていく)

ルビィ(だけど善子ちゃんに新しい恋をするわけじゃない)

ルビィ(誰でもいいわけじゃない)

226: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:19:13.62 ID:UtdbcTIa.net
善子「さて、そろそろ帰らないと」

ルビィ「そうだね」

ルビィ(気づけば、外は暗くなっていて)

善子「多少気は晴れたかしら」

ルビィ「うん、おかげさまで」

善子「連絡はしておいたから、沼津まで戻れば迎えは来ているはずよ」

善子「ダイヤに怒られるのは、覚悟しておくことね」

ルビィ「うぅ、それは怖いな」

227: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:19:45.53 ID:UtdbcTIa.net
ルビィ「ねえ、善子ちゃん」

善子「ええ」

ルビィ「ありがとう、ルビィを探してくれて」

善子「……その台詞は、他のみんなにも言ってあげなさいよ」

善子「特に花丸なんて、休まずに探し続けてたんだから」

ルビィ(花丸ちゃん……)

ルビィ(連絡、いっぱい来てたな)

ルビィ(早く、返してあげないと)

ルビィ(心配かけたこと、謝らないと)

228: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:20:13.59 ID:UtdbcTIa.net
善子「ルビィ」

ルビィ「うゅ?」

善子「私はこのぐらいなら、いつでも付き合うから」

善子「ルビィは大切な友達だから」

ルビィ「……」

ルビィ(そう、友達)

ルビィ(善子ちゃんは最も大切な友達の一人)

229: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:20:38.66 ID:UtdbcTIa.net
ルビィ(友情は尊い)

ルビィ(簡単に壊れない、かけがえのないもの)

ルビィ(友達といるのは本当に楽しい)

ルビィ(楽しいのに、どうして)

ルビィ(どうして、人は違うものを求めちゃうのかな)

ルビィ(どうして、恋の衝動に抗えないのかな)

ルビィ(恋は、怖いよ)

230: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:30:33.04 ID:UtdbcTIa.net
 H7

花丸(ふぅ)

花丸(流石に、歩き疲れた)

花丸(もうすぐ沼津駅)

花丸(ルビィちゃんが帰ってくる)

花丸(だからそのお迎え)

231: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:31:02.76 ID:UtdbcTIa.net
花丸(本当は、ダイヤさんが来る予定だった)

花丸(だけど)

『少し間を置かないと、やさしく迎えられそうにないので』

花丸(ということで、代理を任された)

花丸(もちろん、一番は自分の希望)

花丸(早く、ルビィちゃんに会いたかったから)

花丸(伝えたいことがあったから)

232: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:36:51.87 ID:UtdbcTIa.net
花丸(駅が見えてくる)

花丸(スマホを取り出し、善子ちゃんに連絡)

花丸(彼女からルビィちゃんを発見したと連絡が入ったとき)

花丸(二人にしてほしいと頼んでおいた)

花丸(返事はすぐに返ってきて)

花丸(遠巻きに、去っていく善子ちゃんの姿が見える)

花丸(同時に、早まる歩み)

花丸(天使の元に身体が引き寄せられていく)

233: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:40:12.75 ID:UtdbcTIa.net
花丸(赤い髪)

花丸(姿が見える)

花丸(ソワソワと落ち着かない表情)

花丸(彼女は迎えがマルであることを知らない)

花丸(ダイヤさんを、想像しているんだろうな)

花丸(そんな仕草に、心が惹かれる)

花丸(結局、仲良くなったきっかけは一目惚れ)

花丸(中身も勿論だけど、見た目が大好きなんだよね)

花丸(これじゃあ、マルもゲスさんだけど)

234: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:41:05.67 ID:UtdbcTIa.net
花丸(声が届く距離まで近づく)

花丸「ルビィちゃん」

ルビィ「えっ、花丸ちゃん?」

花丸「うん」

ルビィ「どうして……」

花丸(表情から読み取れるのは驚愕)

花丸(それと、喜び)

235: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:41:30.29 ID:UtdbcTIa.net
花丸「お迎えに来たよ」

花丸(そっと、彼女の手を握る)

花丸「一緒に帰ろう」

ルビィ「――う、うん」

花丸(少しの間)

花丸(だけどすぐに、握り返される手)

花丸(心が、僅かに跳ね上がるのを感じる)

236: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 19:42:20.36 ID:UtdbcTIa.net
花丸「い、行こうか」

ルビィ「そ、そうだね」

花丸(並んで歩きだす)

花丸(心臓が激しく鳴り続ける)

花丸(大丈夫かな)

花丸(気づかれてないかな)

花丸(手を握るなんて、普通にしていたのに)

花丸(意識するだけで、こんなに変わるなんて)

花丸(知らなかった)

239: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:54:31.31 ID:Ta9nZbuB.net
花丸「夜になると、暑さも和らぐようになってきたね」

ルビィ「だね」

花丸(バスを、一つ手前のバス停で降りた)

花丸(話したいことがあるという、ルビィちゃんの希望)

花丸(今回の経緯について話そうとしてくれているんだ)

花丸(マルも話したいことがあったから好都合)

花丸(なのに、互いに本題を切り出せないまま、黒澤家は近づいてくる)

240: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:55:09.72 ID:Ta9nZbuB.net
花丸・ルビィ「「あ、あのね」」

花丸「あっ」

ルビィ「被っちゃったね」

花丸「息、ピッタリずら」

ルビィ「ふふっ、だね」

花丸「えっと、どうしようか」

花丸「ルビィちゃんから話す?」

ルビィ「いいの?」

花丸「マルは後でも大丈夫だから」

241: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:55:36.30 ID:Ta9nZbuB.net
ルビィ「……マルちゃん」

花丸(ルビィちゃんが、歩みを止める)

花丸「う、うん」

ルビィ「ルビィね」

ルビィ「曜ちゃんに、フラれちゃったの」

花丸「知ってるよ」

花丸「曜ちゃんから聞いた」

ルビィ「……そうなんだ」

242: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:56:09.38 ID:Ta9nZbuB.net
ルビィ「やっぱり、駄目だった」

ルビィ「仕方ないよね」

ルビィ「元々、高根の花だって分かっていた」

ルビィ「恋人になるなんて、無理だって」

花丸「……」

ルビィ「ごめんね、励ましてくれたのに」

ルビィ「全然、上手くいかなくて」

243: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:56:38.27 ID:Ta9nZbuB.net
花丸(言葉は、用意していたはずだった)

花丸(なのに、目を潤ませるルビィちゃんの姿を見ると)

花丸(そんなものは、全て吹き飛んでしまって)

ルビィ「変だな」

ルビィ「泣かないように、我慢してたのに」

花丸(手を握る力が強くなる)

花丸(水滴が零れ落ちる)

244: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:57:06.38 ID:Ta9nZbuB.net
花丸「……辛かったね」

花丸(出会った時と同様の感覚)

花丸「ルビィちゃんは頑張ったよ」

花丸(手を引き、抱き寄せる)

花丸「本当に、頑張ったよ」

花丸「だからもう、無理しないで」

花丸(強く、強く、抱きしめる)

245: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:58:02.40 ID:Ta9nZbuB.net
ルビィ「無理、してないよ」

ルビィ「ルビィにはマルちゃんが居るから」

ルビィ「大切な友だちがいるから――」

花丸(言葉が、途切れる)

花丸(それ以上、続かない)

花丸(泣きそうになりながら、肩を震わせて)

花丸(だけどその行為は大好きだった人を責めることになると、必死にこらえてる)

246: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:58:40.75 ID:Ta9nZbuB.net
花丸「ルビィちゃん……」

花丸(手を緩める)

ルビィ「……」

花丸(向き合った顔)

花丸(様々な感情を噛みしめ、歪んだ顔)

花丸(それは過去に観た彼女の顔の中で、もっとも美しくて)

花丸(吸い寄せられるように、引き込まれるように)

花丸(唇を、重ね――)

247: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:59:19.64 ID:Ta9nZbuB.net
ルビィ「い、いやっ!」

花丸(直前、振り払われる)

花丸「ルビィちゃん……」

ルビィ「駄目だよ、それは」

ルビィ「したら、引き返せなくなる」

ルビィ「友情は消えない」

ルビィ「だけど、愛情になったら消えちゃうかもしれない」

ルビィ「マルちゃんは消えてほしくない」

ルビィ「マルちゃんとは、永遠がいいの」

248: 名無しで叶える物語 2019/06/19(水) 20:59:57.87 ID:Ta9nZbuB.net
花丸(そこまで言い切ると、堤防は決壊した)

ルビィ(それを誤魔化すようにマルの胸に顔を埋める)

花丸(小さな身体)

花丸(だけどさらに小さな自分では、包み込むこともできず)

花丸(ただ共に泣くだけ)

花丸(それが彼女が親友に求めていることだから)

花丸(だから、構わないんだ)

花丸(例え、涙の意味が違ったとしても)

274: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 03:06:46.36 ID:5276dxHa.net
 H2-1

花丸(去年までより、少し早めの朝)

花丸(親友を待つバス停)

花丸(桜が舞い散る中、のんびりと本を読む)

花丸(綺麗なピンク色)

花丸(入り込んでくる花びらは少し煩わしいけど)

花丸(今年は、桜が散るのは早めかもしれない)

275: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 03:07:29.07 ID:5276dxHa.net
花丸(それにしても、遅い)

花丸(もしかして、時間間違えてる?)

花丸(もうすぐバスが来ちゃう)

花丸(ダイヤさんはいないんだ)

花丸(迎えに行ってあげればよかったかな)

花丸(次のバスを逃すと遅刻は間違いない)

花丸(初日から遅刻なんて嫌だ)

花丸(だけどルビィちゃんを置いていくのは、もっと嫌だ)

276: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 03:08:24.87 ID:5276dxHa.net
花丸「うーん、究極の選択――」

ルビィ「ま、マルちゃん!」

花丸(直後、聴こえる声と地面を駆ける足音)

花丸(よかった、遅刻はせずに済みそう)

ルビィ「ご、ごめんね」

ルビィ「目覚まし、かけたんだけど」

花丸「間に合ったんだから、大丈夫ずら」

花丸(とぎれとぎれの声)

花丸(まともにセットされていない髪)

花丸(どれだけ急いできたか、よく分かる)

277: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 03:08:59.13 ID:5276dxHa.net
花丸「明日からはお迎えに行くね」

ルビィ「うう」

ルビィ「ちゃんと一人で起きられるようになるはずだったのに……」

花丸「いいんだよ、少しずつで」

花丸「最初から一緒に登校できる方が、マルも嬉しいし」

ルビィ「そう?」

花丸「ずら」

278: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 03:09:32.36 ID:5276dxHa.net
花丸(気づけば、マルたちも二年生)

花丸(新しい学校での、新しい生活を目前に控えている)

ルビィ「急いできたけど、制服変じゃないかな?」

花丸「うーん――問題なさそうだよ」

ルビィ「ほっ」

花丸「だけどほら、髪」

ルビィ「あっ」

279: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 03:09:58.69 ID:5276dxHa.net
花丸「やってあげるから、こっちおいで~」

ルビィ「うん!」

花丸「せっかくだし、髪型変えてみる?」

ルビィ「うーん、どうしよ」

花丸(マルとルビィちゃんは仲良しの親友同士)

花丸(その関係は変わっていない)

花丸(変わりようがない)

280: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 22:15:32.83 ID:4iRxXcUF.net
花丸(あの日の出来事)

花丸(その場であったことについて、互いに触れていない)

花丸(私たちの中の禁忌)

花丸(国木田花丸と黒澤ルビィは永遠に『親友』である)

花丸(その戒律だけを残して)

花丸(求め合った二人が、永遠を手にするなんて)

花丸(素晴らしいよね)

281: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 22:16:08.69 ID:4iRxXcUF.net
花丸(そういえば、変わったこともある)

花丸(ルビィちゃんに、新しい親友ができた)

花丸(鹿角理亞)

花丸(北海道に住む女の子)

花丸(最初は敵視されていたのに)

花丸(気づけばルビィちゃんの前に骨抜きにされた)

花丸(私も一部始終を見ていて)

花丸(改めて、自分の親友の魅力を知った)

282: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 22:17:18.37 ID:4iRxXcUF.net
花丸(理亞ちゃんとかかわる中で、ルビィちゃんはドンドン成長して)

花丸(奥に秘められていた大きな輝きを、いっぱいに放つようになった)

ルビィ「あー、楽ちんだよお」

ルビィ「これからも毎日マルちゃんにやってもらおうかな」

花丸「えー」

花丸(それでも私の前ではずっとこんな調子)

花丸(お姉ちゃんの前ですら、自立したらしいのに)

花丸(私だけ、特別)

花丸(特別は嬉しい)

283: 名無しで叶える物語 2019/06/24(月) 22:18:01.19 ID:4iRxXcUF.net
花丸「ほら、バスが来たよ」

花丸「早く乗る準備しよ」

ルビィ「はーい」

花丸「そういえば朝食は?」

ルビィ「食べてないよ」

花丸「ならのっぽパンあげるから」

花丸「途中で食べよう」

ルビィ「わーい」

295: 名無しで叶える物語 2019/06/30(日) 00:57:27.05 ID:c0FrYmOl.net
花丸(以前より甘えるようになった?)

花丸(弱い黒澤ルビィは消えた)

花丸(わけじゃなくて)

花丸(表に出さない術を覚えたんだ)

花丸(つまり大人になってということ)

花丸(人は経験を重ねて成長する)

花丸(あの初恋が、彼女に変化をもたらした)

296: 名無しで叶える物語 2019/06/30(日) 00:57:56.21 ID:c0FrYmOl.net
花丸(その中で私の立場は?)

花丸(お姉ちゃんの代わり?)

花丸(というよりもお母さん?)

花丸(実家で気を緩めるような感じかな)

花丸(国木田花丸は、黒澤ルビィの安全基地)

花丸(行動で縛り、言葉で縛り、関係で縛り)

花丸(彼女にとって、理想的な居場所となった)

297: 名無しで叶える物語 2019/06/30(日) 00:58:32.52 ID:c0FrYmOl.net
花丸(それを意図して行なったのか)

花丸(それとも偶然たどり着いたのか)

花丸(分からない)

花丸(当事者である国木田花丸はもちろん)

花丸(本人、黒澤ルビィにも)

花丸(流された結果)

花丸(身を任せた結果、たどり着いた)

花丸(そんな居場所)

298: 名無しで叶える物語 2019/06/30(日) 00:59:13.91 ID:c0FrYmOl.net
 R2-1

ルビィ(お姉ちゃんがいなくなったあとのおうち)

ルビィ(少し広くて、少し暗い)

ルビィ(寂しい、のかな)

ルビィ(そう、寂しいんだよね)

ルビィ(自分自身、少しは変われたと思う)

ルビィ(だけど根っこの部分は、甘えん坊の妹)

299: 名無しで叶える物語 2019/06/30(日) 00:59:45.05 ID:c0FrYmOl.net
理亞『ねえ』

ルビィ「うん?」

理亞『ルビィ、聞いてる?』

ルビィ「もちろん」

ルビィ(スマホ越しに聴こえるのは、少し尖った女の子の声)

ルビィ(去年の冬に友達になった理亞ちゃん)

ルビィ(今では週に何度も、電話でお話する間柄)

300: 名無しで叶える物語 2019/06/30(日) 01:00:18.51 ID:c0FrYmOl.net
理亞『それでね、その子がね――』

ルビィ「へえ、それは意外だね」

ルビィ(最近の話題は、部に入ってくれたという後輩の話)

ルビィ(よほど可愛いのか、嬉しいのか)

ルビィ(同じような話を、何度も繰り返している)

ルビィ(理亞ちゃんは、分かりやすい)

ルビィ(気持ちを知るのも、とても簡単)

301: 名無しで叶える物語 2019/06/30(日) 01:01:10.77 ID:c0FrYmOl.net
ルビィ(だから理解している、自分へ向けられてる愛情くらい)

ルビィ(大好きなお姉ちゃん)

ルビィ(大切な後輩)

ルビィ(理亞ちゃんにとって、二人とも大切な人)

ルビィ(だけどそれよりも)

ルビィ(黒澤ルビィ)

ルビィ(私に向けられる感情は)

ルビィ(強い)

315: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:32:32.05 ID:rC4IwWG0.net
ルビィ(普通は心に秘めるような部分まで)

ルビィ(理亞ちゃんは表へ出す)

ルビィ(全部私に向けてくる)

ルビィ(お姉ちゃん、花丸ちゃん)

ルビィ(色んな人から愛されて生きてきた)

ルビィ(だけどこれは、それとはまた違う)

ルビィ(種類の愛情)

316: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:34:02.20 ID:rC4IwWG0.net
ルビィ(人からそれ向けられるのが、こんなに幸せだなんて)

ルビィ(この快楽には抗えない)

ルビィ(だから相手と特別な関係になる気がなくても、突き放せない)

ルビィ(それが向けられ続ける限り、避けられないんだ)

ルビィ(なんて楽なんだろう)

ルビィ(愛している時はあんなに苦しいのに)

ルビィ(愛されている時は、とても楽)

317: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:34:35.35 ID:rC4IwWG0.net
ルビィ(相手の気持ちが理解できるの、いいな)

ルビィ(矢印を自分から向けてるときは、分からないもんね)

ルビィ(相手の気持ち)

ルビィ(恋をしている人間は分かりやすい)

ルビィ(理亞ちゃんは特に)

ルビィ(純粋なんだ)

ルビィ(きっと、初めての恋なんだろう)

318: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:35:10.78 ID:rC4IwWG0.net
ルビィ(純粋な幸福感)

ルビィ(心地よい状況)

ルビィ(ふと、ほだされそうになる)

ルビィ(もしかしたら、永遠の愛をくれるかもしれない)

ルビィ(自分の荷物を、一緒に背負ってくれるかもしれない)

ルビィ(そんな風に)

ルビィ(言葉を交わすだけで、そんな風に感じて)

319: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:38:42.95 ID:rC4IwWG0.net
理亞『あっ、もうこんな時間――おやすみルビィ』

ルビィ「うん」

ルビィ「おやすみ、理亞ちゃん」

ルビィ(私は、酷いことをしてるのかな)

ルビィ(自分が傷ついたように)

ルビィ(理亞ちゃんを、傷つけようとしているのかな)

ルビィ(……嫌だな、そんなの)

320: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:40:48.55 ID:rC4IwWG0.net
 H2-2

善子「今年はこの時期から暑いわね」

ルビィ「うん」

花丸「かき氷屋さん、まだ空かないかな」

ルビィ「流石にGWだとね」

花丸「むう、融通が利かないよ」

理亞「本当よね」

理亞「北海道にだって、冬でもやってるお店はあるのに」

321: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:41:21.30 ID:rC4IwWG0.net
善子「……それにしても、理亞」

理亞「なによ」

善子「あんた、平然といるわね」

理亞「悪い?」

善子「いや、悪くはないけど」

理亞「姉様がいる東京へきたついでだから」

理亞「別にルビィに会いに来たわけじゃないから」

善子「……せめてそこは私たちにって言いなさいよ」

322: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:41:47.96 ID:rC4IwWG0.net
花丸(GWになった)

花丸(新しい学校での生活は、それなりに順調)

花丸(ルビィちゃんもマルも、楽しんでいる)

花丸(お休みになって早々)

花丸(理亞ちゃんが内浦へ遊びに来た)

花丸(当然のように)

花丸(ルビィちゃんに会いに来た)

323: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:42:20.95 ID:rC4IwWG0.net
ルビィ「だけど理亞ちゃん」

理亞「うん」

ルビィ「確かお休みの最後の方までこっちにいる予定でしょ」

ルビィ「聖良さんに会いに行く暇、あるの?」

理亞「……一応、ちゃんと会って帰る」

善子「はあ」

善子「お姉ちゃんが悲しむわよ」

324: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:44:19.93 ID:rC4IwWG0.net
理亞「いいの」

理亞「今回はルビィに」

理亞「あと善子と花丸に会うのが目的だから」

善子「あっさり認めたわね」

花丸「ずら」

善子「どうしたのよ、らしくない」

理亞「う、うるさい」

325: 名無しで叶える物語 2019/07/06(土) 22:44:51.04 ID:rC4IwWG0.net
ルビィ「理亞ちゃん」

ルビィ「お顔、真っ赤だよ」

理亞「き、気のせい」

ルビィ「えー、そうかな」

ルビィ「ルビィの気のせい?」

理亞「そ、そうよ」

ルビィ「ふーん」

342: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 06:27:45.73 ID:lFL4fEB0.net
善子「……ルビィ」

善子「理亞が相手だと、妙に強気になるわね」

花丸「だね」

善子「今まで見なかった関係性」

善子「ある意味、特別なのかしら」

花丸「そうかも」

花丸(らしくない?)

343: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 06:28:14.81 ID:lFL4fEB0.net
花丸(妹、下の立場になりやすいルビィちゃん)

花丸(同じ属性の理亞ちゃんだからこそ現れる)

花丸(私では知りえない顔)

花丸(別の)

花丸(もしかしたら本来の)

花丸(黒澤ルビィとしての顔)

344: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 06:29:03.04 ID:lFL4fEB0.net
善子「GW期間、あんたはずっとルビィの家に泊まるんでしょ」

理亞「そのつもり」

善子「よく許可降りたわね」

理亞「ルビィは特別だから」

理亞「家族もみんな、信用してる」

善子「家族公認なのね」

ルビィ「聖良さん以外、ちゃんと会ったことはないけどね」

345: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 06:29:46.48 ID:lFL4fEB0.net
花丸(今、理亞ちゃんがこうしているのは)

花丸(楽しそうに学校に通えているのは)

花丸(スクールアイドルを続けられているのは)

花丸(ルビィちゃんのおかげ)

花丸(ルビィちゃんが、いるから)

花丸(それをみんなが知っている)

花丸(理亞ちゃんは隠すどころか、積極的に広めるから)

346: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 06:30:20.18 ID:lFL4fEB0.net
理亞「ルビィは、嫌だった?」

理亞「せっかくのお休みなのに」

理亞「私とずっと一緒なの」

ルビィ「そんなことない」

ルビィ「嬉しいよ」

ルビィ「一緒に居たくても、難しいもんね」

ルビィ「普段は」

理亞「うん」

347: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 06:31:18.35 ID:lFL4fEB0.net
善子「ほら、花丸」

花丸「なに」

善子「ルビィ、盗られてるわよ」

花丸「そう?」

善子「いや、だから」

花丸「仲良しでいいよね」

善子「そりゃ、そうだけど」

348: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 06:31:55.12 ID:lFL4fEB0.net
善子「あんた、嫉妬とかしないのね」

花丸「嫉妬?」

善子「理亞にルビィを盗られてとか、考えないの?」

花丸「そんなの、変だし」

花丸「考えないよ」

花丸(一番の親友)

花丸(一番の理解者)

花丸(だから、考えちゃいけない)

354: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:31:29.60 ID:lFL4fEB0.net
花丸(考えたら、ルビィちゃんを裏切ることになる)

花丸(それだけは許されない)

花丸(だけど)

ルビィ「今夜は二人きりだもんね~」

理亞「そ、そうね」

花丸(嫌な予感がする)

花丸(それでも目を逸らす)

花丸(後ろ向きな思考の所為)

花丸(ただの考え過ぎ)

花丸(国木田花丸はそう考えるのが)

花丸(ルビィちゃんの為になる)

花丸(はずだから)

355: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:33:38.63 ID:lFL4fEB0.net
 R2-2

ルビィ(夜)

ルビィ(一人の、苦手な時間)

ルビィ(だけど)

ルビィ(だけど今日は)

理亞「なに?」

ルビィ「ううん」

ルビィ(一人じゃない)

356: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:34:02.64 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「二人とも、帰っちゃったね」

理亞「泊まっていけばよかったのに」

ルビィ「仕方ないよ」

ルビィ「毎日お泊りって訳にはいかないし」

理亞「私は、毎日」

ルビィ「あっ、そうだよね」

ルビィ「理亞ちゃんだけ特別、例外だ」

理亞「特別……」

357: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:34:26.63 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「今日は楽しかったね」

理亞「うん」

ルビィ「やっぱり楽しいよ」

ルビィ「理亞ちゃんと一緒だと」

ルビィ「花丸ちゃんと善子ちゃんもいれて」

ルビィ「四人、一緒だと」

理亞「うん」

358: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:35:05.30 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「ねえ」

ルビィ「今年の春」

ルビィ「理亞ちゃんが、こっちの高校に来るかもしれない」

ルビィ「そんな話になったよね」

理亞「……あった、そんなことも」

ルビィ「あ、恥ずかしい?」

理亞「そんなこと、ない」

359: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:35:33.45 ID:lFL4fEB0.net
理亞「ただ、あの時も」

理亞「あの時もまた」

理亞「ルビィに、助けてもらったなって」

理亞「思い出して」

理亞「思い出して、幸せな気持ちになった」

理亞「ルビィを、さらに好きになれた」

ルビィ「理亞ちゃん……」

360: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:36:07.73 ID:lFL4fEB0.net
理亞「だけど、どうしてあの時の話を?」

ルビィ「……自分の行動」

ルビィ「理亞ちゃんが来ることを拒んだこと」

ルビィ「それは間違っていなかった」

ルビィ「確信は持ってる」

理亞「あたりまえ、そんなの」

理亞「おかげで、大切な今がある」

ルビィ「だよね」

361: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:36:36.48 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「だけどね、考える時もあるよ」

ルビィ「あそこで止めなければ」

ルビィ「理亞ちゃんと一緒に過ごせた」

ルビィ「同じ学校に通って、もしかしたら同じ家に住んで」

ルビィ「そんな未来も、あったんじゃないかなって」

ルビィ「それはそれで、素敵だったんじゃないかなって」

ルビィ「ほんの少し、考えちゃう」

362: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:37:50.49 ID:lFL4fEB0.net
理亞「……寂しいの?」

ルビィ「へっ」

理亞「ルビィは今、寂しいの?」

ルビィ「そ、そんなことないよ」

ルビィ「スクールアイドルは続けられているし」

ルビィ「善子ちゃんや曜ちゃん、千歌ちゃん、梨子ちゃんもいる」

ルビィ「花丸ちゃんだって、前より甘やかしてくれてる」

ルビィ「だから」

363: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:38:19.46 ID:lFL4fEB0.net
理亞「だけど」

理亞「お姉ちゃんの分は?」

理亞「黒澤ダイヤが、いなくなった分は?」

理亞「空いた場所は、埋まったの?」

ルビィ「それは……」

理亞「私には分かる」

理亞「ルビィの気持ちが」

364: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:38:59.03 ID:lFL4fEB0.net
理亞「私がここに来たのは」

理亞「前に、GWなのに姉に会えないって」

理亞「ルビィが寂しそうに話していたから」

理亞「少しでも、ルビィの為になりたかったから」

ルビィ「理亞、ちゃん」

理亞「迷惑じゃないんだよね」

理亞「私は、ここに来てよかったんだよね」

365: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:39:39.66 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「それは、もちろん」

ルビィ「お昼間にも言ったけど、嬉しいよ」

理亞「……よかった」

ルビィ(安堵の表情)

ルビィ(どうして、そこまで自信が持てないのかな)

ルビィ(私のことを信用できない?)

ルビィ(ううん、そうじゃない)

ルビィ(きっと、これは)

366: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:40:31.80 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「……ねえ、理亞ちゃん」

理亞「なに」

ルビィ「理亞ちゃんは」

ルビィ「理亞ちゃんはどうして」

ルビィ「そこまで、私の為に動いてくれるのかな」

理亞「え?」

367: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:41:08.53 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「嬉しいよ」

ルビィ「理亞ちゃんの気持ちも、行動も」

ルビィ「だけど不思議なの」

ルビィ「大好きなお姉ちゃんより、優先してくれる」

ルビィ「それの意味が」

ルビィ「理由が」

ルビィ「分からないから」

ルビィ(それは嘘、だけど)

368: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:41:38.77 ID:lFL4fEB0.net
理亞「……分からない?」

ルビィ「うん」

理亞「本当に?」

ルビィ「考えたけど、全然」

理亞「……そっか」

ルビィ「ごめんね」

369: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:42:02.89 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「だから教えてほしいの」

ルビィ「理亞ちゃんが私を最優先にしてくれる理由」

理亞「それは……」

ルビィ「言いにくいこと?」

理亞「うん……」

ルビィ「私にも、言えないこと?」

理亞「……ルビィだから、言えない」

ルビィ「……」

370: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:42:44.75 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ(たぶん、今の自分は少ししかめっ面になってる)

ルビィ(鏡を見なくても分かる)

ルビィ(目の前の、理亞ちゃんの表情で)

ルビィ(全部、分かる)

ルビィ(意地悪し過ぎたかな)

ルビィ(こうなるの、分かっていたはずなのに)

ルビィ(可愛い反応はみれたけど)

ルビィ(自分が嫌な人間になったみたいで――)

理亞「――きなの」

ルビィ「へ?」

371: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:43:38.16 ID:lFL4fEB0.net
理亞「好きだから、ルビィのことが」

理亞「誰よりも」

理亞「姉様よりも」

理亞「他の友達よりも」

理亞「好きなの」

理亞「キスしたい、身体を重ねたい」

理亞「そんな風に考えるぐらい」

理亞「ルビィは、特別な好きなの」

372: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:44:05.09 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「っ」

ルビィ(予想もしていなかった言葉)

ルビィ(かつての自分を重ねていた)

ルビィ(そんな相手から飛び出した)

ルビィ(予想外の、言葉)

ルビィ(返す言葉が見つからない)

ルビィ(理亞ちゃんも、俯いて喋らない)

373: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:44:34.64 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ(……ああ)

ルビィ(曜ちゃんに告白したとき)

ルビィ(あれと同じなんだ)

ルビィ(今の理亞ちゃんは、あの時の私)

ルビィ(そっか、そっか)

ルビィ(納得、納得だね)

374: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:45:18.70 ID:lFL4fEB0.net
理亞「ルビィは」

理亞「私のこと、好きじゃない?」

ルビィ(必死に、絞り出すように発した言葉)

ルビィ(自分と重なっていく)

ルビィ(告白されているのに)

ルビィ(まるでしているみたいに)

ルビィ(胸が締め付けられる)

375: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:45:46.72 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ(苦しかった)

ルビィ(辛かった)

ルビィ(あの時は、善子ちゃんが見つけてくれて)

ルビィ(花丸ちゃんが慰めてくれて)

ルビィ(だから、立ち直れたのに)

ルビィ(二人が居なかったら)

ルビィ(廃人のようになっていてもおかしくなかったのに)

376: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:46:23.73 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ(理亞ちゃんには、いるの?)

ルビィ(あの時の二人みたいに)

ルビィ(傷ついた自分を、励ましてくれる人が)

ルビィ(聖良さんも、もう傍にはいない)

ルビィ(友達だって、どこまで深い仲かは分からない)

ルビィ(そして)

ルビィ(どう考えても)

ルビィ(本来理亞ちゃんを慰める位置にいるのは)

ルビィ(私自身)

377: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:46:58.06 ID:lFL4fEB0.net
理亞「ルビィ……」

ルビィ(潤んだ瞳)

ルビィ(まるで死刑宣告を待つ囚人のように)

ルビィ(身体を震わせている)

理亞「やっぱり、嫌、だよね」

理亞「気持ち、悪い、よね」

理亞「無理、しなくてもいいから」

ルビィ(心が、痛いよ)

ルビィ(そんな目で見ないでよ)

378: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:47:50.74 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ(無理だよ)

ルビィ(私には、無理)

ルビィ(こんなの)

ルビィ(こんなの)

ルビィ(断れないよ)

ルビィ(駄目だって)

ルビィ(受け入れちゃ駄目だって)

ルビィ(分かっているけど)

ルビィ(……マルちゃん)

379: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:48:35.39 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ「いいよ、理亞ちゃん」

理亞「ルビィ?」

ルビィ「私もね、理亞ちゃんが好き」

理亞「ほ、本当?」

ルビィ「うん」

ルビィ「好きだよ」

理亞「る、ルビィ!」

380: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:49:08.44 ID:lFL4fEB0.net
ルビィ(抱きついてくる理亞ちゃん)

ルビィ(私はそんな彼女を抱きとめ)

ルビィ(彼女には分からない作り笑顔を貼り付ける)

ルビィ(ううん、違うかな)

ルビィ(心の中には、喜びもある)

ルビィ(笑顔の中にも、自然と出てきた部分もある)

ルビィ(私は結局弱くて、流されやすいから)

ルビィ(……ごめんね)

ルビィ(本当に、ごめんね)

381: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:49:36.48 ID:lFL4fEB0.net
 H2-3

花丸(図書室の窓から、外を眺める)

花丸(外は、雨が降りしきっている)

花丸(雨音が煩わしい)

花丸(自然の音に包まれながら本を読むのは好きだったのに)

花丸(苛ついて、叫び出したくなる)

花丸(精神的に余裕がない証拠)

382: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:50:06.85 ID:lFL4fEB0.net
花丸(かつてここと同じ、図書室と称される空間で)

花丸(多くの時間を共有した親友は)

花丸(沼津の学校へ移ってから)

花丸(この場所に一度も足を運んでいない)

花丸(今日のように雨で練習が休みでも)

花丸(一目散に家へ帰っていくから)

花丸(私には、わき目も触れず)

383: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:52:12.99 ID:lFL4fEB0.net
花丸(全ては、恋人の為)

花丸(誰よりも大切な相手の為)

花丸(ずっと、一番だったはずなのに)

花丸(その座から落ちるのは、あまりにもあっけなく)

花丸(いつも手のかかる恋人優先)

花丸(理亞ちゃん、理亞ちゃんと)

花丸(はるか遠くにいる相手にかまけて)

384: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:52:47.36 ID:lFL4fEB0.net
花丸(これが現実なんだ)

花丸(友情なんて)

花丸(親友なんて)

花丸(恋愛の前では無に等しくて)

花丸(辛い)

花丸(好きな相手ができても、変わらなかったはずなのに)

花丸(少しずつだけど、私から離れていく)

花丸(彼女の中の、大切ではなくなっていく)

385: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:53:29.39 ID:lFL4fEB0.net
花丸(薄々、気づいてはいた)

花丸(所詮、親友は友だちの一部)

花丸(その中で特別でも)

花丸(本物の特別には敵わない)

花丸(どれだけ願っても叶わない)

花丸(それでも直視するのを避けていた)

花丸(だって、この現実は)

花丸(あまりにも)

花丸(あまりにも)

386: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:54:07.27 ID:lFL4fEB0.net
花丸「――」

花丸(手に力が入る)

花丸(紙の破れる音)

花丸(下を見ると、ページが一枚破けている)

花丸(あとは衝動的に)

花丸(滅茶苦茶に、滅茶苦茶にしていく)

花丸(かつて自分を構成していた世界を)

花丸(自分の全てだった世界を)

387: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:55:12.94 ID:lFL4fEB0.net
花丸(気づけば、手元には)

花丸(細かい切り傷が大量に刻まれた手のひらと)

花丸(無残な本の残骸だけが残って)

花丸(それらは全て)

花丸(自らの心を写しているみたいで)

花丸(ぐちゃぐちゃの)

花丸(崩壊した)

花丸(国木田花丸の心)

388: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:55:41.39 ID:lFL4fEB0.net
花丸(ねえ、善子ちゃん)

花丸(確かに嫉妬はしなかったよ)

花丸(嫉妬なんて、生易しい感情じゃない)

花丸(絶望だよ)

花丸(夢も希望も一切ない)

花丸(一粒の光さえも許さない)

花丸(絶望の世界)

389: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:56:17.70 ID:lFL4fEB0.net
花丸(これは罰なのかな)

花丸(恋人になりたいなんて)

花丸(自ら天使を穢そうとした私へ)

花丸(神様から与えられた罰)

花丸(だとしたら、最悪だよ)

花丸(この世に神なんていない)

花丸(少なくとも、人間が望む形の神なんて)

390: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:56:40.95 ID:lFL4fEB0.net
花丸「……帰ろう」

花丸(早く残骸を片付けて)

花丸(これ以上いても、駄目になるだけ)

花丸(一度心を落ち着かせて)

花丸(落ち着かせて……)

花丸(無理だ)

花丸(無理だよ)

花丸(落ち着けるわけ、ないよ)

391: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:57:05.97 ID:lFL4fEB0.net
  ※

花丸(揺れるバス)

花丸(身体に響く振動)

花丸(心が、痛い)

花丸(これが)

花丸(きっとこれが)

花丸(ルビィちゃんが感じていた苦しみ)

花丸(失恋の苦しみ)

392: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:57:40.64 ID:lFL4fEB0.net
花丸(恋人になることを拒否されても)

花丸(思いが届かなくても)

花丸(恋が完全に終わったわけじゃなかった)

花丸(誰かと恋人にならない限り)

花丸(それは続く)

花丸(そもそも私は一番、上の位置にいて)

花丸(血縁ではない人間の中で、最も高い位置)

花丸(だからある意味、最も恋人に近い関係だった)

花丸(それが、痛みを誤魔化していたんだ)

393: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:58:04.53 ID:lFL4fEB0.net
花丸「ルビィちゃん」

花丸(会いたいよ)

花丸(お話したいよ)

花丸(触れたいよ)

花丸(抱きしめたいよ)

花丸(キスしたいよ)

花丸(一緒に、居たいよ)

394: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:58:40.94 ID:lFL4fEB0.net
花丸(恋人になりたいとか)

花丸(一番の友達でいたいとか)

花丸(もう言わないから)

花丸(ただの友達の一人でいいから)

花丸(傍に居たい)

花丸(君の傍に居たい)

花丸(なのに)

花丸(それは叶わない)

395: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:59:04.29 ID:lFL4fEB0.net
花丸「ぅぅ」

花丸(嫌だ)

花丸(嫌だよ)

花丸(涙が)

花丸(涙が溢れてくる)

花丸(公共の場所なのに)

花丸(もう高校生なのに)

花丸(涙が止められないよ)

396: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 20:59:41.72 ID:lFL4fEB0.net
花丸(恥ずかしい)

花丸(こっち、みないで)

花丸(私を見ないで)

??「ねえ、大丈夫?」

花丸(ほら、話しかけられた)

花丸(嫌だ、見知らぬ人に変な目で――)

果南「おっ、やっと気づいた」

花丸「果南、ちゃん?」

397: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:00:17.69 ID:lFL4fEB0.net
果南「うん、そうだよ」

花丸(海外へ、留学しているはずの先輩)

花丸(だけどこれは、見間違いじゃない)

花丸(間違いなく、本人)

花丸「ひ、久しぶり」

果南「そう?」

果南「半年も経ってないぐらいじゃない?」

花丸「そうだけど……」

398: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:00:50.87 ID:lFL4fEB0.net
花丸「どうしてここに?」

果南「今日、こっちに帰ってきてさ」

花丸「留学は?」

果南「留学――ああ、ダイビングの資格ね」

果南「もう取り終えたよ」

果南「そんな時間のかかるものでもなかったし」

花丸「そうなんだ……」

花丸(てっきり、ずっと海外に居るものだと思ってた)

399: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:01:16.28 ID:lFL4fEB0.net
果南「てか、その顔」

花丸「あ」

果南「とりあえずこのハンカチ、使いなよ」

花丸「あ、ありがとう」

花丸(自分の顔を軽く拭う)

花丸(ほのかに香る、大人の女性の匂い)

花丸(果南ちゃん、二つも年上なんだもんね)

400: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:01:49.20 ID:lFL4fEB0.net
果南「しかしさ」

果南「花丸、結構情緒不安定なんだね」

果南「ずっと後ろから見てたけど、泣き出したから驚いた」

花丸「は、恥ずかしいずら……」

果南「いやまあ、知れてよかったよ」

果南「元々さ」

果南「落ち着いていて、後輩らしくないなって感じだったから」

401: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:02:17.13 ID:lFL4fEB0.net
花丸「オラも、気づいた」

花丸「果南ちゃん、思ったより先輩っぽいね」

果南「それは酷く――ないか」

果南「マルには、ガキっぽいところばかり見せちゃってたし」

花丸「……ありがとう」

花丸「おかげで助かったよ」

果南「そう?」
果南「別になんもしてないけどね」

402: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:02:50.58 ID:lFL4fEB0.net
果南「でも」

果南「どうして泣いてたの?」

果南「何か嫌なことでもあった?」

花丸「……」

果南「もしかしていじめとか?」

果南「マル、大人しいし」

果南「よそ者だから狙われそうだし」

403: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:03:20.64 ID:lFL4fEB0.net
花丸「違うよ」

花丸「そんなんじゃない」

果南「本当に?」

果南「私、話をつけに行くぐらいはするよ」

花丸「違うよ」

花丸「本当に違う」

花丸「学校のみんなは、いい人たちばかりだよ」

404: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:03:53.65 ID:lFL4fEB0.net
果南「それなら――ああ」

果南「いないね、ルビィが」

果南「いつも一緒に帰ってたのに」

花丸「ぁ」

果南「……図星だね」

花丸「……うん」

果南「そっか、ルビィか」

果南「それなら納得だ」

405: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:04:21.56 ID:lFL4fEB0.net
果南「花丸をここまで落ち込ませられるのは」

果南「あの子ぐらいだもんね」

花丸「そんなこと」

果南「分かるよ」

果南「他のAqoursのメンバー」

果南「例え善子だとしても」

果南「ここまでは、無理だよ」

406: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:04:49.31 ID:lFL4fEB0.net
花丸「どうして、言い切れるの」

果南「簡単だよ」

果南「抱いている感情の種類が」

果南「重さが全然違う」

果南「自分では気づいてないかもだけどさ」

果南「結構分かりやすいんだよ、花丸は」

花丸「……」

407: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:05:13.71 ID:lFL4fEB0.net
果南「ルビィ、どうしたの」

花丸「……誰にも言わない?」

果南「うん」

花丸「恋人が、できたの」

花丸「私より、大切な人が」

果南「ああ……」

花丸「それで――」

408: 名無しで叶える物語 2019/07/13(土) 21:05:42.22 ID:lFL4fEB0.net
果南「分かった、もう十分」

花丸「……」

果南「花丸」

花丸「なに?」

果南「うち来なよ」

果南「ちょうどいい、心を慰める方法」

果南「私は知ってるからさ」

果南「それを教えてあげる」

412: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:23:06.87 ID:BZF4vwqF.net
 R2-3

理亞『それでね、その子は今日も部室に来なくて』

ルビィ「そっか」

理亞『考えてみたけど、やっぱり心当たりはなくて』

理亞『怒らせちゃったのかな』

理亞『体調が悪いだけなのかな』

ルビィ「だけどお返事、ないんだよね」

理亞『……うん』

413: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:23:37.50 ID:BZF4vwqF.net
理亞『ルビィはどうすればいいと思う?』

ルビィ「そうだね……」

ルビィ(今日も)

ルビィ(理亞ちゃんの相談に乗るという体の)

ルビィ(愚痴を聞かされる)

ルビィ(恋人としての毎日の電話)

ルビィ(それが憂鬱なだけの時間に変わってしまったのは)

ルビィ(いったい、いつからなのかな)

414: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:24:24.64 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ「やっぱり、一回お話してみないと」

ルビィ「相手の気持ちを確認するのは大切だよ」

理亞『そ、そうだよね』

ルビィ(毎日、同じようなアドバイスを繰り返す)

ルビィ(だけど臆病な理亞ちゃんは)

ルビィ(何一つ実践できず)

ルビィ(同じ内容の相談――愚痴を繰り返す)

415: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:25:12.13 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(人付き合いが苦手な理亞ちゃん)

ルビィ(初めてできた後輩とまともに接する)

ルビィ(なんてこと、できるわけもなくて)

ルビィ(最初はちょっとしたすれ違いでも)

ルビィ(ドンドン溝は広がっていって)

ルビィ(そんな状況なのに)

ルビィ(暇さえあれば、私に連絡をして)

ルビィ(周囲より優先して、お話をしようとして)

416: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:25:37.84 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(それじゃあ上手くいくわけない)

ルビィ(何度も、教えてあげているのに)

ルビィ(恋の熱に浮かされた理亞ちゃんは)

ルビィ(自分をコントロールできないから)

ルビィ(ずっと、私のことばかり見ている)

ルビィ(そして状況は悪化して)

ルビィ(こうやって、話す内容もろくでもなくなって)

417: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:26:08.90 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(嫌だな)

ルビィ(自分の心の弱さに負けて、告白を受け入れて)

ルビィ(好かれていれば、大丈夫だと思ったのに)

ルビィ(辛い想いはしないと思っていたのに)

ルビィ(助けてあげたいのに)

ルビィ(何もできない)

ルビィ(事態は悪化して、話の内容も暗くなって)

ルビィ(悪循環に陥ってる)

418: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:26:38.18 ID:BZF4vwqF.net
理亞『じゃあ、明日話してみるね』

ルビィ「頑張って」

ルビィ(無駄だって)

ルビィ(できないって分かってるけど)

ルビィ(肯定する)

ルビィ(否定したくない)

ルビィ(傷つけたくない)

419: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:27:48.27 ID:BZF4vwqF.net
理亞『おやすみルビィ』

理亞『愛している』

ルビィ「私も」

ルビィ「おやすみ、理亞ちゃん」

ルビィ(電話、あっさり切れた)

ルビィ(時間がかかる時もあるから)

ルビィ(今日はついてた)

420: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:28:14.30 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(……疲れたな)

ルビィ(花丸ちゃん)

ルビィ(花丸ちゃんと、お話したいよ)

ルビィ(どんな私でも笑顔で受け入れてくれる)

ルビィ(大切な親友に)

ルビィ(全部聞いてほしいよ)

ルビィ(受け止めてほしいよ)

421: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:28:42.95 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(だけどそれは)

ルビィ(自分が理亞ちゃんから受けているのと同じ行為)

ルビィ(しかも)

ルビィ(最近はお話もしてくれなくなった相手に)

ルビィ(ずっと避けられてる)

ルビィ(ううん、違う)

ルビィ(お互いに、無意識に避け合ってる)

422: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:29:23.90 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(原因は分かっている)

ルビィ(分かっているからこそ、解決できない)

ルビィ(裏切ったのは、私で)

ルビィ(元に戻すには、理亞ちゃんを裏切らなきゃいけなくて)

ルビィ(それは不可能なのに)

ルビィ(都合よく、受け入れてなんて)

ルビィ(当然、言えなくて)

ルビィ(八方ふさがり)

423: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:30:02.99 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(きっとマルちゃんなら)

ルビィ(許してくれる)

ルビィ(私がどんなに酷いことをしても)

ルビィ(根拠もあるよ)

ルビィ(逆の立場なら)

ルビィ(許せてしまうから)

ルビィ(マルちゃんになら、何をされても)

ルビィ(あの時だって)

ルビィ(もっと強引に迫られたら、きっと)

424: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:30:38.64 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(……駄目だよ)

ルビィ(これは実現しなかった未来の家庭)

ルビィ(今は、それよりも)

ルビィ(理亞ちゃんを助けてあげないと)

ルビィ(いい方法を考えないと)

ルビィ(……ああ)

ルビィ(けどやっぱり)

ルビィ(疲れた)

425: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:31:16.57 ID:BZF4vwqF.net
 H2-4

花丸「ん……」

花丸(身体が、重い)

花丸(というか、未知の感覚)

果南「起きたみたいだね」

花丸「果南ちゃん……」

果南「疲れ果てて寝ちゃったんだね」

花丸「……うん」

426: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:31:48.57 ID:BZF4vwqF.net
花丸(そうだ……)

果南「まあ初めてだと、大変だよね」

果南「シャワーでも浴びてきなよ」

果南「身体、気持ち悪いでしょ」

花丸「……」

花丸(初体験は、案外あっさりと)

花丸(ロマンチックな形なんて、考えてなかったけど)

花丸(まさか、こんな簡単に)

427: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:32:25.68 ID:BZF4vwqF.net
花丸「果南ちゃんは」

果南「ん?」

花丸「ずいぶん、慣れてるみたいだね」

果南「うーん、否定はしない」

果南「これでも、経験は豊富だし」

果南「悪くなかったでしょ」

花丸「分かんないよ」

花丸「初めてだから、比較対象がない」

果南「うん、そりゃそうだ」

428: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:33:02.02 ID:BZF4vwqF.net
花丸「いつもこんなことしてるの?」

果南「心が冷たいとね」

果南「ぬくもりを求めてさ」

花丸「だけどこんなのは」

果南「楽にはなれたでしょ」

果南「穏やかになれたでしょ、心」

花丸「それは……」

429: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:33:33.77 ID:BZF4vwqF.net
果南「寂しがり屋なんだよ、私」

果南「両親がさ、まともにいないじゃん」

果南「でもさ、鞠莉とダイヤがいるからやってこれた」

果南「けど、鞠莉が留学して」

果南「残ったダイヤとも、疎遠になって」

果南「気づけば、許容量を超えていて」

果南「落ち着ける方法を探したら」

果南「たどり着いたんだよ」

果南「これに」

430: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:34:02.92 ID:BZF4vwqF.net
花丸「誰とでも、寝てるの?」

果南「いや、基本的に女の子限定」

果南「別に性別はどっちでも良かったんだよ」

果南「ただ快楽を求めていただけだから」

果南「だけどさ、女の子とやる方が楽なんだよ」

果南「ネットがある時代」

果南「マイノリティの方が相手は発見しやすい」

果南「相手に飢えている人も多いしね」

431: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:34:35.55 ID:BZF4vwqF.net
果南「女の子相手だとさ、リスクも減るし」

果南「トラブルになっても、女同士ならある程度力づくで何とかなる」

果南「もちろん、面倒事に巻き込まれたこともあるけど」

果南「それでもマシなはずだし」

果南「なにより、異性間と違って妊娠の心配もない」

果南「タガの外れた私でも」

果南「まともな道から逸れる心配はないわけだ」

432: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:35:16.47 ID:BZF4vwqF.net
花丸「……」

果南「言葉も出ないかな」

果南「自分でも、酷いとは思うよ」

果南「それでもね」

果南「適当な相手と身体を重ねれば」

果南「満たされなくても、痛みは誤魔化せる」

果南「麻薬みたいなものでね」

果南「一度手にしたら止まらない」

果南「止められない」

433: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:35:52.01 ID:BZF4vwqF.net
果南「鞠莉も戻ってきて、十分に満たされて」

果南「心も成長して、痛みを誤魔化す必要ないはずなのに」

果南「どうしてもやめられないんだ」

果南「身体が勝手に求める」

果南「完全に依存症のそれだよ」

果南「いつか破滅する、ろくでもない結果を招く」

果南「理解しているはずなのに、逃れられない」

434: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:36:43.36 ID:BZF4vwqF.net
果南「花丸だって感じたでしょ」

果南「空いた穴、寂しさを誤魔化せたでしょ」

花丸「……」

果南「だったら、理解はできるよね」

花丸「……うん」

果南「よく自棄になって相手を探す人、居るけどさ」

果南「分かっているからだよ」

果南「これが一番手っ取り早く、簡単な方法だって」

435: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:37:33.48 ID:BZF4vwqF.net
花丸「ねえ」

花丸「ダイヤさんや鞠莉ちゃん」

花丸「千歌ちゃんや、曜ちゃんとは」

花丸「これ、やったことあるの?」

果南「ないよ」

果南「大切な幼馴染にはさ」

果南「こんな絶望的な場所へは来てほしくない」

花丸「……私は、大切な存在じゃないんだ」

436: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:38:06.25 ID:BZF4vwqF.net
果南「花丸には、必要だと思ったから」

果南「誰か沼に引きずり込もうとする人間に掴まる前に」

果南「私が教えなきゃいけないって」

果南「思い知ったでしょ」

果南「これがどんなに怖いか」

果南「私は恐ろしさを知らなかったから」

果南「底なし沼にハマった」

果南「花丸には、こうなってほしくない」

437: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:38:43.37 ID:BZF4vwqF.net
果南「今の話聞いてさ」

果南「また同じようなことをしたいと思える?」

花丸「……無理、かな」

果南「それならいいよ」

果南「薬物と違ってさ」

果南「一回ぐらいなら引き返せるから」

果南「こっちに来ちゃ駄目」

果南「こんな目に遭うのは、自分だけで十分だ」

438: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:39:09.43 ID:BZF4vwqF.net
花丸(こんな目、か)

花丸(そうだよね)

花丸(辛いよね)

花丸(抜け出せないなんて)

花丸(ハマったら、抜け出せないなんて)

花丸(……)

花丸(……だけど)

439: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:39:43.72 ID:BZF4vwqF.net
 R2-4

理亞「じゃあね、ルビィ」

ルビィ「バイバイ」

ルビィ「理亞ちゃん」

ルビィ(遊びに来た理亞ちゃんを)

ルビィ(沼津の駅まで送る)

440: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:40:19.65 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(三連休でも、長期休みでもない)

ルビィ(ただ休日、日によっては平日なのに)

ルビィ(聖良さんに会いに来るという名目で)

ルビィ(沼津に顔を出す)

ルビィ(そんな日々を繰り返して)

ルビィ(聖良さん、甘いから)

ルビィ(それを普通に受け入れちゃってる)

441: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:41:36.02 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(嫌なわけじゃない)

ルビィ(少しギクシャクした関係になっても)

ルビィ(理亞ちゃんのことは、並の友達より好きだし)

ルビィ(直接会えるのは嬉しい)

ルビィ(それでもやっぱり)

ルビィ(こんなの変だよ)

ルビィ(おかしいよ)

442: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:42:06.52 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(それに)

ルビィ(愛情、信頼感)

ルビィ(今の理亞ちゃんから向けられるのは)

ルビィ(私には過剰なもの)

ルビィ(本当に、恋は盲目だよね)

ルビィ(理亞ちゃんは、私を高く評価し過ぎている)

ルビィ(だからその期待が、重い)

443: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:42:45.77 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(理亞ちゃんは)

ルビィ(学校でも上手くいかなくなって)

ルビィ(家でもお姉ちゃんがいないから居場所がなくて)

ルビィ(部屋に引きこもっているのもつらくて)

ルビィ(こうして聖良さんや私の元にやってくる)

ルビィ(弱い自らを)

ルビィ(守ってくれる存在の元に)

444: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:43:29.52 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(付き合う前は、こんな子じゃなかった)

ルビィ(負担になるような感情を押し付けてくる子じゃなかった)

ルビィ(向けられる好意も、ただ気持ちよかったもの)

ルビィ(それを狂わせたのは)

ルビィ(壊してしまったのは)

ルビィ(間違いなく自分)

ルビィ(狂った恋に、彼女は気づかない)

ルビィ(それに気づいている私も)

ルビィ(気づかないフリをする義務がある)

445: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:43:57.60 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(でも、仕方ないよね)

ルビィ(他に愛を知らずに育った子)

ルビィ(知っているのは、家族からの愛情だけ)

ルビィ(知らない種類の愛は)

ルビィ(正しく人に向けることもできない)

ルビィ(その愛を持つ人間に)

ルビィ(依存することしかできない)

446: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:44:36.74 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(……そういえば、マルちゃんも同じ)

ルビィ(同じように)

ルビィ(家族以外からの愛情を知らずに育った)

ルビィ(そして私と出会ったとき、初めて人から愛を受けた)

ルビィ(ほとんど、同じ境遇)

ルビィ(だから、本当に)

ルビィ(残酷なことを、しているのかな)

ルビィ(だけど、マルちゃんは)

ルビィ(あの子だけは、どうしても失いたくない)

447: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:45:07.35 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(会いに行きたいな)

ルビィ(限界なんだ、私は)

ルビィ(これ以上いい子でいたら)

ルビィ(壊れちゃう)

ルビィ(理亞ちゃんと一緒に)

ルビィ(黒澤ルビィが、崩壊しちゃう)

ルビィ(そうなったら、マルちゃんも悲しむはず)

ルビィ(そうやって、言い訳を作って)

448: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:45:34.05 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ(利用する)

ルビィ(親友が、自分を好きだという事実を)

ルビィ(黒澤ルビィから離れられないという現実を)

ルビィ(駄目だな、本当に)

ルビィ(ごめんね)

ルビィ(心の中で、毎日のように呟いてる)

ルビィ(誰に謝ってるんだろうね)

ルビィ(分からないや)

ルビィ(もう、なにも)

449: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:46:01.90 ID:BZF4vwqF.net
 H2-5

花丸(ぼんやりと佇む)

花丸(中学生や、浦の星に通っていた頃)

花丸(よくルビィちゃんと過ごした)

花丸(防波堤の上で)

花丸(ただ、流れる海を眺める)

450: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:46:33.18 ID:BZF4vwqF.net
花丸(ここには)

花丸(懐かしい思い出が詰まっている)

花丸(楽しかった日々)

花丸(天使と戯れているだけの)

花丸(記憶)

花丸(その中に形成された)

花丸(楽園)

451: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:47:08.20 ID:BZF4vwqF.net
花丸(果南ちゃんとの行為の後)

花丸(警告に従い、二度目の経験はしていない)

花丸(その分、心は痛いまま)

花丸(それを癒すために)

花丸(こうして昔の思い出の場所を回って)

花丸(美しい記憶を集めている)

花丸(現実のルビィちゃんは)

花丸(沼津に頻繁にやってくるようになった)

花丸(理亞ちゃんの物だから)

452: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:47:42.54 ID:BZF4vwqF.net
花丸(いいんだよ)

花丸(記憶の中で美化された)

花丸(理想のルビィちゃんが居れば)

花丸「思い出さえあれば」

花丸「それで」

ルビィ「嫌だよ」

花丸「……」

ルビィ「私は、思い出だけじゃ嫌だ」

453: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:48:12.39 ID:BZF4vwqF.net
花丸「久しぶり、だね」

ルビィ「教室で会ってるよ、毎日」

ルビィ「部活だってしてる」

花丸「そうだね」

花丸「それでも」

花丸「久しぶり」

花丸「だよ」

ルビィ「――そうだね」

454: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:48:44.40 ID:BZF4vwqF.net
花丸「理亞ちゃんは?」

ルビィ「帰ったよ」

ルビィ「さっき、駅まで送っていったんだ」

花丸「そっか」

花丸(久しぶりに直視する)

花丸(ルビィちゃんの顔)

花丸(以前は簡単にしかしていなかった)

花丸(お化粧がしっかり施されている)

455: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:49:09.53 ID:BZF4vwqF.net
花丸(きっと疲れが顔に出るのを誤魔化す為)

花丸(少し痩せてもいる)

花丸(苦労しているんだろうな)

花丸(学校でも、元気がないことが多い)

花丸(せっかく手に入れた輝きも)

花丸(鈍く、掠れるようになって)

花丸(……結局、見てるんだよね)

花丸(ずっと、ルビィちゃんのこと)

456: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:49:34.40 ID:BZF4vwqF.net
花丸「ここに来たのは、たまたま?」

ルビィ「ううん」

ルビィ「マルちゃんを探して」

ルビィ「辿りついたの」

ルビィ「簡単だったよ」

花丸「よく分かったね」

ルビィ「なんでも分かるよ」

ルビィ「親友のことは、何でも」

457: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:50:31.64 ID:BZF4vwqF.net
花丸「……それは、私もだよ」

ルビィ「マルちゃんも?」

花丸「ルビィちゃんのことは、お見通し」

ルビィ「本当に?」

花丸「うん」

花丸「ルビィちゃんが会いに来た理由」

花丸「甘えたかったんでしょ」

花丸「私に」

ルビィ「……」

458: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:50:56.27 ID:BZF4vwqF.net
花丸「こっち、おいで」

ルビィ「うん」

花丸(躊躇なく寄ってくる)

花丸(近づいて)

花丸(防波堤の上に寝ころび)

花丸(膝の上に頭を乗せる)

花丸(ごくごく、自然に)

459: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:51:33.92 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ「疲れたの」

花丸「みたいだね」

ルビィ「やっぱり、お見通しなんだ」

花丸「親友のことだからね」

花丸(頭をそっと撫でる)

花丸(目を細めて)

花丸(可愛らしく息を漏らし)

花丸(固かった表情も、和らいでいく)

460: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:52:01.36 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ「ルビィはね」

ルビィ「甘えられるよりも」

ルビィ「甘える方が好きなのかな」

花丸「やっぱり子どもっぽいよ」

ルビィ「いいんだもん」

ルビィ「親友の前ぐらい」

花丸「もちろん」

461: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:52:28.73 ID:BZF4vwqF.net
花丸(久しぶりのぬくもり)

花丸(心が温まる)

花丸(これをずっと、求めていた)

花丸(だけど)

花丸(これは所詮、仮の関係)

花丸(やさしいルビィちゃんは)

花丸(理亞ちゃんの元を離れることができない)

花丸(あくまでも、一時的なもの)

462: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:52:55.95 ID:BZF4vwqF.net
花丸(それでもこの関係は終わらない)

花丸(終わらせることはない)

花丸(もう一人は嫌だ)

花丸(ルビィちゃんが支えられないのも)

花丸(離れ離れになるのも嫌だ)

花丸(だから)

花丸(確信をもって)

花丸(横で眠る彼女を眺めながら、顔を歪める)

463: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:53:20.45 ID:BZF4vwqF.net
花丸「そういえば、ルビィちゃん」

ルビィ「ゅ?」

花丸「理亞ちゃんとは、恋人なんだよね」

花丸「普段は、どんなことをして過ごしてるの?」

ルビィ「うーん」

ルビィ「おしゃべりしたり、しているぐらい?」

花丸「それだけ?」

ルビィ「うん」

464: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:55:48.94 ID:BZF4vwqF.net
花丸「それじゃあ」

花丸「これは」

花丸「したことないかな」

ルビィ「え――」

花丸(以前とは違い躊躇なく)

花丸(無防備に身体を預けていたルビィちゃんに)

花丸(ルビィちゃんの唇に)

花丸(自らの唇を重ねる)

465: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:56:24.54 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ「……こんなの、浮気だよ」

花丸(唇を離すと、少し睨まれる)

花丸「いいんだよ」

花丸「私たちは永遠に『親友』だから」

花丸「永遠に恋人にならないから、浮気にはならない」

ルビィ「屁理屈……」

花丸「得意なんだよ、屁理屈」

花丸「知ってるでしょ」

466: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:56:51.45 ID:BZF4vwqF.net
花丸(思うところはあっても)

花丸(罪悪感から、彼女は何も言えない)

花丸(今のルビィちゃんは)

花丸(出会った頃の、純粋な天使ではない)

花丸(それでも)

花丸(好きなんだ)

花丸(この感情は)

花丸(絶対に変わらない)

467: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:57:22.67 ID:BZF4vwqF.net
花丸「ねえ」

花丸「今日は私のうちにおいでよ」

ルビィ「マルちゃんのおうち?」

花丸「うん」

ルビィ「いいけど、どうして?」

花丸「いいこと、教えてあげる」

花丸「心が楽になれる」

花丸「一度やったら、病みつきになる」

花丸「楽しいこと」

468: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:57:57.43 ID:BZF4vwqF.net
ルビィ「……変なお薬とかじゃないよね」

花丸「もちろん」

花丸「そんなもの、使わないよ」

花丸「私がルビィちゃんに、すると思う」

花丸「そんな、酷いこと」

ルビィ「そ、そうだよね」

ルビィ「ごめんね」

469: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 00:59:49.27 ID:BZF4vwqF.net
花丸(結構、鋭いよね)

花丸(ううん)

花丸(今のは、意味深に言い過ぎたかな)

花丸(実際、ルビィちゃんを壊してしまうかもしれないこと)

花丸(でも大丈夫だよ)

花丸(私がずっと相手をしてあげれば)

花丸(傍に居れば)

花丸(ルビィちゃんを)

花丸(私とのそれに夢中にさせてしまえば)

花丸(底なし沼に一緒に堕ちれば)

花丸(永遠に、離れずに済むもんね)

471: 名無しで叶える物語 2019/07/14(日) 01:06:27.16 ID:BZF4vwqF.net
ずいぶん長引いてしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました
保守してくださった皆さん、本当に助かりました、感謝しています

引用元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1560525904/